紙の本
小川としては下の出来。子供を扱う、っていうことで話が甘めになっています。とくに男女の描き方が・・・
2009/06/16 22:09
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
神林長平の登場後、私が最も期待する小川一水の朝日本。この手の話が朝日新聞社から?なんて思う必要はありません。朝日ソノラマを吸収した関係で、出るようになった、そう思うのが健全な青少年でしょう。
こいでたく描くイラストは最近のアニメ風で、さほど上手さは感じられない平均的なもの。同じく、こいで描くカバー画も挿絵も平均的。二階堂能吏(くまくま団)が担当したブックデザインも、これ、というきらめきは感じられません。まだソノラマ文庫のときのほうが、スタイルが決まっていたかな、っていう感じ。
カバー後の案内文は
物作りを愛する少年・祐機の夢は、自分で自分を複製するフォン・ノイ
マン・マシンの実現。地方都市で才能をもてあます彼の前に天才投資
家の娘・ジスレーヌが現れた。「あなたの力と未来に投資させて」。
――二人は強力なマシンと資金を武器にして、世界生産を支配する国
際組織「GAWP」に立ち向かう。創造性に満ちた、真に豊かな地球は
誰が造るのか? リアルSFの旗手が書き下ろす、近未来青春物語。
です。話はわかるんですが、すこし戸田祐樹の造形がいい加減。確かに理工バカという言葉はあるんですが、ちょっと行き過ぎかな、って思います。男女の機微に鈍感、っていうのもここまで来れば犯罪ものでしょう。それと身長の低さ、これもアブナイ。彼にもう少し魅力があればな、とは思います。
主人公である祐樹について、もう少し詳しく書けば、彼は「戸田特鋼」の経営者の息子です。小さい時から小柄で、高校生二年になっても身長が150台、でも、というか、だから天才児。自己増殖型フォン・ノイマン・マシンを自ら制作します。人類と生産のありかたを模索する、というか生産性から人間を解放し、もの作りに楽しさを求めるべきだと考えるというのですが、それを人に伝えるという努力をしません。嫌われるわ、こういう男・・・
主人公の他人を馬鹿にしたような尊大さに対して、対極にいるのが祐樹の唯一の友人?深沢大夜です。長身のイケメンで、ラクして女と遊んでいればいい、というノーテンキ。当然、もてます。それも高校生レベルのそれではありません。完全なスケコマシ。バンバンやっちゃってます。で、彼が選ぶのが祐樹にたかって生きること。ま、どこまでものを考えているかは不明ですが、私は嫌いです、こういうコバンザメ男。
で、ヒロインがジスレーヌ・サン=ティエール。ハザリー社の社長令嬢で、母の会社の買収を夢見る16歳の少女です。美少女、っていう印象がないのは、金儲けの才能ゆえかもしれません。成長性がわかるという母の能力を受け継いでいますが、成長性だけでものごとを判断し、人間をもそれでしか評価しようとしない母に反発しています。
娘に嫌われた母親というのがオービーヌ・サン=ティエール。カナダのサスカチュワン州サスカトゥーンに本部を置く世界最大の投資持株会社サスカチュワン・ハザリー社の女社長で、米フォーブス誌の長者番付で1位。総資産810億ドル、八兆円というお金持ち。ものの成長性がわかる、という才能を持つそうですが、娘同様美人という感じがしません。
その点、色っぽい脇役と言えるのが、ジスレーヌの使用人タレイナ・エモーネです。大柄なブロンドの30歳くらいの美女とあって、殆どお色気を感じさせる場面はないのですが、水着がとっても似合いそうな美貌のキャリア、っていう雰囲気に溢れています。存在感から言えば、映画ミッション・インポッシブル3 に出演した Maggie Q みたいな存在。男性ファンがつきそうです。ベイリアルはレイナの同僚で、40代の男ですが、彼女ほどの迫力はありません。
で、悪役がジャクソン・“BBB”・グーテンベルガー。GAWP(世界生産に関する一般協定事務局)に所属する男です。彼の提言で、戸田特鋼は買収され、祐樹が愛していた工場は解体されてしまいました。GAWPが掲げるのは生産効率の向上、うーん、日本のトヨタを連想しちゃいけないんでしょうか?。目的のために企業買収だけではなくロビイストの買収、官憲の利用も行います。
話については、さほど感心はしませんでしたが、小川がカバー折り返しで書いている
地球はもういっぱいだ。やることなんて残ってない。
そう感じている人は、この本を読んでください。
行く場所もやることも、まだまだたくさんあります。
ここには今より楽しい明日があります。
っていうのは正しいと思います。楽しい未来を信じて、明るく考えて生きるのが一番。最後に目次のタイトル。
プロローグ
Invest-1 創造手と錬金術師
Invest-2 世界を変える奇跡の子馬
Invest-3 百億ドルより大事なこと
Invest-4 砂漠を越えて
エピローグ
あとがき
以上です。最後はカバー折り返しの言葉。
地球はもういっぱいだ。やることなんて残ってない。
そう感じている人は、この本を読んでください。
行く場所もやることも、まだまだたくさんあります。
ここには今より楽しい明日があります。
(著者)
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カテゴリをラノベにするか、SFにするか迷ったけど、
SFで。とらのあなで買ってきたんですけども。
著者コメントの、
「地球はもういっぱいだ、やることなんて残ってない。
そう感じている人はこの本を読んでください。
行く場所もやることもまだまだたくさんあります。」
ッてコメントはウソではなかったです。
技術が進歩して、映像で世界のあっちこちを見ることはできますが、
それは行ったことにも、見たことにもならないんですよね。
世界にはいろんな境遇の国があって、
そこにはいろんな人がいて、困ってる。
それを助けることができて、かつお金儲けにもなるのはいいなと思います。
本来仕事というのは、そういったものだったはずなんですが、
グローバル化してから、変わったのかなと。
プログラマなんてやってると、これが誰かの役に立つのかと不安になったりします。
ぶっちゃけテレビやレコーダーなんか、なけりゃなくていいですし。
さて、この小説では、生産性と、創造性がキーワードになっています。
おりしも、世界的な大不況。そんなことになった原因とか、考えて読むといいかもしれません。
ぶっちゃけ、第1世代ラノベファンには向かないラノベかな。
仕事をしてるラノベファンなら、たぶん気にいると思います。
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てっきりアイツが裏切るかとおもったら最後までイイヤツでした。
表紙の子よりもこいつがメインヒロインですねこれ!
SFというかジュヴナイルというか、ソノラマ文庫! って感じですね。そりゃそうか。
最後の最後で乱丁…というかコピペミスがあったのが残念。後の版では直ってますように。
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工学系天才少年(チビ)の祐機と、軽佻浮薄のイケメンプレイボーイの大夜というコンビが、将来性を読むという特殊能力を持つ投資家の少女ジスレーヌの資金を得、自己複製型ロボットでこの不完全な世界にけんかを売る。
けんかというか、世のため人のためという側面もあるので誰かにけんかを売っているわけではなくて、「不完全である」ということ自体に挑戦しているわけだが。祐機がやりたいのは、人が創造に注力できるように、生産はロボットに任せるということ。祐機の作った子馬は、あちこちに行って沈んでしまいそうな国土を保全したり真水を作ったり農耕したりする。子馬を不正コピーして作ったロバが紛争に使われたりもしてしまうのだけれど。
結局、世界は不完全だし、どのみち完全とは何かというのは人によって考えが違うし、というか、完全という言葉自体がもう不完全だよね、バランス感覚を持たねば、という結論になるのかな。とにかく、明るい未来を提示してこそ、SF。
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対象年齢層を低めに抑えた感のある、小学校の図書館が似合いそうな一冊
作者本来のSF思想は抑えめ
青春物語としてはまぁ面白いが、実現性(いっちゃおしまいだが)を言い出すときりがない
メインストーリーに絡むところで残念な点を上げるとすれば
SFで有りながら、基本的には夢と努力で前に進む主人公に対し
ヒロインは天才(実質超能力)というのもなんだかなぁと思う
終盤の展開も悪くはないが微妙、子供向け
エンディングはベタで美しいんだけどなぁ
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自己複製可能な機械(VNマシン)を発明した少年祐機は人や物事の将来性、成長性が見える少女ジスレーヌに見出され世界各地の生産の在り方を、VNマシンによって少しずつ変えていく。
しかし、人の創造性に重きを置く祐機は、世界の生産性向上のみを追求するGAWPという国際組織と対立を深めていく、やがてソマリアにてGAWPは軍事・治安目的のVNマシンを送り込み平定しようと試みるが祐機は・・・
細部にはこだわらず楽観的に過ぎるかなと思えましたが、少年向けライトノベルということなら良いのかも知れない。答えが明確に提示されたわけではないけど悪くない終わり方だったと思います。
けれど、本格SFという点で物足りなかったので評価はこれくらい。
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著者の本はこれが二冊目。前に読んだ「天涯の砦」とは大分毛色が異なる。(http://booklog.jp/users/yokozawa/archives/4152087536)
こちらはSFファンタジーといった内容。
天才少年と天才少女がタッグを組み、世界を席巻する活躍をし、厄介な敵が現れて・・
結構ありきたりでカバーイラストのように、そのままアニメになりそうな設定だとも言えます。
といっても後半になるにつれ社会的、政治的な話題も出てくるのでそれなりに読み応えがありました。
マストな一冊とは言えませんが、少年少女の王道的な設定が好きな人には楽しめる一冊だと思います。
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12歳にしてモノを創る事に目覚めた少年。
このままいけば好きなように創っていけるはずだった道を
ある日簡単に壊してくれた人物。
それに対抗するのに、少女と出会い、再び創る事に没頭していったのですが…。
創る事にしか興味がない主人公と、その『友人』をしている少年と
お金を出す担当の少女。
面白いくらいにまったく性格が一致しない3人組です。
一番いらっとくる発言者は『友人』なのですが
一番見当ハズレの事を言って笑えるのも『友人』です。
相手にしなくてはならないのは一人の人物であり
世界であり、アメリカであり…。
きれいに終わっている最後も、特に違和感なく
面白かったですw
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自己増殖型の汎用機械を考案した少年が、人の潜在的経済価値を見抜くという特殊能力を持った少女に見出され、その汎用機械と未来を切り開いていくお話。
労働力の自動化がある程度進んで、
一人がある程度働くと、10人分ぐらいの全消費をまかなえるようになって、その生産物品の配分に眼の色を変えなくてもすむようになってくると、世界は一段階幸せな方向に進むのではないだろうかというのは、
私の思索の一つのテーマなのだけど、それを上手に組み立ててくれたお話。
小川一水先生の構成力って素晴らしいです。
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ラノベ的表紙と題名に思わずヒいたが、読んだらすごく面白かった。創造することのワクワクとトキメキを感じさせる素晴らしい作品!(『第六大陸』と同じ感想だな(汗) ラノベ的演出仕立てはたぶん10代向けを意識したのかも。そしてぜひ若い子に読んでほしいね!
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読んでいて、何かがしっくりこないと感じた。ライトノベルにはそぐわないものを、無理矢理ライトノベルの文法で書いているというか。
ライトノベルだから深刻な主題は描けない、というわけではないのはよくわかっている(つもり)だから、ライトノベルにそぐわない主題を扱ってるから、なんていう安易な言い方はしたくないんだけど、印象としてはまさにそれ。この著者は、ライトノベルも、アダルトも両方ちゃんと書きわけられる人だとこれまでの作品から感じていたから、なおさら、この作品にはなぜそんな印象を感じてしまうのか、自分でも不思議に思う。このストーリーは、アダルトなSFで読んでみたかった。
あと、Uマシンの話に、ジスレーヌの特異能力の話を絡める必要があったのだろうか?「他人の将来性が視える」というアイデアが、単にこの小説を回すための「道具」としてしか使われていないのが惜しい気がする。この能力のことはこの能力のことで突き詰めれば、面白い短編でもできそうな気がするのだが。
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35:SF風味のライトノベル。時々急激にSF度が高くなることもありますが、口語交じりの地の文でよみやすかったです。物足りなさと表裏一体なわけですが。
世界を変えるという意味では「復活の地」に通じるものがありますが、レーベルがレーベルだからか、表面を撫でて終わってしまった感じなのがちょっと残念。