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構成の巧みさ 切れ味の鋭さに感嘆
2021/04/07 12:09
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
後書きによれば作者の最初期の作品とのことであるが、その構成の巧みさ 切れ味の鋭さに感嘆した。「処女作には、その作家のすべてがある。」という言葉があるそうだが、納得させられる作品である。様々な形の「めおと」が描かれているが、最後の作品の結末には慄然とした。一方、桶狭間の戦いを舞台にした作品は毛色が違ってこれまたいい。作者の筆力の幅を感じた
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L
江戸褄の女…夫勇之助の腹違いの妹として現れた久美。夫と久美の仲を疑い悶絶する幸江。久美は勇之助の父に不正を暴かれた勘定頭粕谷が送り込んだ忍だった。
猫…夫を裏切る佳世。病が良くならない夫。夫の病を長引かせるものは。
佃心中…改易となり荒んだ夫は辻斬りの味をしめ、妻は秘密をひた隠して夫に尽くす。すれ違ったままの夫婦の話。
駆け落ち…駆け落ちをし宿屋の主となった庄左衛門と紀代だが、15年の月日が庄左衛門を無気力に紀代を宿屋の女将にさせていた。そんな宿に駆け落ちの若い2人が泊まる。
虹…なんとも…。
眩惑…なんだかな。
どうしてこう、イロがあるのかね。特徴的。
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作者の初期の短編時代小説6編を収めた文庫オリジナル。タイトル通りさまざまな“夫婦の心のゆらぎ”を描いた短編集である。
どれもすっきりとしたストーリー運びで読みやすい。それを物足りなく感じるむきもあるかもしれないが、私はかえって登場人物たちの心の機微がよく窺えてよかった。
その中でも、意外な展開を見せる「猫」やちょっと谷崎の「春琴抄」チックな「眩惑」(ややこしいがデビュー作となった単行本「眩惑」には当初収録されていない。文庫化の際に新たに書かれたものである)は私好みであった。
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初めて読んだ諸田作品。それが期せずして初期の短編を集めた小説集だと知る。作者あとがきが面白い。なるほど、作者の各作品を書く動機が作者の当時の心情とリンクしている。そして力のある作家さんだと感じた。別の作品も読んでみたい。