紙の本
二重三重
2022/07/03 12:21
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
二重三重の伏線がめぐらされたミステリ。
何が本当で何が嘘なのか。
誰が本当のことを言ってるのか。
流石でした。
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2009/1/24 ジュンク堂住吉シーア店にて購入。
2018/9/21〜9/28
第二次大戦後の巣鴨プリズンで起こった不可能殺人。記憶を失った元所長の貴島、幼馴染のイツオとその妹で貴島の婚約者であるキョウコなどまさにミステリアスな雰囲気。柳さんの世界観がよく出た作品。
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ジョーカーゲームが読みたいのだがハードカバーゆえにハズすと痛い。
って悩んでたらこれがあったので私的柳氏お試し本。
相変わらず、私は推理より背景重視なので、
私の好みドンピシャでした。
なにより清潔な文章。
今後気にかけたい作家の一人となりました。
太平洋戦争終後、東京に建てられた戦犯専用刑務所での不可解な殺人事件が
推理対象だけれども、実際は戦争に対する個人の責任が描かれていましたね。
軍部が勝手に起こした戦争ではなく、国民一人一人が戦争が起こるかもしれないという
現実から目をそらした結果、太平洋戦争が起こったのだ、という視点を初めて読みました。
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なじみづらい時代背景で、主役は外人なのに、割とすんなり入り込めた。
続きがきになって、どんどん読み進めてしまった作品。
なんかすごかった。
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おもしろかったし、戦争について考えさせられる部分も多かった。
個人的にジョーカー・ゲームより好きだったりする。
なにが善でなにが悪かなんてきっと完璧に分けることなんて出来ないんだろうな。
それにしてもキジマはかっこいい。
いろんな部分で凄いと思った。
ただ、文章が諾々と長かったり段落があまりなかったりカタカナ表記が多かったりでちょっと読みづらい感はある。
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『ジョーカー・ゲーム』で今季話題の柳広司氏の長編ミステリ。
舞台は日本人戦犯が収容されている巣鴨プリズン=巣鴨拘置所。
戦時中に消息を絶った知人の行方を追って来日した私立探偵フェアフィールドは、
巣鴨プリズンでの調査と引き換えに、捕虜虐待容疑で拘留されている囚人・貴島悟の記憶を取り戻す任務を命じられる。
キジマは戦時中の記憶を失っているため、裁判を進められないでいたのだ。
時を同じくしてプリズン内で殺人事件が発生。
フェアフィールドは、頭脳明晰なキジマの協力を得ながらプリズン内での殺人事件を追っていくことに…
とにかく面白いです。
『ジョーカー・ゲーム』でカッコ良さに痺れたんで買ってみたんですが、こっちもカッコイイ。
解説でも指摘されてますが、シャーロック・ホームズと『羊たちの沈黙』を混ぜたような雰囲気。
「謎解きが強引」という書評もその通りだと思いますし、
ある意味ミステリの王道という感じで、新しさは特に無いかもしれません。
でも、コナン・ドイルや江戸川乱歩、アガサ・クリスティなどを幼い頃に読んで育った人だったら、このわくわく感と格好良さ、共感してもらえるんじゃないかな。
他の柳作品も読んでみたい!
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同じく角川文庫の「新世界」とも似た題材、そして雰囲気。太平洋戦争における天皇と日本国民の戦争責任について鋭く言及しているのが興味深い。
「テンノウ」に戦争責任がないと認めることによって、すべての日本人、それぞれ個人にも戦争責任がないことになるのだそうだ。だとすれば、東京裁判で裁かれた人たちに、国民全てが責任を押し付けたということなのか……。戦争が終わってから生まれた私たちは、それに対してどう考えればいいのだろうか。うーん。
ミステリとしては、ミスリードがちょっとお粗末というか、犯人はすぐに分かってしまうし、密室殺人のトリックはあまりにも不確定要素が多すぎると思うのだけど、キジマとフェアフィールドをはじめとするキャラの魅力と内容の深さでぐいぐい読ませてくれる。ただ、ちょっと夢の中の抽象的なシーンは冗長なように思えた。
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ジョーカーゲームから火がつき、遡っている途中。まずはトーキョー・プリズンから、ということで読んでみたが、上手い。面白い。
スガモプリズン内で発生した殺人事件を説く主人公とキジマ。記憶喪失のキジマの真実とは?
当時の世界情勢や複雑な民族意識がよくあらわされている。特にニシノを通じてそれがよく出ていたように思う。好き嫌いが分かれそうなジャンルだが、私はもちろん大好きである。
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戦後の独特のやるせない喪失感と重苦しい空気が
ヒリヒリ伝わる描写にまず引き込まれます。
探偵の一人称で語られるストーリーですが、
あくまでもストーリー上の探偵は更に別にいて、
その探偵が被告を兼ねるという設定もいいですね。
作中のいくつかの謎解きや(流石にオウムの件はビミョーですが)、
ラストの意外さはミステリーとして逸品。
そして何より、カッコいい小説。
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ニュージーランドの私立探偵が、巣鴨プリズンで三つの謎に挑む。①従兄弟の行方、②プリズン内で死亡した軍曹の自殺の動機、③元日本軍人・キジマの失われた記憶。3つの謎が並行して描かれるので、きっとこれは最後に収斂していくに違いないと思い、わくわくしながら読んだのですが、あんまりわくわく感のないまま終わってしまいました。また、謎解きの部分も、ちょっと無理がある部分と、ちょっとわかりやすすぎる部分があり、ミステリーとしての完成度が高いかと言われると、苦しいところです。
ただ、小説の背景をなしている、人間を決して一面的に見ない著者の姿勢と偏見なく事実をみる姿勢には、大変共感するところがあります。
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こいつはスゴイ!
アームチェア・ディテクティブものか?戦犯ものか?謎解きか?
すべての要素を兼ね備えつつ、ストーリーは緻密に静かに、計算しつくされた絶望へと進む。
シャーロキアンを喜ばせる随所の仕掛けといい、最後に解き明かされる切ないまでの生への歪んだ希望といい、文化の違いによるコミュニケーションエラーといい、いろいろな意味で出会えて嬉しかった作品。
何度でも言うけど、あたしはハッピーエンド以外は受け付けられない。
それでもこの本は、★5つ。好きな芸風なので。
しかしこのミスで、2009年度この作品を抑えて一位だった伊坂孝太郎のゴールデンスランパーとは?
読まねばなるまい・・
しかしアマゾンの読者評とあたしの採点、あわないわぁ。
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決して完璧ではないと思うが、はちきれんばかりに漲る意欲が感じられる力作。
第二次世界大戦時下(およびその直後)の日本を舞台としており、設定その他は取り立てて個性的というわけではないが、そこにチェアディテクティヴならぬベッドディテクティヴ的な役割を担う記憶を失くした日本人捕虜が登場したり、はたまたおそらくは作者の個人的な意見を代弁しているであろう天皇制観も語られるなど、彩る要素は充分に興味深く、“読ませる”作りになっている。
すべて消化しきれてはいないが、作中で提起されているいくつかのテーマからも文学たらんとする矜持が伝わってくる。
また、文庫版の解説でも触れられているが、古典ミステリーに対するオマージュも含めた、一種翻訳もの然とした表現も悪くない。
冒頭に完璧ではない、と述べたように、ツッコミどころや綻びはなくはないが、全体を貫く縦糸は、読者に行く末を追わせるに足る魅力を備えているし、また物語の締め方もしっくりくる結末だと感じた。
著者の作品としては近作の「ジョーカー・ゲーム」の方が売れているし評価も高いようだが、個人的にはこちらの方が好きだ。
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日本軍の、戦争の生み出した悲惨さ。夢の蝶、穴、死が群がる…。
天皇万歳と叫ぶ日本国民の、海外から見た際の一種の異様さ。
文化の差異。
狂気。
そういったもの。
犯人は意外だった。意外だったけれど納得した。
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戦争で行方不明になった従兄弟、探偵事務所のパートナーを探しにスガモプリズンにやってきたニュージーランド人、フェアフィールド。
ジョンソン中佐から記憶喪失の元捕虜収容所所長の戦犯キジマの担当にさせられる。ゲーリングの自殺をポマードに隠した青酸カリと言い当てた。
巣鴨で密室殺人。その推理をキジマにさせたい。キジマは戦争中の記憶を失っていた。アベが密室殺人。アベはスパイだった。
キジマに親友と婚約者の妹キョウコが面会にくるが、面会拒否。キジマに対する米軍捕虜の発言は文化の違いによるものだった。
物的証拠がない。捕虜が書いた感謝状があることがわかるが、東京駅で盗まれる。スガモの密室殺人はオオバが毒入りタバコとオウムを使った無差別
殺人だった。ゲイの歯医者が自分が持ち込んだ青酸カリだと勘違いして自殺。そのゲイに惚れていた美少年が歯医者が自殺するのを恐れて盗む。
歯医者の自殺をキジマのせいと思った美少年がキジマを撃つが、寝たふりをしてよける。乱闘になり記憶が戻る。裁判が再開される。
すべてを認め絞首刑になる。フェアフィールドにことも記憶にないと言った。絞首刑の日取りを教えてもらいキジマの最後を見に行く。
最後の言葉はホール。独房に穴があった。ロープを用意していた脱走していたのは穴を隠す為だった。
穴の中には自分を狙ったいたのは親友の頭木と暗号で書いてあった。捕虜の生活改善をすると恨まれた。結局、捕虜を殴っていた。
脱走して農家の新妻(銀座のパンパン、裁判で殺したのは私と言うつもりだった)を強姦した男を殺したのは自分。包丁で刺された時は生きていた。
20年後にキョウコがニュージーランドに来ることがわかる。真実を話す。すべては頭木の犯行だった。オオバは元部下。
T島で捕虜を殺して食べていた。たぶん、その中に従兄弟もいたかもしれない。裁判が始まると頭木は発覚を恐れた。自首しようと言ったキジマ。
殺そうとするが、記憶喪失となりスガモプリスンに入る。いつ思い出すかわからないのでオオバを使い殺そうとしたが、オオバが狂ってしまう。
キジマの母に会いに長崎に行った時にキョウコは被爆者。髪の毛は生えてきたが、顔の火傷は残っていた。
キョウコはすべてを知っていた。兄は7年前に自殺。
廊下を出て行く、キョウコを見送る。振り返り、「メーリークリスマス。ミスタ・フェアフィールド。メーリークリスマス」
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『坊っちゃん』を読む→『贋作「坊っちゃん」殺人事件』を読む→『トーキョー・プリズン』を読む→柳広司のファンになる。という見事な流れが出来上がりました。■探偵好きというか、ホームズ好きには、よりおいしい話になっていると思う。■コンビもののミステリーって(何となく)シリーズ化するイメージがあるのだけれど、しっかり一つの作品で終息しているのが好き。■ずっと独房にいながらの推理で、物語を動かしてしまう、囚人・貴島は魅力的。■私は戦争も戦後も知らないし、「スガモプリズン」や東京も、とても想像できそうにない。■「誰が殺人を許さないのだ?」「むろん、人間の良心が、だ」「それなら、戦争中は人間の良心が殺人を許すのだな?」