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  3. A-1さんのレビュー一覧

A-1さんのレビュー一覧

投稿者:A-1

104 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

なんでしょうかこの不思議な引き込まれようは…

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

センチメンタルなお話なのか?と思わせる題名ですが、
さすがは水城先生…ひと味もふた味も違います。

ずっと好きだった…少しの間つきあっていた(と思っていた)彼女に振られ、それでもまだ好きだから、どうしても振り向かせたい…
そう思って、失恋のやけくそからフランス留学。ショコラティエになって彼女のことを見返して、しかも好きだって…告白されたい…
と、数年後…本当にショコラティエになって日本のマスコミもにぎわせながら帰国したのだった。

ここまではラブコメものによくあるソース。

しかし、違いますよこのお話は…(ーー;
まだここでラブラブハッピーエンドにはならない…
といってもまあ、普通ならないかもしれないけれど、そういう意味で違うというのでなく…違うのです。

憧れの彼女は彼の帰国とマスコミの評判を聞きつけ、賞賛と共に来店してくれるのですが、購入と共に、もう決まった人がいることも告げて帰っていくのだった。

しかし、彼は諦めない。終わらない。
しかも、熱くアタックするのではなく…(^^;

冷たくあしらってみたり、自分のキャラクターにない所を演じて見せたり、といいながらも、薄い演じ方で、ターゲットは彼女一人。
完全に勘違いな態度を取っているのは傍目には明かなのですが、本人は必死。

この、あいたたた感、ある意味なんか身につまされますよね。
恋は盲目だ。

チョコと同じように、僕を好きになって欲しい…

まだそうつぶやいている内容が軽いのに粘着質な感じがドン引きできる彼(店長)の態度の表し方に、従業員(といってもつきあいは長い友人達)は、いやいやほんとムリでしょ…とあきれ顔なのだが…。

本気の人を見つめて居る人には、憧れの気持ちも芽生えます。

残念ながらターゲットの彼女以外の人のみの様ですが(;・)

そんなことも気づかず、相棒の恋の予感も、妹の悩みも気が付かぬまま、彼の真っ当なショコラティエとしての挑戦は続いていきます。

昔、この人の絵も作風も苦手…というか、むしろ嫌いだったのですが、
近年、類推の出来無い新しい風合いの絵を描き始めてからのこの作家さんの作品は、お話の内容も、格段に他の追随を許さないような高みに登ったように思います。
そのくらい、作者名買いができる作家さんです。

毎作、どこか気持ちをざわつかせるお話をよく書いている。

そこが昔私が苦手だったところの最大のポイントだったとも気づき、
そういう意味では根底は同じだと感じるのですが、
持ち味の料理する術を覚えた料理人のように、読み手を酔わせる作品を書かれています。

男女、年齢問わず、是非ご一読を。

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紙の本

未知の料理の楽しみ

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

手に入れてしまいました、ロシア家庭料理本♪
料理に対して『面白みがある』と考えたこともない方には、何がそんなに嬉しいの?と思われる向きもあるでしょうが、
私は異国料理にとても興味があり、こういうのは話を聞くだけでも楽しいのですが、実際につくれるとなればまた格段に興味津々なのです。

同じ地球の上で、同じ人間として、気候と環境が違うことによって、多彩に生み出された地場独特のお料理には、どこかで見たことがあるようなものや、はたまた、全くなんだこりゃ的な、しかし、びっくり意外と美味しいものや、しみじみと美味しいものが、まるで宝物のように隠されているのです。

もちろん、中にはそれは勘弁してくださいという個人として越えられない壁はあるにはありますが…(くさやとか、ベジマイトとかカイカオとか…)

それはさておき、この本では、ロシア人が穏やかな収穫の季節に週末を過ごした、セカンドハウス「ダーチャ」についての歴史にまつわるエピソードや、その料理を作者が習得に至る、また日常にとけ込む様を取り混ぜながら、素朴な、しかしその土地でしか知り得なかったレシピを紹介しています。

私が、半信半疑で意外に填ったのは「クヴァース(クワス)」
過去にそういえば缶ジュースでそんな名前のものが日本にもあったような気がします。
作ってみたところ、一口目は「…ビール?」イースト酵母の泡立ち感と全粒小麦パンの香ばしさと乾しブドウやレモンの酸味と蜂蜜と黒糖が相まって、不思議な味わい。
友人の子供と初夏の炎天の動物園にて、奪い合いの大人気の飲み物となりましたw
いや~意外にいけます。
味はコーラの味にも似ていますしねw
冷やした方が…とよく紹介には書いてあるようですが、炎天下の生ぬるい感じがなんともあと味がすっきりして良い感じです。
しかし、問題はこの水分意外の残骸…もったいない…どうにか使えないものかと考えあぐね、沸騰させた水を冷まし、再び投入しドライイーストを振りかけると…まだ使えるw(これはженатый妻帯というそうです)

一体どこで思い切ればいいのか?と思いながら3周くらい作ってみましたが…
それにしても、この浸した元の材料の行く末は思い浮かばない…

なんとなく、あのケーキに似てる味がしているんだけどえーとなんだっけ?サバランだ!どうにかあれに転化できないものか(笑)

このクワスの甘みを入れずに作る、オクローシュカというスープには未トライなのですが、そのうち作りたいと思います。

蕎麦の実のカーシャも美味しそう♪

カプースタはキャベツの漬け物といった感じでした。
発酵が進んでくるとロシア風コールスロー?ザワークルト?といった風情です。
これも保存がきくのですが、どこまでならオッケーなのかw(一応期限は書いてますが…w)
三度までは漬け替えたのですが、常温で少し発酵させないとキャベツが柔らかくならないし、早めに冷蔵庫に引き上げないとヤバイ感も…。
冬にすべきで梅雨にはトライすべきでない品物のようでは有りますw

これは、漬け物風なのにシチーという牛肉と煮込むロシアの家庭料理の定番スープの元にもなります。

もともとは、ろくに料理を知らない頃から興味があったせいか、そんなに本人は頻繁ではなく作ってきたつもりが、姉弟達も「また作ってら…」という、なま暖かい感じで見守ってくれているようです。

作っている人が一番楽しいのか?w
この夏はフルコースで、同じ道楽のある友人たちと作って楽しむ予定です。

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紙の本

また巡り来る夏の日に…

12人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ふと気づけば高校野球の夏のシーズンです。
個人的には体育系の活動に全く所属したことは無いのですが、数年間に渡って地元高校が一世風靡し念を込めて応援していたこともあって、卒業校でもないその高校の校歌と夏の甲子園の昔ながらの主題歌はそらんじている私は、あの暑さと熱さも共に思い出し、リーリー(リードリードの略?)のかけ声やツースリーの単語にも懐かしく楽しめました。

野球部の無い高校の、一からはじめる部員募集の集まりから物語は始まります。
実は私はアニメを見たのがファーストインパクトで、「三橋ってしゃべりとか最近の子っぽいわ~」(親戚の子比)と思い、新しそうな演出には興味を持ったものの監督のメンタルトレーニングの段になると合わないなあ…思い、とりあえず興味はなかったのですが、友人から押しつけ借ることになり、読んでみたのですが、なんか良いですねコレ。(笑)
三橋君の過去の出来事によるコンプレックスが、監督やバッテリー相手の阿部君や明るい性格の田島君やキャプテンの花井君やチームの仲間達にはげまされていく過程も良いです。
それもこれも彼のピッチャーへの情熱をみんなが認めて…というのもあって…。
本当に野球が好きな子達の上下関係にも伝統にも縛られていないお話で、今までにない読み応えの野球漫画だと思います。

モモカン監督の、野球部を作るとどんなチームでもこれは!という人間が1、2人は入って来るものだ…とか、ストライクというコースゾーンはあっても直球は無いとか(ちょっと違う?)、
へえ~、そんなもんなんだ。と、台詞にもいちいち引き込まれます。

いやいや…それはないだろう…という思い切りの良いエピソードも多々ありますが、ぐいぐい引き込まれるのは、この空気になんだか懐かしい思いがするからというのもあります。
この空気…中学とは違う高校の部活を、肌で感じたことのある人には懐かしいものが感じ取れると思います。
連帯感や確執や…恋とか小さな野望とか…そんな空気。
ふと、あの時には果たしきれなかったものとかを思い出します…。

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紙の本

紙の本はみだしっ子 第1巻

2002/11/28 14:17

日常に傷つく子供達の言葉にならないペーソスの代弁者

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

黙考型で博識で優しい、黒髪に黒い瞳のグレアム。言葉は辛辣だけど優しい料理の上手い手先の器用な、フリル大好き、銀髪のアンジー。寡黙でマイペースな野生児でいつもしまシャツ愛用の、ブラウンの髪と瞳のサーニン。みんなの庇われ者でいじけやすくしかししぶとくそして可愛い、金髪で青い瞳のマックス。
全く性格の違う彼ら、四人の少年達の繊細な心の内を描き出しながら、ドラマティックにその子供だけでの生活を描くことで、彼らと彼らを取り巻く社会や大人達との意識の隔たりを浮き彫りにしながら、お話は進んでいきます。
「親を捨てた子供」と、自分のことをそう言う大人びた目をしたまだ幼い少年達。親に愛を与えて貰えず、親の元に居たままでは死んでしまうしかないと何処かで悟った彼らは、そこから飛び出した同志だった。
愛してくれる人のことを「恋人」と呼ぶのだと、身を寄せていた喫茶店のお客に教えられた彼らは、「恋人」を探して街を彷徨う。
彼らにとっての求める「恋人」は、ばらばらに飛び出した彼らが見つけた支え合う今の仲間達を引き離したりしない、みんなを安心させて、親鳥の様に庇ってくれる「親」のこと。
グレアムの親の様に、自分の価値観だけを押しつけ、心を殺してしまおうとしない。アンジーの親の様に、自分の都合のいい時にだけ愛情を切り売りし、都合が悪くなれば放り出したりしない。
サーニンの親の様に、自分の手に余るといって、都合が悪くなればあっさり手放さない。
マックスの親の様に、子供の拙い愛情も誰も受け入れられず、誰も心身共に傷つけない。

そんな「親」。

街行く人を見つめながら、探す彼らですが、つめたい雪が降っても、その人は現れてはくれず。
雪の中、通りすがりの人に助けられたマックスは言う。
「僕らを引き取ってくれる? 僕らを引き離したりしない? 僕を、僕らを傷つけたりしない? そうでなければ、僕らをこのままにしておいて!」
「Yes」との返事をもらって安心したマックスだったのだが、その人は医者で、だからそう言ったのだと、本気ではなかったのだと…
入院先から抜け出した彼らは、他の街で探すことにしたのだった。

この後、彼らが放浪の途中で何を見るのか、到達した先に何があるのかを見届けてください。

ちなみに、私には本作品のラストが、読んだ当時、あまりにも救われないものだと思ったのですが、実はハッピーエンドなのですよね?
その本当のラストの意味は、ムック本である「はみだしっ子全コレクション集」で作者とくらもちふさこさんとの対談の中に…
うーん、わかりにくかったというか…でも、わかりにくかったからこそ嵌ったというか(笑)

ところで、彼らの親の愛情の欠落の特徴を見て、いつか、そんなことを多かれ少なかれ子供の頃に思わなかったでしょうか?
そうは思わない人も居るかも知れませんが、私には子供時代にすごく共感できたものでした。そりゃ、もちろん彼らの親達ほどは酷く思えはしなかったですけれどね。
そういった親のこと、社会のこと、友達のこと等色々なことを考えさせられる物語でもあります。
私にとっては、子供時代ぼんやりとした悲しみを抱えて、手だて無く途方に暮れていた目の前を切り開く術を教えてくれた、理論立てて自分の状況を見据えたり、改善策を考えたり、社会のことに関心を持ったりする基礎を培ってくれた作品でした。

今、そしてかつてこの本を愛読した人は皆そういう感想を持ち合わせていると思います。

実は私がこの本をはじめてに手に取った時、表紙を見てこんなに深い話とは思いも寄りませんでした。深いです。本当に。
彼女の作品に共通する繊細な心の揺れ動き、演出と物語の巧みさと深さを見て欲しいです。

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紙の本

ボクの地球で救われるのは…

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

それこそ10年以上前に流行った漫画「ぼく地球(タマ)」といえば「ぼくの地球を守って」で、
当時はアニメ化もあり、当時流行の前世あり転生ものだったということもあいまって、
知っている限りでは知名度も人気度も高かったようですが、
個人的には主要メンバーである小学生(転生前があっての主要人物なのですが)倫(りん)くんの性格…というか、
その行動の酷さに引いていまいち入り込めなかったものでした(^^;
(読んだ人は知っている…あの初っぱなのガム事件…最悪です。亜梨子(ありす)みたいにすねて泣き寝入りするだけではおさまりませんよね!(><)その後に知れるエピソードもこれでもかという感じに酷いw)

しかし、近年刊行されている、この子供世代のお話は可愛らしく、
かの「倫くん」はいまいち同情できない性格はそのままに(笑)お父さんになって、
小学生の息子 蓮(れん)くん と、その幼なじみ 日路子(かちこ)ちゃんやお友達が絡んで引き起こす事件や、
そのエピソードにはじめは大人ぶって、やがてあたふたと対処し、
時には嬉し涙を流すことになる、そんな風に報われて幸福になれる姿に
こちらも思わず涙腺が緩むようなお話の数々です。
特に猫のヒァーのお話はもう…(ノT)

一つの題名で連載しているようですが、エピソードというか事件はその時々に終わり、
次のお話に繋がっていく…という形式です。

読んで思わず幸せになれる様な物語なのは、前回が中学生が主要な主人公であり、今回が小学生の主人公であるという差もあるのでしょうか?w

とはいいながら、今回も、倫の前世の(月基地の住人)である「イケメン守護天使」ことシ-オンや、亜梨子の前世である「美女守護天使」ことモク-レンが、圧倒的な存在感でもって登場し、相乗効果的に事件に関わっていったりします。
まるで、ようやく全てを浄化する物語なのか?とさえ思わせる展開には、この作者さんのストーリーテリングと伏線の深さに思わず拍手w

この作品を読んで、前回の作品(ぼく球)を読む気になってみたら、あらためて当時厳しかった内容も深く読めて改めて見直しました。
でも、やっぱり酷いヤツでしたけど…。
アンファンテリブルでもあり…(^^;

思えば「記憶鮮明」という「記憶」にまつわるシリーズから、このお話があったわけで…続いてるのかなこのシリーズ?

確か、その前には「アクマくんシリーズ」という、シリーズ名のわりにほのぼのしたそれで居てストーリー的にも心理的にも深いファンタジーを描いていたのですが、エキセントリックな性格が追求対照なのでしょうか?
まあSFやファンタジー自体がエキセントリックなお話なわけなんですけどw

ともかく、その間の物語や(倫くんの成長過程の小エピソード)、最新刊では、前回呼称「M」こと 未来路(みくろ)を かちこちゃん のためにも、とある組織から救おうと画策していたり…。

とにかく読ませる人だなあ…と、注目です。

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紙の本

新しくも懐かしいファンタジーの醍醐味

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「あーなんか懐かしいテイストで好きだな~これ・・・」と、2巻を古本屋さんで見つけてから、気になって数巻分を一気に購入して以来贔屓にしています。(^^)
やはり、ファンタジーの醍醐味は謎知識ですよね~。(?)
ていうか、体術に忍者風中華風味が効いているのが新しい感じです。

主人公のDXの飄々とした男前っぷりも素敵。妹も天然な感じで可愛いし。
出てくる新しいお友達も色々くせ者っぽくて、物語に幅を感じさせます。
DXの将来、アンちゃんじゃないけど期待してます。長いサーガになることを・・・。

ただ、一話目からの初恋物語がドラゴンスレイヤーサーガ(みたいなもの)になって、いろいろあって王都に向かうことになり、学園でのお話になってからが少々…。
ベットしてコールしてショーダウンとかいいながら暇をつぶしているような…お貴族様な雰囲気が…。牙を納めさせられて精細欠いてる野生動物みたいな?
はじめの何かを探しているような煌めきが失われていく兄妹の台詞じゃないけど、なんとなく窮屈ぎみで…。(色々事件もあったけれど…)
このまま、まったりしちゃうのか?とも思えましたが、その後、ウルネファ編にて親友リドのお家騒動、そして、同時期にからまるアカデミーの事件で急展開を期待させます。

最近、発刊を期待している漫画が少なくなってきたので、続刊を楽しみにしています。

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紙の本

勤勉さが美徳ではない場合

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今からおよそ50年前にあたる1960年 ブエノスアイレスからある男がモサドによってイスラエルへ秘密裏に連行(拉致)された。

数日後、この男は裁判の前審問の名目でイスラエルの警察署によって警護され、また厳重に監視される環境に置かれた。

彼は、第二次大戦時ナチスによるユダヤ人大虐殺の重要ポストにあり、多大な影響力を行使したと大勢の重要被告から証言で名指しされ、被害者たるユダヤ人のみならず人道にもとる大罪を犯した戦争犯罪人として指名手配されていた 元ナチス親衛隊中佐 アドルフ・アイヒマン であった。

先の年のニューレンブルグ裁判で、かつての同僚達の証言により、そのポストがホロコーストへと被害者達を運ぶ重要部署であったことと共にその名前を世の中に知らしめたが、
彼が本当にその役割を担っていたのか、ただその証言をした戦争犯罪被告達が少しなりと罪の意識から免れようとして彼に罪をなすりつけたのか、
それが、この尋問に関わる人達、その他衆目の注目されるところだったという。

この本は、アイヒマンの戦争犯罪者たる証拠を固め、公平を持ってその罪状を裁くための、月にして7カ月、時間にして約270時間にも及んだ予備尋問記録からの歴史証言である。

はじめのうち、アイヒマンは自分自身を(階級からもわかるように)単なる歯車に過ぎず、当時(ヒムラーやその他)上層部によって下されたその命令は絶対で、逆らうことなど出来なかったのだと主張する。

彼は言う。
そもそも自分は迫害することに興味などなく、子供の頃からのユダヤ人の友人も居た。
もともとのドイツ軍での任務も、ユダヤ人の文化や習慣を理解し彼らを経済的に疲弊したドイツ国内から出来るだけの多くのユダヤ人をイスラエルへと送り届ける計画を立てる部署での机上仕事だった。
それは、同情を誘う口調であった。

しかし、その計画はその多さに行きづまり、ヒトラーは、就任後やがて人として許され得ない計画を進めはじめた。
その命令を諾々と受けた歯車達はしかし、あれだけの悪魔的所行を一端とはいえ担っておいて、ただただ漫然と仕事をしていただけの無実の使われ人と言えるのだろうか?

アイヒマン自身、確かに命令によって、罪もないユダヤの人達を列車による地獄への道行きを指し示すという計画部署に従事していたことは早くに認めているようである、しかし、その事実に間近に出会う度に震え、出来るだけ目を背けていたのだと彼は言う。

時には記憶にないと言い、時に自分の荷担を巧妙とさえいえる論調で否定しながら、周りの人間の荷担ぶりに関しては鮮明に証言する。

この2章くらいまでは、本当にとんでもない部署には居たには居たが、周囲に流されるままに任務をこなしていただけなのか?ただの小物なのではないか?とさえ思える。

しかし、これ以降、イスラエル警察当局によって任命を受けたレス尋問官と膨大な過去の裁判証言などの資料を昼夜を問わず読み集めたスタッフが、その知識量と資料でその言い逃れと矛盾を突き崩し、
その計画へのヒトラーの傾倒によった重要さから、その権力を欲しいままにし、確かにその手で大鎌を振るい、また、誤った才能の発揮によって、ホロコースト計画に大いに荷担していたことが明らかにされていく。

この様子は、サリン事件を起こしたオウム教の経緯と似たものがあるように思えた。
ナチズムの成り立ちも、アーリア人種の優越性という荒唐無稽な神話を持った新興宗教の様だ。
宗教に権力欲が絡むとろくな事がない…。

それにしても、この膨大な時間の経過(文章)には、暗闇から出口が見えてきたカタルシスを感じるより、この腐臭はもう勘弁して欲しい…。もうこいつ有罪です。もう判りました!と読み終えることを放棄したくなる気持ちになった程で、
この審問官もそうであろうと思えば、「あとがき」に肯定の文章があり、思わず見知らぬレス氏と目を合わし、同情の目配せ交わしてさえした気持ちになって、とりあえず数日おいてから読み進むことにした。

翻訳をされた小俣氏は精神科医で、ナチズムと精神医学に関する著作が多いことが知られているようである。
彼の本書出版の翻訳の目的は、その「悪の凡庸さ」(これはアンナ・ハレントのコメントの引用だろうか?)を越えて、史実から人間が起こしうる悲劇を知り、それが今後起こりうる可能性を諮るものであると端書きにある。
「夜と霧」を読んでこんな事実があるのだと知ったことから精神医学を志すと共に、ナチズムについての見識を深めててきたという。
また、編者の「注釈」に加えられた含蓄は行間の理解のかなりな助けとなっていて興味深い一冊となっている。

イスラエル警察も、ヒステリックに逮捕し刑を課して終わりとするのではなく、本当にそれを行ったのか、どうやってそれは成されたのかを引き出す約300時間にもわたる尋問はストイックに成されているように見え、その姿勢には畏敬さえ感じさせる。
この詳しいやり取りの調書はテープに録音され、それをヘブライ語に翻訳し、さらに各国で訳書が出版されているという。

かつて、聖書はその翻訳の過程で、大いなる誤りを後世にまで残していると言うが、親を収容所で殺され、その他いくつかの不遇を前向きに戦中を生き延びた審問官レス大尉による「あとがき」も寄せられ、含蓄の深い訳者の手を経たものにそんな疑念は差し挟む余地はないように思える。

しかし、鵜呑みは危険であるという例は近年の歴史にも実に多くあるし、つまり、人の手を経て来ているものに思想の差し挟む余地は残されているのだから、
それを置いても、読み返す度に自分自身の読み落としに歴史の事実も見付けられて、なお興味深い。

この調書が公開された当時、ユダヤ系ドイツ人思想家 アンナ・ハレントは
「彼に関する3600枚の警察調書を読んだ。それも正確に。私は(読みながら)何度笑ったかわからない。本当に可笑しい。この反応に多くの人々は私に腹をたてた。」との言葉を残しているという。
それとも、彼の行動の陳腐さには、深刻なシリアスさよりも嘲笑のこみ上げが勝るということか?

この裁判以後、ユダヤの人々の中で生き延びた者と被害者足らなかった者の結びつきが出来たというが(それ以前は、創造力の欠如と虚無的な諦めによって、両者には無理解の遠い隔たりがあったそうだ。)、
これを経て現在の占領地からの撤退を阻止するためであれば非ユダヤに対するテロを肯とするユダヤ人社会の世相があるという。

長い流浪の間の、アイデンティティの確立のために選民意識めいたものを培かった経緯には同情できるが、許容の無い孤立は不安と不幸の連鎖を孕んでいる。

「賢者ならば歴史に学ぶものだ」という、もうこれ以上の愚行は起こって欲しくない…

映画ワルキューレのパンフレットを見てふと「「夜と霧」を読んでホロコーストについては少しは知っているけれど、ナチスって、観念的には知っているけれど、本当にはどうだったんだろう?」と思ったのが読んだきっかけだったが、これ以後も機会があれば関連書物を読んでみたいと思う。

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紙の本

造顔は確かに効果有りです(@@)

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

母のために購入したのですが、まったく興味を示さず…

まあ私も試してみよう…せっかくDVD付きなのだから…
とやってみたら、びっくり(@@)なんかすっきり良い感じなのです。

そんな馬鹿な~というか、リンパって凄い…というか、所詮表皮一枚されど表皮筋肉といった感じです。

ただ、ちょっと慣れてこんなかんじだろうな~と適当にやると、なんかイマイチな結果になるんですよね…。

おそるおそる、こ…こんな感じだったかな?
とやると、なんか良い感じです。

ということで、力の入れ方のさじ加減がちょっと難しいのですが、確かに有効なのでお勧めです。(^^)ノ

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紙の本

大河だけど確かにJoJoのシリーズです。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「『できない』と4度まで言え。」と言うジャイロ・ツェペリの言葉。

いやいや漫画だし出来るでしょ…とかって油断していたら…。

絶体絶命の中でジョニィの叫ぶ「できるわけがない!」にぐいぐい引き込まれ、状況を押さえて余りある気を逸らされるほどの衝撃に大共感!!

JoJoシリーズは本当に面白くて、学生時代、週刊誌で弟が読んでいたよりも填ってコミックスも買って読んでいましたが、社会人になって週刊誌とも疎遠になり、このシリーズが始まってからはシリーズじゃないのにジョジョってどんだけ続くの?とか思っていたのですが、やはり荒木さんは奇才です。
展開の大河な溜めに侮っていてすみませんでした!!m(_ _;)m

彼の作品にはよくあるホラー映画なんか目じゃない程の衝撃があります。
もちろん、「人が「気持ち悪い!」と思うこととはなんだろう?」なんかが興味の対象の一つであるらしい作家さんですが、そういう怖いという意味でなく、思わすびっくりさせられるという意味で(笑)
今回のは、「回転」のレッスンのレベルが進むたびに大興奮でした。

これまでのお話の中でも、というか私の生涯の中で出会った作品の中でもこんなに頭の中が真っ白になったことは初めてじゃないかな?という体験をしてしまいました。

久々にアイデアと演出の素晴らしさに震えました。

思わず全巻買いそろえました。(笑)

燃え尽きるほどのヒートはまだ終わっていません!!(>ー<)ノ

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紙の本

紙の本メモリー 上

2007/06/29 16:57

待ちに待って楽しめました☆

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

このマイルズシリーズは、ここらあたりから今までのSF活劇系から政治社交系になっていくという噂なのですが、相変わらずの陰謀の謎ときのカタルシスがたまりません。
今回の災難は上官であり、昔なじみの尊敬すべき叔父さんでもある完璧なイリアン氏。
ウイルステロだかバイオテロだかでいきなり面会謝絶の重体・・・っていうか、その面会謝絶の状態とそこから面会にこぎ着けるまでがまた骨太にドラマティック。
溜息ものでした。
毎回のことですが、先の読めない展開にはうならされるばかりで素晴らしいです。
個人的にビジョルドのマイルズシリーズは最近では填れる数少ない本なので、本当に首を長くして待っていましたが、期待に余りあるおもしろさでした。
ビジョルドの作品はなんといっても、おじさん達がセクシーなまでに魅力的なんだよね〜。
シリーズ中、ことあるごとに馬鹿だ間抜けだと言われてたマイルズ幼なじみイワンも格好良く活躍してて好感が持てて来ました。
それにしても、毎回比喩的にも実際的にも泥臭く這い蹲ってるのに、泥臭くないのは良いです。
毎回、このシリーズは大抵が前後編で読んだな〜と言う達成感も、満足感も高いので終わって欲しくないのですが、先は読みたいし・・・でもきっと次は来年に有るか無いか・・・ああ・・・読んだら読んだで次が待ち遠しい・・・罪なシリーズです。
東京創元社さん・・・次巻の発刊、お待ちしております!!

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紙の本

ミギーがラブリーv

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ある日、どこからともなくその種は舞い降りた。
宇宙から? …それとも?

その種(卵?)は地上に落ちると次々と誕生し、はじめに遭遇した生物の脳に、その未知の本能に導かれ寄生していくのだった。

普通の高校生【信一】は、ひょんな偶然からその犠牲者の一人と成り果てかけたがからくも脳への寄生を免れる。

寝ぼけているうちに攻防した為、その翌朝は夢のように思ってしまうが、その右手にはちゃっかりと寄生生物が居座っていた。
(主人公【信一】…お嬢様育ちの母とダインディーな父を持つ一人っ子、GFあり? BF…というか親友はいなさそう…紙面に出てくる存在としては【ミギー】が唯一。友達は多いみたいだけど…それより彼女か?(w)

その他同時期に生まれ出た未知の生物達は、その生まれた時に受け取ったというメッセージ『この種を食い尽くせ』を唯一の信念(啓示?)に、(脳を食われた)寄生された獣は獣以上に「けだもの」らしく、寄生された人間は身近の人間を次々にその牙にかけて行くことにより、じわじわと平穏な日常に迫ってゆく。

一方、【信一】の右手に寄生し【ミギー】と名付けられた謎の生物は、自分の知らない知識欲を貪欲なまでに吸収していた。自分は食欲の心配がないからそうなったのだろうと冷静に言う【ミギー】。

【ミギー】には一つ疑問に思うことがあった、つまり、存在意義である。(高尚だ。)
何の為に、そして、どこへ行くのか? 行くべきなのか?

そして、脳に寄生を果たした寄生生物の中にも、それを考え、自分達の意義と安全を守る為、人間を脅かす方向に向かおうとする一団があった。

彼らのうちの一人が教師として【信一】の高校に赴任してきてしまう!
そして、謎の転校生もまた…。
ついに、その脅威が身近に迫り関わらざるを得なくなってゆく【信一】…。

そして徐々に、 「パラサイト(寄生生物)対 人間社会」の戦いも水面下で始まってゆくのだが…


この主人公の少年が、結構のんきなキャラクターをしている為もあるのか、ほとんど終始この二人は和やかムードで(でもたまに【ミギー】に脅されてたりして…)、その寄生生物をかわいいとさえ感じてしまう。

この作者さんのコンセプトも特にホラーではなく書いていたのか、あの絵柄が怖くないというだけなのだろうか? じわじわっとは怖いんですが常にスクリーンのこちら側意識が持てるというか…この彼のケース以外の脳を食うことの出来た寄生生物達が、獰猛なまでの食欲を人間に向けることによる(同種として感じる)むごたらしさや緊張感は、不思議と現実感のないものとして感じてあまり怖くは感じないので、ホラーの苦手な私には読み良かったです。

勧善懲悪なお話というわけでなく、主人公はなかなか孤独な(相棒に【ミギー】はいるけども)戦いをしています。

まるでスパイダーマンが呟く様に、愛する人に及ぶ危機を排除しておきたいから、守りたい人がいるからこそ、そして自分にその能力が人よりあるからこそ、戦わざるを得ないし、戦いに駆り立てられ向かっていくが、本当は…

ラストまでに普通の少年である【信一】がどういう判断を下すのか下していくのかが、面白く、考えさせられるお話でした。

あと、アクションシーンもなかなか見応え有りです!

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紙の本

祝!「魔術士オーフェンシリーズ」書き下ろし復活!

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書サブタイトルは【キエサルヒマの終端】であり「終焉」ではありません。

これは、彼らの世界のある時代としての終わりでもあり、キエサルヒマ大陸の実際の終りの地から始まるのことのお話であり、このシリーズの終わりでも始まりでもあるという示唆的な言葉遊びなのかなあ?という感じです。

【秋田禎信BOX1~3巻セット】を買って読んだ人は知っていると思いますが、これからオーフェンはキエサルヒマ大陸を出て新大陸を目指します。

ただ、その時のタイトルと同じだと思っていた貴方!
貴方は聡くありますが、実はそうでもない!w
思い返してみてください。秋田先生が、商業的にあざとくなく、ファンサービスが肩すかしだったことは未だ嘗てなかったことをw

そう!これはまごうかたなき「書き下ろし」なんです!!

なんといっても、このお話はオーフェンの語りとしては語られません。

まず語りはじめ、旅立つのは、クリーオウです。

そして、いつもより多く語らせられるのは、コルゴンだったり・・・。
そして、ティッシが…
それから、マジクがあの人と!
そして、あの人が船長で!?
そんでもって、サルア兄貴が…
そして、そして…と、今まで読んできたファンにはニヤっとさせられるエピソードも満載ですw

シリーズの完結を宣言されてから約十年、誰もがどこかで信じていた復活編です。

読んでみてなんとなく、私(読み手)も、書き手も、誰しもが大人になってしまった感じで、作品の語り口も落ち着いた雰囲気があるのにちょっぴり寂寥なども感じたりしましたが・・・。

10月に発刊されている、【約束の地で】はオーフェン達の子供世代のお話となるようです。

楽しみです。そして、近くにキャンペーンを取扱う本屋さんがないことが残念無念・・・。

今年23年9月末には、最新にして完結編の3部作の三ヶ月間のための発刊キャンペーンが10月末とか、応募企画など、12月に向けてもある模様ですが、東京と近郊の一部(横浜)と一部都市(大阪天王寺)にてサイン会(挿し絵の草河さん共)が、あとア○メイトや某泉書にてもポスター企画応募など展開されているようですが、急すぎて気が付いて居ない人多数なのじゃないかなあ?

また、完結編シリーズ発刊に絡めて新しく読み始めたい人のためにも、新装版として、廃刊となっていたオーフェンシリーズもT.O出版社に(2冊を1冊にした)全10巻で来年にかけ、10カ月をかけて一気に出すそうです。
正に「無謀編!」なこの発刊。(><)
大丈夫な企画内容なのだろうかこれは?と往年のファンにとっては、ちょっぴり心配させられる、短期発刊なのですが…。(^^;

とまれかくまれ、おーい。こっちこっち。
(嘗てのオーフェンファン達へ、そして目新しいファンタジーを未だ求めている人達へ)

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紙の本

紙の本鋼鉄の華っ柱 1

2011/04/06 16:03

やっぱ面白いよ西森作品(>、<)ノ

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家はお金持ち、ルックスは王子様で、性格も良い?(でもちょっぴり腹黒そうw)そんな、御曹司 御前崎真道くんの、突然の親の事業の凋落というはじめての人生の挫折と、それに負けずにのし上がってやろうと思い立つバネのあるお話です。

両親は手紙を残して失踪し、家もなにもかもが人手に渡り、でも一人じゃなく、両親の部下の子供である(御前崎の両親と行動を同じくして、やはり置き手紙を…w)幼なじみの二人と爺とで、とりあえずは生活するためのお金を稼ごうとアルバイトをはじめるのですが…。

従業員が家の中のものをもって帰ろうとする中、冷蔵庫の中身を気にしてメモを取り、その懐に渡し忘れた手紙を見つけ…ナチュラルとしか考えられないボケでみんなの目を点にする爺の言動とかw
武器…がないから、キンチョールとかw
あまりの平静さに、ことの深刻さを忘れてしまっているんじゃないかと、幼なじみ夏野に指摘されて愕然としている真道に、指摘した夏野がまた愕然とするとかw
同じく幼なじみの朝涼が働くという下りとかw
沢山笑わせて貰いました。

それにしても、西森さんは毎回切り口が多彩ですよね。
高校デビューの不良の二人組や、ちょっと前は男の子だった筈の女の子、ナンパ刑事、召還勇者、アメリカ帰りのお侍高校生、デビルと呼ばれたロハスを目指す男子高校生、実は(可愛い女性の姿が基本な)宇宙人だったんだよと両親に言い渡される男の子、そして、未知数な頑張る元御曹司など…。
ストーリー展開も、毎回期待以上に面白く飽きさせません。

ニュースを見るほどに気持ちが暗くなってしまう中で、みんな彼のように挫けずに頑張って欲しいと思いました。

月刊誌で連載されていた「いつか空から」の文庫化を悠長に待っていたら、いつのまにか週間本紙でもとっくの昔に連載が開始されていたのですね。
知らなかった。(^^;
3月に発刊したのを見つけたのに、もう次は翌月にも次巻が発刊されるそうです。楽しみです。今回もとてつもない展開を期待して待っています。

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紙の本

紙の本ナポレオンの剃刀の冒険

2008/12/11 10:37

これはファンへの挑戦だ!

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

内容の情報が欲しくて探してみました。

一昨年に出版された(ラジオ台本を中心に集めた)原書版の日本語翻訳本の第一弾で(この二弾目「死せる案山子の冒険」の刊行は今回の売れ行きにかかっているらしい(爆))、著者の最盛期中期の1939~1948年の約10年間(!)にもかけて放送された三百編近いラジオドラマの中から傑作8編を選んで収録された本であるとのこと。

流石はハリウッド仕込み!量産も可能だったんだ。w

てゆーか、無名の新人さんにソースだけあげてエラリーものを沢山書かせていた時期があるって読んだことがあるんですが、このラジオドラマのことなんでしょうか?

ファンとしては全部読んでみたい!

むしろ録画テープが欲しい!!(←ここにマニアが居ます。)

「幽霊洞窟の冒険」と「ジェイムズ・フィリモア氏の失踪」は既訳であるものの別バージョンになっているとのこと。

ラジオシナリオの1時間版4本と半時間版3本、ドラマシナリオ1本が収録されており、一本の長編としてあまりある舞台趣向と国名シリーズにあったフェアプレイ精神に乗っ取ったロジックと謎解きに至るまでのテクニックが多彩に用意されてるらしい。

ラジオ版は「読者への挑戦」じゃなく「視聴者への挑戦」があるとのこと。
サービス精神がびしびし伝わってきます。w


「ナポレオンの剃刀の冒険」     鉄道ミステリ。

「暗雲(ダーク・クラウド号の冒険」 船内ミステリ。

「悪を呼ぶ少年の冒険」       アンファンテリブルもの?でも、エラリ
ー節に期待。

「ショート氏とロング氏の冒険」   消失トリック。

「呪われた洞窟の冒険」       これも消失かつ洞窟ミステリ。(w)

「殺された蛾の冒険」        クイーン節炸裂な一編とのこと。多分論説が冴える。w

「ブラック・シークレットの冒険」  エラリーが留置所に入れられたり、ライバルが登場したりの奮闘もの。

「三人マクリンの事件」       『クイーン検察局』集録のネタのミニミステリ版。

こうやって並べてみても多彩な舞台に期待が高まってきました。(>▽<)


ラジオシナリオという性格上、主に会話文だけで構成された異色作で、推理のエッセンスを凝縮した非常に読みやすく理解し易い内容であるとのこと。
うーん、そういうのってどうなのかな~?ホントに良いのかな~?と思いつつもやっぱり興味深々w

訳者・飯城さんの「解説」が、華麗なテクニックをさらに深く味わう紐解きをしているそうで…わくわくしますね。(>ー<*)
ラジオ版「エラリー・クイーンの冒険」のエピソードリストも併録。ですって?!わ~。(*▽*)

そしてなにより、全編ニッキー・ポーターが登場し、エラリーと恋の鞘当て(以下(ぇw))が繰り広げられ、クイーン警視やおなじみヴェリー部長も登場するとのこと。

…うわ、もう買わないと!てゆーか、誰かプレゼントして下さい!(笑)

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紙の本

紙の本心霊探偵八雲 1 赤い瞳は知っている

2008/11/19 13:55

ライトノベルズの楽しみ

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おおまかにいうと、大学のサークルルームに住む、エキセントリック…というよりはいかさま師のようなことをするひねくれた口をきく美形大学生 斉藤八雲 と、同じ大学の女子大生 小沢晴香 のおしどり手前のラブコメ探偵コンビものといった感じでしょうか?ざっくり説明しすぎですが…(^^;)

語り口が軽妙で、読みやすかったです。

「心霊探偵」というだけあって、「死んだものの怨念で引き込まれる…」だの、「幽霊に脅される…」だのと、オカルト風味で、多くは殺人事件を解明していくものなのですが、あくまで語り口が軽くて少しの血なまぐさもありませんでした。

ちょっと気になるほどに、被害者の「死」に遭遇する第一発見者の描写なんかがあまりにも薄いかんじで、
登場人物Aが交通事故にあう→登場人物Bが発見、死んでいると思う。
この過程に、現実では人として発生するはずの、驚愕に伴う悲鳴だの、恐ろしさだの、パニックだのは一切描写されておらず、まるで「死」が記号かフラグのようにゲーム的に受け取れてしまうようで、そこに文章の稚拙さも感じ、物足りなさにも感じますが、これはこれで現実が重くなくて読みやすかったです。
ライトノベル的な感じを狙っているのか、著者の課題であるのかはわかりませんが、こういったテイストをむやみに血みどろにデコレートしてみたり逆に悪趣に走っていることが、日本の作家さんにはよくあるので、私にはこういうのもありかなと思えました。(^^)

何も考えないで純粋なお話だけを読んで楽しむには良い感じでした。

しかし、読んでからもしばらく過去にテレビ放映していた『ミステリー民俗学者 八雲樹』と混同していたのは何故なんだろう…。(笑)
話が全然違うと思ったんだよ。(爆)

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