投稿元:
レビューを見る
レーシック受けたばっかでめっちゃ目ぇ痛かったけど、
ページをめくらずには居られなくて読了。
チェスと一生を共にした、一人の男の子の物語。
どこまでも静かに、澄んだものが染みこんでくる様な小説。
前半の、マスターとのやりとりがとにかく凄く良い。
柔らかい日の光と甘いお菓子の香り、そして何より、
全てを受け止めるマスターの優しい「手」が印象的。
☆4の理由は、
彼の奇跡があまりにも「密やか」で、未熟な私には
どうしても報われていない様に思えてしまったから。
彼をはじめとするみんなが素敵だから、例えチェスを
指せていれば幸せなのだとしても、そのチェスに織り込んで
いける幸せをもっと享受したって良かったのにって
どうしても思ってしまうんだよ。
でも、何度も読み返したら、腑に落ちるかもしれないな。
無駄のない文章が身悶えするほど美しかった。
投稿元:
レビューを見る
090112購入
こういう作家なんでしたっけね。時間と場面の転換をうまく使うのが好きです。
シナリオにうまくできればいいなぁ。
作るという作業は、決して1人ではできないんですよね。
そこを忘れないようにしたいと思います。
投稿元:
レビューを見る
新しい年を迎えまだ1ヶ月も経っていないというのに、
このような発言をしてしまっては、
少々軽率なのかもしれないが、
自分は「2009年に読んだ書籍の中でナンバーワンの1冊」に
いきなり出会ってしまったかもしれない。
そう言っても過言ではない位、
私の心をとらえ、揺さぶった一冊。
この作品を読んで、
大好きな「海の上のピアニスト」という映画を想い出した。
文中によく出てくる「チェスの海」って
言葉より結びついていったのだと思うが、
「猫を抱いて」の小さなチェス・プレーヤー
「リトル・アリョーヒン」も、
「海の上の」のティム・ロス演じるピアニスト
「1900(ナインティーン・ハンドレッド)」も、
限られた空間の中に閉じこもり、
生涯その場所から出ずに、
広大なる海の波間を放浪し続けた
「孤高の旅人」である。
自分の事を温かく受け止めてくれる人達と出会う一方、
天才ならではの苦悩や
特殊な環境で生きてきた者故の
己自身しか判らぬ孤独を味わいながらも、
「リトル・アリョーヒン」は、
「1900」が多くの聴衆を魅了する
美しいピアノの音色を奏で続けたように、
チェスの盤上に美しい詩のような軌跡を駒で描き、
対戦相手の心に「忘れられぬ対局」として刻み込む。
自由や大切な何かを生まれた時から失っていて、
見方によってはどこか哀れさすら感じさせるのに、
彼らは、「まぁ、外にも出たい気持ちもあるけれど、
自分の居場所はここしかないんだよ。」と
己に与えられた「狭い宿命」に納得し、
まるでそんな不自由さと引き換えのように
「神様に特別な仕掛けを施された」彼らは、
その仕掛けを大いに活かし、
出会った人々に感動を贈りながら、
己の人生を生きていく。
その人生は夢のように儚くて、
寂しさもつきまとい、心細いものなのに、
しかし、そこには確かに「ある人間が生きてきた意味」が、
しかも「一人ぼっちじゃなくて、
多くのしっかりとした温かい手に支えられて
ひっそりと静かに燃え続けた彼の命の炎の形」が、
読んでいる人間の心のスクリーンに映し出される。
「リトル・アリョーヒン」がチェス盤の下に潜り込み、
深遠なるチェスの世界を彷徨ったように、
私達もこの物語の奥深い海底に潜り込み、
著者の描く、美しくも、どこか残酷さを滲ませた、
おとぎばなしのような物語の世界を探検しよう。
その探検を終えた時、再び光差す地上の世界へ戻ってきた
私達の心の底には、「小さいけれど確かに存在した何かと
触れ合った奇跡」、「海底を彷徨った証」として、
ぎゅっと締め付けられるような切なさや哀しみと共に、
静かな感動と温かな涙、そして優しい気持ちが、
そっと沈殿している事だろう。
投稿元:
レビューを見る
すばらしい。
これはわたしのブックオブザマンス。
タイトルから考えたんじゃないかと思うほどハイセンス。
でも、最後があっけなかったかなぁ。
投稿元:
レビューを見る
小川洋子の物語に登場する人物たちは、とてもおだやかであたたかい。
最後は久々に声を上げて泣いてしまった
【仕事観点】
これは来春の入試に出る予感がぷんぷん。
問題作成者の力量を問われる、ツッコミどころが満載である。
投稿元:
レビューを見る
チェスと少年リトル・アリョーヒンの話。
なんつーか静かなお話デス。
文章は綺麗だし読みやすいんだけど、輪郭のハッキリしないフンワリした感じが私は駄目だー。
投稿元:
レビューを見る
頁をめくるとすぐに、とても静かで穏やかな時間が流れだす。
静謐という言葉がぴったりくる。
そして、耳に心地よい、とても美しい調べを聴いている気分になる。
ゆったりと温かなものに包まれた幸せな時間が流れだす。
心の中でだけ雄弁だった少年はチェスと出会い、その魅力に取りつかれ、チェス盤を通じて相手に話しかけるようになる。
その少年、後にリトル・アリョーヒンと呼ばれることになる彼は、大きな深い愛に包まれていた。
チェスと出会い、チェスを愛し、チェスが奏でる調べ、チェスが描く風景をただただ愛した。
チェスのルールを知らずとも、実際に対局した事がなくとも、チェスが奥深く雄大で魅力的なゲームだと理解できた。
リトル・アリョーヒンが出会った人達に深く愛されたのも、ひとえに彼がさした優美な棋譜の結果だろう。
彼に初めてチェスを教えたマスターも、チェスの虜になった彼を無条件に受け入れ、時には辛抱強く彼を待ち続けた家族も、彼に寄り添い支えたミイラも、彼に最良の居場所を与えた老婆も…どの人とのつながりも深く温かく、いとおしく思えた。
彼の短い生涯はそのほとんどをチェスに費やし、そして静かに幕を下ろす。
どこまでも深く静かな物語。
投稿元:
レビューを見る
小川洋子さんの新作だ!と発売前から楽しみにしていて、いざ買ってみると「読み終わりたくない」という気持ちに駆られて読むのに一ヶ月掛かってしまった。正直今も読み終えた事を後悔しています。この本を読んでいる時ふと、保坂和志さんの「小説は日常を照らす光である」といったニュアンスの言葉を思い出しました。それが、この本の一番の感想かもしれない。本当にこの人の言葉の世界観と深さは、彼女自身以外、もしかすると本人でさえ表現出来る人は居ないんじゃないだろうか、と思うほど。今回の話も素晴らしかった。最後は泣かずにはいられないです。大切にしたい本の一つになりました。
投稿元:
レビューを見る
穏やかで知性的でもあり艶めかしくもある小川洋子らしい素敵な作品。
ラストもある意味彼女らしいなと思った。
投稿元:
レビューを見る
小川洋子のなかでも最高の一冊である。特にチェスの対局の描き方といったら名人芸だ。小川洋子は勝負ものの書き方が極めてうまくて、「ミーナの行進」のときもバレーボールの試合がずば抜けて面白かった覚えがある。
そして、今回はチェスである。次から次へと訪れる対局を胸躍らせて読んでいるうちに、ラストまで読んでしまっていた。
主人公はチェスバカで、まじめ人間。そして内向的な性格。でも、ほのかな恋愛感情がほんの少しあって、それがすごくよかった。主人公が思いを寄せる女性と文通している。それは単なる文通でない。手紙には文字はなく、チェスの棋譜をやりとりしているのだった。でも主人公はあるとき、棋譜でなくて本当の文字の手紙を書こうと考える。長い手紙を書きたいと。
そして、最後の最後に残るのは棋譜だけ…。
美しい話だけど、やっぱり悲しすぎる。悲しいから美しいのか。
投稿元:
レビューを見る
泣いた。泣くとは思わなかったのに泣いてしまった。
『大きくなること、それは悲劇である』
これは大きくならずにはいられない万物への皮肉なんだと思う。
大きくなることを恐れ続け、11歳の大きさのままで大人になってしまったリトル・アリョーヒン。大きくなることを恐れるリトル・アリョーヒンにやるせなさを感じずにはいられなかった。
美しくて切なくてそして少し心温まる作品。例えるならリトル・アリョーヒンとミイラが、博物館の片隅に並ぶ小さな小さなチェス版について語る時のように、小さな声で語りたくなるお話。
投稿元:
レビューを見る
2010.08. 久々に読み返してみた。前読んだ時より、じわじわと、良さが染みてくる。やはり、小川洋子さんの書く文章は好きだな。 リトル・アリョーヒンのちょっぴりグロテスクな風貌さえ、愛おしく感じるのだから。
2009.02.17.
投稿元:
レビューを見る
やっぱり文章がキレイ、心地良いですね。
チェスの世界は全くわからないのですが、その美しさが伝わってきます。
ちょっと脛毛は、うーーん、となってしまったけれど、
マスターとのお話はステキでした。
09.2.10〜2.17読了
投稿元:
レビューを見る
強く、を目指すチェスではなく、美しさを目指すチェスの話。話は面白いんだけど、唇から生える毛というのが生理的にどうも…(苦笑)。人間チェスのあたりがなんだか心に響きました。
投稿元:
レビューを見る
リトルアリョーヒンのチェス盤に寄添う時間が愛おしく感じました。
チェスが暇つぶしであっても、目的を達成するための手段であったとしても、チェスはチェスでしかなく、チェスの前に人は人でしかないと思わされるが故に、宇宙を感じるのかもしれません。
私にとっての”リトルアリョーヒン”は何でしょうか?と考えちゃいます。