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開口端補正のタネ明かし。
大学院の「流体力学特論2」の参考書として購入。境界層を解説し、背景にある数学の考え方を体系的にまとめる。
境界層に限ること無く、近距離場と遠距離場をつないで一連の式を得る汎用な手法として一般化した上で多様な応用例を挙げる。非線形振動を多重尺度法で解くやり方や、共鳴管の開口端補正の理論的な導き方、量子力学の例題もある。表紙に水流の絵が描かれていることからもわかるように、数学というよりは物理・工学の本として書かれているが、各論に陥ること無く手法としての全体像が見え、自身で適用できる範囲が広がって非常に役立つ。
数値積分を経ることなく、関数の形で近似式を得る方法が習得できる。厳密解と比較した誤差評価も各章でなされ参考になる。
目次
1.微分方程式の基本的近似解法とその破綻
2.漸近級数
3.積分の漸近級数展開
○特異摂動法(微分方程式の体系的近似解法)
4.境界層理論・漸近接続
5.WKB法
6.複スケール解析
7.海の波の解析(さらに音響工学・地震学への応用))
○付録
8.特殊関数
9.常微分方程式の厳密解を得る基本公式
10.数学・物理学者年表