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紙の本
「状況証拠」を積み重ねても
2023/05/28 22:38
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「川上操六参謀次長が日清戦争時に朝鮮で敷設した電信線を維持する為に閔妃暗殺を起こした!」という趣旨だが、色々な人物の略歴を触れる割に肝心なところでは「状況証拠」を積み重ねるだけで、仮定形で語られるところが多い。当時の日本は三国干渉を退ける事が出来ずに「臥薪嘗胆」を合い言葉にしていたのはよく知られた事だ。何だか韓国併合という終着点をあるから、それで論じているようだが、明治28年時点の日本では、どうだろうか?
杉村濬の「在韓苦心録」から「余は実に其の計画者の一人たるをまぬがれず、否、寧ろ計画者の中心たる姿なりし」と引用しているならば、何故外交官の彼が生前には未公刊の回想録で「川上操六主犯説」とは矛盾する事を書き残したのか、を著者は説明すべきだ。
「明成皇后閔氏の写真として知られている写真は別人の写真であるが、まだ現物は見つかっていないにしろ、明成皇后の写真は存在した!」と「日本人が写真を使って閔妃を殺した!」という聞き書きを元にして書かれた証言を元にして論じている。
角田房子の「閔妃暗殺」や木村幹の「高宗・閔妃」じゃあるまいに、この本の主張とは矛盾するような「被写体は明成皇后?」という写真を使ったカバーをデザイナーは作るべきではなかった。
中公新書の「韓国併合」の著者は孫引きした個所の頁数くらい触れるべきだった。
著者は新納海軍少佐という人物に一章を割いているが、何が何でも「閔妃暗殺の関係者」に仕立て上げたいらしい。海軍が陸軍とは別に情報を収集するのは当然だが、著者は彼が関わっている文書を見つけられなかったらしいのに「しかし、首謀者と同等の位置に立っていたのは疑いない」(同じ意味の事を2回書いている)と「断定」している。著者は彼が明治26年の「職員録」には「従六勲五」とあるのを引用しているのに、明治28年に「功四級の金鵄勲章(終身年金五百円)と双光旭日章が授与された」のは長岡外史や上原勇作らの「功四級金鵄勲章・単光旭日章より高い評価である」と不可解な事を書いている。少なくとも明治25年には勲五等に叙せられている軍人が論功行賞で勲六等に叙せられるわけがないし、昭和15年まで金鵄勲章には年金がつくのだから。著者は同僚から日本の勲章制度について聞いたとあるが、まさか長岡外史や上原勇作のような陸軍の軍人に賜った金鵄勲章には年金はなしだとは言わないだろうね?こうなると「川上操六主犯説」と同じで陰謀論そのものだ。
この本にある引用文で山辺健太郎は三浦梧楼を「知能の程度は一七歳の低脳少女に似ていないだろうか?」と高島忠夫・寿美花代夫妻の息子を殺した家政婦に喩えているが、さすがに自分を知っている転向者を「ここはお前が来るところではない、帰れ」と怒鳴って突き落とした非転向に輝く「闘士」だけあって、露骨な表現をするものだ。
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