紙の本
インフレのしくみが数値的にあかされるが…
2008/11/27 21:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
さまざまな国や時代の物価や金利などがグラフによってしめされ,インフレーションの本質があばかれている.すなわち,過去のインフレーションが,まちがった金融政策によってひきおこされたことが論証されている.ハイパーインフレといえばワイマール時代のドイツが有名だが,第 2 次大戦後のハンガリーや 1970 年代以降のメキシコ,アルゼンチン,チリのインフレも論じられている.
しかし,これらはいずれも統計数値だけで論じられていて,なまの感覚に欠けている.インフレが金融政策によってふせげるものであるのなら,なぜこのようにはげしいインフレがくりかえされてきたのか,その理由が知りたくなるが,この本はそれにはこたえてくれない.
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インフレーションについての解説で、インフレまたその逆のデフレは、長期においては金融政策と大いに関連すると言う説のデータをふんだんに使った経済学的合理的期待貨幣説による解説本。
筆者としてはこの説には大いに賛成であるし、経済学的にこれは分かっていることである。経済学には分かっていることといまだに論争が続いていることがあるが、この説はほぼ議論の余地はなさそうである。
しかしながら、原田の著作にいつもあることだが、結論にいたるところが省略気味であること、また、企業就業者で大企業に勤めるをエリートとして描き続ける人として見るという観察力のなさが、本作にはあまりにも目立つので、啓蒙書としてはかなり惨い出来だ、と思う。
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[ 内容 ]
石油高・穀物高になぜ翻弄されるのか?物価形成とインフレのメカニズム。
[ 目次 ]
序章 物価が上がるとどうなるのか
第1章 原油価格はなぜ上がったか
第2章 資源価格と物価の関係
第3章 インフレーションとは何か
第4章 なぜインフレになるのか
第5章 先進国のインフレ
第6章 世界のインフレ
第7章 世界史の中のインフレ
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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著者の本は何度も紹介しましたが、巷に蔓延るエセ経済学説とは意識的に一線を画し、経済学の基本的な知識をベースに実際の経済現象を説明しています。
『デフレはなぜ怖いのか』でデフレがなぜいけないのかがテーマでしたが、今回のテーマはインフレ論。インフレがつい最近まであった資源価格の急騰とは直接的には関係が薄く、インフレはそもそも貨幣流通と密接な関係があり、(財政政策ではなく)金融政策によって主にコントロールしうることを解き明かし、古今東西のインフレまで取り上げています。
経済学のベーシックな知識を整理しながら、跋扈する誤謬を払拭するのにうってつけです。