紙の本
草食系男子のロマン?
2009/03/02 14:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:A-1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名は、個人的には全く興味を引かれない熱帯魚がらみ。
個人的に、概ね魚というものには、ビジュアル的にも食材的にも好きだけれど、魚(に限らず生き物全般)を飼うということは、繊細で手間が掛かる「生活」だと思っている。
特に、熱帯魚のあの薬品というか鼻を突く独特の匂いと、つぎ込む金額を考えると飼うことにはどうしても腰が引けてしまう。
(填っているらしい人は、周りに何人か居るのですが…)
しかし、やはり表紙の魚の美しさになんとなく手に取ってみた。
主人公はディスカスに填ってしまったせいか、四年目という倦怠期に相まったせいか、つきあっている彼女との恋愛に割く時間がおぼつかなくなっていく自分にとまどいを感じながら、流れに身を任せて行く…というお話。
(またざっくりな要約ですが…(^^;)
内容はオーソドックスな形態の小説のようにも見えるが、主人公がディスカスに思い入れ、匂いと水の透明度を見るだけでPHを言い当てるまでに極めているオタクぶりには、何故か幻想的な雰囲気を盛り上げて面白かったです。
主人公の熱帯魚への入れ込みようについては、昔パソコンのあれこれに手探りで填ったことを思い出して共感出来なくもなかったし…。
しかし、だいたいにおいて、生き物の飼育には明確なノウハウが無いことが多いように思う。
むしろ、(生き物なだけに)数箇条では済まないルールや方法が調べれば調べるほど多岐にあり、完璧にあろうとするほど片手間では済まない感じがある。
メールやブログを放置するように、ペットを放置することは即死にさえ繋がる。
最低限のルール成すために、自分の生活を変えなければならなくなる。
それは「好きである」=「愛情」ということで補填出来ないことには、やっていられるものではない。
それは、「恋愛」も似ているとも思う…。
ディスカスの寿命は5年くらいだという。
つまり、ディスカス云々ではなく、そこに彼の恋愛周期というものを重ね合わせているのか?とも読める。
慎重に、魚が快適なように、病気にならないように、死なないように調整し、愛で、そこに少なくない資金を投じる…。
(これも、「魚」を「恋人」に置き換えても意味は合う内容だ…)
オタク趣味に共通したベクトルではあるが、プラモデルやゲームやアニメキャラクターとは違い、生き物を相手にする趣味には、資金以上に、前者以上に神経や思考をも投じる、ある種究極の身の投じ方だと思う。
どちらにせよ、のめり込めばのめり込むほどに世間と隔絶し、厭世に成らざるを得ないと言う意味では、出家も同じことかも?と、
色は絶っても、あるベクトルの欲はむしろ肥大化して居るから「出家」とは絶対的に違うが、精神世界に入っていくような感じや、そういう極みを目指しているような感じが似ているように思うことがある。
また、趣味に没頭していく主人公の逃避とも取れる態度に、ふと、趣味でなくとも仕事に没頭すればこんな感じだよね…とも感じたり。
幻想小説的な雰囲気がある、ある意味SFにも読める、色々と深読みが楽しいお話でした。
昭和の古い小説でも、平和に慣れ、仕事に疲れた淀んだ日常の主人公の似たものを読んだような感触があるような気がしましたが、ただ、こちらのほうが更に生活感に疲れを感じず、むしろ透明度があって、より身近に感じられて(オタクぶりにw)、恋愛より趣味の世界に身を寄せる主人公が今風だなあという感じはしました。
最後まで自制が効いていて、美しいロマンス小説かな?とも思いましたが、結局は草食系男子の恋愛?
それはそれで、今風な題材ですね。
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主人公の名前が「涼ちゃん」で、なんか混乱した。
自分の経験と合致する箇所が多くて切なかった。
失った恋人は戻ってこないわけですよ。
その代償として得たものを確かめることで、
人は報われたりするんだろうね。
そこでひと段落着いたとき、確かめられたとき、
失ったものへの未練がなくなるんだと思う。
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熱帯魚なんて興味ないのに
ディスカスなんて見たこともないのに
なんでこんなに引き込まれるんでしょうか?
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ふと本屋で見かけて気になった本。
作者の「パイロットフィッシュ」の読後感がとても好きだったので
ひょっとして、続編・・・?と思って図書館に予約。
結論。
熱帯魚を飼ってる人って、凄いわ・・・。
スゴイでもすごいでもなく、凄い。凄まじい。
主人公の執拗なまでのディスカスへの執着に気圧されます。
恋愛要素よりも熱帯魚についての記述の方が圧倒的に多いです。
熱帯魚への愛かと、本気で疑いました。
でも、やっぱりこの人の読後感が好きだなあ。
ぬるく漂いながら時が流れていく雰囲気を
最後の最後に感じました。
主人公には共感できないのに、なんでだろ。
不思議。
でもキライじゃない、この感じ。
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ディスカスそのものが好きなひとにはいいかもしれないけど。
とりあえずディスカス飼ってみたいとは思った。
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熱帯魚の王様「ディスカス」を通して世界を知る.
何事も極めれば同じところに辿り着くのかもしれません.
ただ残念なのは,別れた彼女の話がくどい.
純粋にディスカスの話だけなら★4つ.
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これは削って100枚程度にできそうだった。
よく知ってるなぁ、とか、やったんだろうなってのはわかるけど
押し付けがましくなると、色々見えなくなる。
恋愛との繋げ方は、よかったかな。
ディスカスから宇宙が知れるってのは、よかった。
でももっとおおきく話を書けたらいいのにな、と印象。
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大崎善生の小説。
熱帯魚のディスカスを飼う事に没頭しながら、過去と向き合ったり、そこから目を逸らしたり。自分と愛する人、その結末をディスカスの水槽を通して見つめる。
日常のゆったりとした流れの描き方とディスカスにまつわる細かな描写はさすが、
「パイロットフィッシュ」を思い出すなあ。
水槽を前にして過去の思い出や、様々な出来事がすべて繋がっていくのを感じている。
事実帰ってこないものでも、心の中をいろんな物に投影することがある。
熱帯魚には何かしら宇宙とか神秘性を感じてしまう。
何かを理解出来るかもしれない喜びや興奮はロマンでもあるわけで。
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タイトルに反して飼育本ではなく小説。
ディスカス飼育にのめりこんでしまった男の話。
飼育のウンチクは熱帯魚をやったことがないと読むのは辛そう。
なんともいえない不健康な雰囲気が一冊通してただよう。
ただ熱帯魚をちょっとでも好きな人はそれなりに面白く読めると思う。
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「大崎梢」と間違えて借りたって事はここだけのヒミツです(笑。でもまさに「ケガの功名」、とても切ないラブストーリーでした。お話はもちろん「ディスカスの飼い方」を中心に進むんですが、その合間にはさまれる彼の彼女への想いに心がうずきます。
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この人の作品って、持ってる雰囲気がきれいだなぁって思う。
『パイロットフィッシュ』によく似てる気がする。雰囲気も読後感も。
パイロットフィッシュ、アジアンタムブルーと、登場人物が同じかな?と思って、図書館で借りたんだけど、また別物だったのねw
話の筋とはずれるかとは思いますが、
別れた後の恋人が、ああいう風にきれいに想い返してくれてたらいいなぁ、ちょっぴり思いましたw
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ディスカスって名前だけは聞いたことあるけど飼うのがこんなに大変とは、一匹ん百万もするなんて知らなかった。ディスカスに魅せられた男のそれこそディスカス一辺倒の生活とそれ故離れていった由真との時間がえがかれる。それまで上手く割れたことのなかった割りばしをちょっとしたアドバイスで綺麗にわれたとき、パキンと音がした時に恋に落ちた・・・ ここのところ、すき。
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ディスカスの飼い方が詳細に書かれている。
水の練り方、繁殖の方法…
主人公は少し異常だけど、読後感は意外にもすっきり。
↓以下、ネタバレ↓
ディスカスの世話をするたびに、死んでしまった恋人を思い出す。
死んでしまった恋人を思い出すために、ディスカスを飼育している。
無くした恋人を追いながら、その延長線上の新しい何かに向かって生きている。
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読みたいんですけど…
文庫あったかな……。
そして皆さんのタグがカオスなんですがwww
ちょ、気になるwww
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タイトルと表紙につられて買った。
小説内にディスカスのブリーダーの行動が綿密に書かれており、大変面白かった。このころディスカスを飼ってみようかと思っていたがこの本を読んで世話が大変そうだなぁと思った。