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著者は失敗学を提唱している著名な元東大教授です。
失敗学とは、事件や事故の発生原因を工学的に分析して、
その原因で発生した「失敗」をどう組織や個人が受け止めるのか、
そして、どう対応して、教訓として活かすのか考える学問です。
非常に有益かつ、また現代の社会状況のニーズに非常にマッチした実践学問です。
その著者が記したこの『回復力』は、主に個人の失敗に対して、失敗を個人が受けてとめるのか、
そしていかに、その失敗から立ち直るのかが、本書で述べられています。
背景にあるのは、個人の失敗→うつ状態→最悪自殺に至るという、
ケースが日本で非常に多いからです。
それは、一にも二にも、私たちが「失敗」ということに対して、体系的な知識も、対処法も、教わってもいないこと、
また、自らも学ぼうとしていないからです。
失敗=怖い、失敗=起こってから対処する、
これは、何も武器を持たない人間が、戦車に立ち向かっていくぐらい無謀なことです。
失敗は誰しもが経験する「当たり前なこと」です。
その失敗に対して、どう準備をするのか、
そして、失敗をしたら、どう対応するのかを、私たちは、学ばないといけません。
なぜなら、失敗してからでは、遅い場合が多々あるからです。
世の中は理不尽なもので、他人の失敗や組織の失敗、また国の失敗でさえ、
本人に影響を及ぼします。本人の失敗として、カウントされることもあります。
生きていて、失敗から逃れることはできません。
それは、私たちが、学び、働き、養う上で、失敗というものは、
必然的に起こるからです。
こういった状況を考慮すれば、本書を読む価値は十分にあると思います。
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畑村先生の本は読みやすい。この本も、なかなか良いと思った。失敗から回復して成功につなげるために、基本的な考え方は、この本だけで学べるわけではないが、参考になることも多かった。
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「回復力」畑村洋太郎。2019年3月に読了。
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畑村さんの本の中で恐らく、いちばん読みやすい。
そして、畑村さんのユニークで愛に溢れた個性が味わえます。本全体は大まかに言うと、「失敗から回復する力がいちばん大事やねんで」という感じ。
とにかく、失敗したらそれだけで疲弊しているので、「失敗をすぐに償おうと頑張ったらアカン、すぐに償わせようとしたらアカン」という主張。
失敗から回復するためには、
●現実逃避して
●よく寝て
●美味しいものを食べて
●失敗の他人のせいにするような愚痴を、誰かに聞いて貰う。
上記を経て、回復してから、失敗を償うなり活動するべきだ、というご意見。僕はとても同感です。
もちろんこんなことは、もう哲学みたいな領域であって、工学とか理系的なロジックではないと思いますが、その辺が、理系も深めていけば、全て哲学のゾーンに突入しますから。
結局「失敗学」って、人の弱さを責めない、愛だなあ。と。自信はありませんが。
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ちょっと思うところあって読んでみた。
誰でも失敗しうる。それが思いがけず大きな被害をもたらすこともある。人命が関わったり、巨額の損失が発生したり、信用を失ったり。レベルは様々、日々失敗しているとも言える。
実は先日、某ショッピングサイト利用時にクレジットカード情報が盗取されるという被害にあい、お店からお詫び文書が届いたところなのだが、仕事柄、店側(及びその店のシステム作った会社)の対応を思うと、他人事じゃないなあと苦い気持ちに。
(脱線:盗取はされたものの、クレジットカード会社の方にはこちらはこちらでちゃんと不正使用パターンを検知するシステムがあるそうで、それのおかげで実害はなしで済んだ。それがわかったときは、そのシステム作った人ありがとうと思った!)
で、そりゃ失敗したらリカバリーのためにやらなゃいけないこと、受けねばならない制裁などもちろんあるが、失敗を苦に思いすぎてひとりの人間が死んでしまうなんていうことは絶対にあってはいけない。そうならないためにどうしたらいいか、という観点の本なので、「正論は聞き流せ」とか「逃げてもいい」とか「お叱りを真摯に受け止めすぎるな(鈍感であれ)」とかいったことが強く言われている。
人は弱く、失敗の直後なんてショックでエネルギーが無くなっている状態なので、事態をよくさせるための思考力や判断力や行動力はない。そういうときに下手に動いてもいいことはないから、とにかくエネルギーが回復するまで待つのが良いのだ、ということだ。なかなか難しいが、エネルギーが戻ってくれば自然と動き出せるようになるし、その時は必ず来る。だからそんなときこそ、美味しいものを食べたり、聞き上手な友人に愚痴を聞いてもらったりなどして自分に優しく過ごしなさいと。
失敗した人があまりのんきにしてると、ちょっとは反省の色を見せろや~と思ってしまうこともあるけれど、【失敗を苦に思いすぎてひとりの人間が死んでしまうなんていうことは絶対にあってはいけない】この思いひとつのためにこの筆者さんはこういう本を書いたんだろうなあと思うと、そこは諸手をあげて賛成賛成。
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失敗に対してどのように対処していけば立ち直れるかという内容。
失敗といっても個人の失敗と会社等の組織の失敗では違いがあるので対処方法も様々です。
全体的に失敗の定義が広すぎてちょっとテーマがぼけてしまったかも。
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楠木さんの「絶対悲観主義」に載ってたから読んだ本。ちょっと暗めのタイトルだけど、けっこう良かったと思う。ここでテーマになっている[失敗]とは俗に言う[大失敗]のことで、本人が立ち直れなくなるくらいの大ダメージを受けるようなやつのこと。
そんな[大失敗]をしてしまった時、人はどうすればいいのか。
大抵の人は失敗と正面から向き合って、なんとか早く挽回しようと自分を鼓舞して、頑張りすぎてしまうんだと。ストロングスタイルですなー。
でも失敗のショックやダメージででかなりエネルギーを消耗してるのに、無理矢理エネルギーを出そう出そうとするから、すぐに涸れ果てて潰れてしまうんだと。最悪の場合、自殺とか…
エネルギーは意識して自分で生み出せるものじゃないんだから、そういう時は回復するまで待てと。
必ずエネルギーは回復するから。
逃げるのも手だよとも書いてあった。
スポーツ選手のケガと同じだと。
そうだったか…確かに空回りだったかもしれないけど、なんとかしようと思って一生懸命やったのに、罰を喰らうのはほんとに合点がいかない。腹が立つ!
俺のは失敗じゃねーわ!
面白かったのは、そういう時の組織の中での立ち振る舞いのアドバイス。
誰かが失敗すると、必ず「正論」を振りかざして責め立てる人が現れる…うちにもいっぱいいるいる!
もっとこうするべきだったとか…
でも正論の通りに行動したって、失敗を避けられることはほとんどない。
「正論」はオバケ。その人の主張を正当化するための詭弁。相手を攻撃する武器にも防具にもなる。
責任を押し付けようとする人への対処法。
失敗を見る時の絶対基準はお天道様に向かって堂々と
話せるかどうか。
ここでも出てきた「潔さ」。
ひとりでなんとかするという発想をまず捨てる。
みんな自分に欠けてるところだ。
正論の使い方を身に付けなければ。
体と心がいくつあっても足りないわ。
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想像していたよりも実践的、かつ現実的な内容だった。基本は「大切なのは生き続ける事」であり、必要に応じて「逃げる」などの一時避難することもありとも。日々失敗と背中合わせの私にとって手引きとなる一冊。
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エネルギーがないからうつ状態にあるのに、そこでさらにエネルギーを出すことを要求するのは、相手に「死ね」と言っているようなものです。うつ状態の人と接するときには、このように相手にブレッシャーをかけなり、こあもの価値観を押し付けるようなことは一切してはなりません。これは専門家から教わったことですが、私はうつの人だけでなく失敗した人に接するときにも実行している。
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楠さんの『絶対悲観主義』で気になって手に取った本。失敗学については聞いたことがあったが自責タイプの自分にもよく分かるなぁと思いながら読んでいた