紙の本
アスリートのメンタル面への理解が進む
2011/03/28 19:26
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
朝原は長く日本の短距離走を牽引してきた。北京五輪の400メートル・リレーでは銅メダル獲得という快挙を成し遂げるに至る。本書は、その充実した競技生活を振り返ったものである。
朝原は落ち着いた雰囲気をもっているので、安定した成績を残し続けてきたかのように見える。ところが、意外にも疲労骨折という怪我をし、メンタルのコントロールにも苦労している。競技者の内面については、本人が明かすしかないので、こうした本はなかなか貴重だ。
朝原は自分のことを何度も楽天家だと言うが、その時々のトレーニングのことをこまめにメモしているように、慎重な性格でもあるように感じられる。
レース前に緊張し、ピリピリしていても、リレーのほかのメンバーからは「何を考えているかわからない。無ですね」などと言われていたという。かなり近くにいる人でも、人の心の内など分からないと思った方がいいのかもしれない。
朝原はおそらく、ドイツにいた時代やアメリカにいた時代のトレーニング法やウェイトトレーニングの意味などを本書によって書き残しておきたかったのだろう。しかし、読み応えがあるのは、北京五輪の400メートル・リレーで、予選から決勝にかけて重圧がかかってくる場面だ。
こうした日常からかけはなれた場面において、どんな風に気持ちが動くのか想像もつかない陸上競技の凡人には、とても興味深く読める。北京五輪ではアメリカなどの有力国がバトンを落としてしまう展開になったが、そうした起こり得ないことが起こりうる怖さは朝原の心の動きからも理解できた。
前走者の動きにあわせてスタートを始め、加速のついた最適な位置でバトンを受け取るという、リレーとしては当たり前と思える動作がことのほかむずかしいのがしっかり伝わってくる。
朝原に期待されるのは、こうしたトップアスリートの事例を集めて分析し、理論化することではないだろうか。後進が応用をきかせられる形に編集するのは有益だと思う。
アスリートが自分の経験を理論にまで高めている例はあまりない。それができれば、朝原の経験がいつまでも生き、あとに続く人が、陸上競技でファイナリストになれる可能性が大きくなると感じられた。
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先頃引退された、スプリンター朝原氏の自叙伝的な本。
スポーツという勝ち負けのはっきりでる世界で、かつオリンピックという最高峰の世界に生きた方の考え方に興味があって衝動買いしました。
内容は自叙伝的要素が強く、陸上のテクニカルなことがウェートとしてかなりの比重があって、陸上、そしてスポーツを知らない人間にとってはちょっとわからない部分が多々ありました。
実際私はアスリートじゃないわけですし、100%どころかその言葉のいかほども「理解」できたかといわれると自信がないです。
ただ、自分の体を自分で「体との対話」を何度も何度も繰り返してマネジメントする難しさと大事さ、成功パターンという感覚を蓄積していくことの重要性(自分の勝ちパターンを蓄積すること)、そのために、これいいなと思った感覚をすぐメモし、見直すことが大事だということ、メンタルトレーニングの重要性と本質(あとはやるだけ!という精神状態に持って行く、そのための練習量と場数がないとうまくならない、近道は存在しない)など、やはり一流の世界で活躍された方の知見は、他のことにも参考になる部分はたくさんありました。
あとは、実践してくことで、実感値として定着させることが今後の課題といえるでしょう。
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朝原さんは4度のオリンピックに出場するなど、日本のトップスプリンターとして活躍してきた方です。2008年の北京オリンピックでは、銅メダルを獲得した4×100mリレーのアンカーをつとめました。
朝原さんは、兵庫県出身で、高校も県立夢野台高校卒業ということもあり、前から親しみを持って応援していましたので、北京の中継を見ながら感動していたものです。
今回、北京を最後に引退されたわけですが、本書では、朝原さんが念願のメダルを獲得するまで、いかに体力、精神力、モチベーションを維持してこられたのか、が書かれています。
スプリンターでないとわからない感覚のようなものが書かれていて、どうも理解できない部分もありましたが、読み物として面白かったです。トレーニング本ではありません。
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体の使い方に関して書いてあるのかなあと思ったら違ったのでそこはチョット残念だが、でも内容はトップアスリートはこういうこと考えているのねっていうのがわかって中々面白い。
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マラソンじゃなくて
短距離走の人の話を読んで
見たかったので買ってみた。
「体幹(たいかん)」の話が
出てきますね。足や腕じゃなくて
体の中心(胴体)に筋肉を
つけましょう、という話。
30歳を超えると筋肉を
つけるのが難しくなります。
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北京リレー銅メダルアンカーのトレーニングの考え方とか方法とか。
自分の身体はマネジメントできる中で自分に最も近いものかもしれない。
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【2】
・体の中心から動かす感覚
・感覚を「言語化する」
・ゆる運動ーリラックスと重力
・体幹のブレをなくす
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[ 内容 ]
36歳の日本人である著者が、究極のスプリント種目4×100mリレーで世界の黒人選手を退け、メダルを獲得できたのはなぜなのか。
その秘密は、卓越した自己管理能力にあった。
やみくもに筋トレに励んでもパフォーマンスは上がらない。
己の感覚と「対話」しながら、体のメカニズムを追究し、筋肉を的確に操る。
コーチに頼らないそのセルフマネジメント力こそが、衰えない肉体を作り上げてきたのである。
試行錯誤の末に辿り着いた、究極の身体論。
[ 目次 ]
第1章 いかにして重圧に打ち勝ったか
第2章 ケガによって訪れた転機
第3章 速く走る体のメカニズム
第4章 衰えない体を作るトレーニング
第5章 自分の体は自分でマネジメントする
第6章 勝つためのメンタルコントロール
第7章 魂のバトンと引退を決めた理由
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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・自分の走りとは、どうすれば速く走れるのかを常に考えた。そして、未来の自分を明確にイメージすることができた。
・自分の体の内面にある「型」のようなものをしっかり覚えておいて、そこにガチッとはまると良かった動きが再現できる。良かったときの感覚を忘れてしまうと、パフォーマンスの「再現性」が低くなる。
・速く走るための「秘密」を発見する上でヒントになりそうなことをメモして残しておくことで、後から思い出せるようにする。ただし、メモはあくまでその時点で気付いたことであって、一生涯に渡る考え方ではない。
・「己を知ることが一番大事 」
自分の目標と目的を明確にし、自分を知り、常に考え行動し、フィードバックする
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トレーニングをしている人が自己管理能力向上できる肉体マネジメントの秘訣とは?
という問いに対して、この本から読み取れるメッセージは、
「トレーニングで大切なポイントは、“感覚”と“再現性”。自分自身が自分のコーチになることで肉体マネジメントが出来る。』
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大雑把だが、トレーニング比率、その結果に対する考察、そして走りに対する感覚的な事が書かれて良かった。
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言わずと知れた、あの北京オリンピックで、トラック競技男子初の快挙!銅メダルに輝いた「炎のアンカー」朝原選手が書いた本である。
タイトルは「肉体マネジメント」であり、年齢とともに衰える肉体を自らマネジメントしてコンディションを保ち、日本最速の男として走り続けられたことそのものが焦点であるが、私が知りたかったのは、北京オリンピック予選を3位のタイムで終え、メダルの可能性を残した状況でのチームの真実であった。
バトンを繋ぐロスを最小限に抑える技術をもって、実力で決勝に残った戦士達は、どのように決勝を戦ったのか、そこには例える言葉が見つからない程の巨大なプレッシャーに打ち勝つ精神があった・・・
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書店でやたらと目についたので、買ってみた本。
北京オリンピックで4×100mリレーのアンカーとして走った朝原宣治さんが書いている。
内容は半分が著者の選手時代のエピソード。
もう半分が自分の体のマネジメントの心得といったところ。
私自身が、陸上にあまり詳しくないため、それほど楽しめなかったが、陸上種目の経験がある人はより楽しめたのだろう。
納得できた点は以下。
「先ほど感覚の『再現性』ということを書きましたが、再現させるには、体のこの部分を意識して、こう動かせばいいというコツのようなものがあります。それが『感覚のスイッチ』です。(中略)
それを自分の中できちんと確立しておかないと、再現することができないのです。」(p.138)
記録することは重要だと思う。
「体で覚える」という言葉があるが、体言葉の両方使うと、より効果的なのかもしれない。
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40歳を超えてなおトップのレベルを維持できるのか。肉体のマネジメントだけではなく、自身との対話も非常に大切なファクターである。道は違えど参考になる。
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「誰にでもあてはまる、絶対にこれが正しいというトレーニング方法はない」という筆者の考えに共感しました。
コーチに頼らないセルフマネジメントを追求した筆者から出るこの言葉は説得力があります!