紙の本
大人向けラノベの先駆け。とても読みやすいです。
2017/05/17 00:28
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
桜庭一樹さんは、Gosickと赤朽葉家の伝説を読んでいます。
書評は書いていません。趣味に合わないからです。
それでも人気作家さんですし、直木賞受賞者であることが
この作品を読む決め手となりました。
読了後、作品のどんな部分に心を動かすかは、何千冊読もうが
関係ないという結論に達しました。ある意味、当たり前ですが。
以降に作品の良い部分と気に入らない理由を書きます。
特に後半は、違う感じ方の人がいるんだなと流してもらえればと
思います。
>
まずは良いと思われる部分です。ラノベが好きな方に向けて書きます。
小学校の川村先生。無難で特徴がなく、誰からも気にされない人。
同僚の先生から木の話を聞きスイッチが入ります。
七竈の木は燃えにくく、七回も竈に入れても燃え残ることが
あるけど、七日間もかけて作った炭はたいへん上質なのです。
七日間燃え続ける、つまりそれは七人の男と寝てみるということで
そこから生み出されるものはと川村の思考は暴走していきます。
つまらない人間が起こした革命。
そして生まれた川村七竈は、たいへん遺憾ながら美しく生まれて
しまったのです。
望まないのに圧倒的なものを身につけている主人公。
ラノベで頻繁に用いられるキャラクター造形で、俗にいう
キャラ立ちの状態です。もう一人、双子のように美しく育つ
少年雪風とともに、二人の美しい仲間は周りに翻弄されて
いく、そんなお話です。
普通のラノベより落ち着いた文章なので、そろそろ卒業かなと
思う人向けです。
>
さて気に入らない部分です。
一般文芸書が好きな方に向けて書きます。
何かで読んだのですが、ラノベの特徴の一つに現実感の希薄さが
あります。例えば両親との生活場面がなく、極端なものは両親すら
登場しません。それがラノベ読者の求めるものなのでしょう。
俺は普通の高校生だけど、ちょっと本気出したら世界まで
救っちゃうんだぜみたいな。
端的にいうと、ラノベの特徴をしっかり持っている本作品は、物語が
単純すぎるし、あまりにも安っぽいのです。
同じことを三回言うと、どんなにいいことでも喧嘩になるという例えが
あります。ある意味、真実だと思っています。この作品で例を挙げます。
>いんらんな母だった そうでしょう、七人の男と寝たんですから。
>いんらんな母だった さっき聞きましたが、ひょっとして別の意味でも?
>いんらんな母だった あのー、聞きましたけど。
さすがに三回では喧嘩になりません。
しかしこの作品では、いんらんな母というどぎつい表現が三回どころ
ではなく繰り返されるのです。
よほど飛ばし読みするか、表面だけをつるつると読んで思考を
止めない限りは、うっとうしくて仕方ないです。
枝葉末節に捉われたくはないですが、ここまでやられると、お前は
理解できないのだから何度でも言うよと、馬鹿にされた気になります。
表現を替えずに何度もですから。
登場人物の中にも、解説役が何人かいてうっとうしいです。
そんなもの読めば分かるということを、くどくど言わせるのです。
正解はこうですよと文中で解説を書くようなものです。
行間なんかありません。でも、それで安心する人もいるのです。
唯一、狂気の香りのする母は面白みがあるし、もう少し
読みたい存在でした。だから人気作品を書けることも理解
しましたが、それにしてもあまりにも単純でした。
先に読んだ二作も、どきっとする設定で惹きつけるだけで、
内容を全部語ってしまうぺらぺら系の作品なので、一般文芸書が
好きな人には勧められるものではありません。
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文庫版をゲット。
表紙はハードカバーのほうが好きだったなあ。
あのまま文庫化してくれれば良かったのに。ちょっと残念(-_-;
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「少女には向かない職業」「推定少女」「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet」と、この作者の少女を主人公にした作品を(再)文庫化を機に続けて読むことになったのだけど、いずれも読後ざらざらした感触を残す作品の中で僕にはこの話が一番胸に迫った。章ごとに主人公の美少女、彼女の親友の美少年、二人それぞれの母親、そして主人公の飼い犬(!)と異なった視点から語られる巧みな構成のおかげもあり、主人公のみならず周囲の人物がそれぞれ深みを持った魅力的な存在として描かれているからではないかと思う。
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桜庭一樹強化月間、最後の一冊は「昭和の言葉を喋る、うつくしいかんばせを持つ白雪姫」のものがたり。
あまりにうつくしすぎる少女・七竈と少年・雪風の物語、なのだけれど……七竈というよりは、七竈の母の物語のような気がした。それは多分読みながら、いつも七竈の母親のことがどうしてもチラつくし、七竈の父親のことをふと考え、七竈の見る世界感じる思いは……母の影を踏むようなものだから、ではないのかなと思うから。七竈を通して「母」の存在を見てるというのか。うーん。それだけじゃないし、やっぱりこれは七竈の物語なんだけど。
ビショップの眼差しと、七竈と雪風の会話がとても好きです。
最後の一話は少し消化不良というか、入り込めなかった感覚がしたのが残念。これがなかったら☆4だったかも。
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桜庭一樹さんの書く少女は、何故に毎度毎度こんなにも美しくて壮絶に孤独なのでしょうか。
全編通して、七竈のどうしようもない悲しみの空気に満たされています。
平成を生きる人々のお話ですが、言葉遣いがどこか古めかしく、古風で退廃的な雰囲気を漂わせています。
優奈もただ一人と思った男に想いを遂げられないからって“辻斬り”しなくても。
皆が“辻斬り”に巻き込まれてしまっていて、最大に巻き込まれて悲しみに暮れているのが七竈。
七竈、可哀想に。
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なんだか切なくて物悲しい。生きる上で己とどう折り合いをつけていくか。憎んだり、許したり。
古風な言葉遣いが独特の雰囲気を醸し出している。七竃も良いが、緒方みすず後輩もなかなか。
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平成の物語にしては古過ぎる言い回しのせいか、どうも最後まで馴染めず。…そのまんま昭和の物語だったら違和感なかったのに。
最初から最後まで、本当に淡々としているお話ばかり。可愛そう、なのは大人たちではなくこどもたちである、と言いたい。
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今年度一番最初に買った本。
桜庭さんの本はラノベ時代しかしらないので読んでなかったんですが、このたび文庫化してるのを知りつい購入しました。
私が南国育ちなのでこういった冬の寒さを表す小説はなかなか空気を感じにくいんですが、これはさすがでした。
大学の課題の女性文学、むしろこの方について書きたいです。
内容は恋愛小説、ってかんじですかね。見ればわかるし。
ネタばれはいやんなので雰囲気のみに留めておきます。
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非凡な美少女・七竃と美少年・雪風のワールドに憧れては、まとわりつき涙する。想いを馳せる。真っ白な雪によく映える赤と黒。大切な思い出と憂鬱とかすかな希望を乗せて走り出すキハ八兆Mの音。
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このひとの書く物語は、
どこか不思議なところがあってすきだ。
「七竃」「雪風」「七竃」「雪風」
「がたたん」「ごととん」「がたたん」「ごととん」
よみおわったあと、なんだか、
雪のにおいを吸ったみたいな、すきっとしたかんじがした。
(09/04/20)
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図書館で借りて一度読んでるけど、文庫化したので購入。やっぱり最後の場面が好き。これ読んでから、顔を「かんばせ」って言うようになったw
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「白っぽい丸」からはみ出そうとした母と、「美しい」という自らの異形を呪った娘。女の一生は、本質的に「母を許せるか、否か」という問い…個人的に『私の男』よりも好きです。閉じた共同体、人間関係の描写がさすが!鉄道模型と、七竈と雪風の「がたたん」「ごととん」が印象的でした。
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ハード出た当時からちょっと気になってたんだけど、文庫が出てたので手に取ってみた。
表紙とタイトルで想像してたのとは大分違ってたけど、結構よかったなー。
ラノベ出身の人だからか、私には読みやすかった。
一昔前のコバルトとかそういう風味がする。
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自ら“異形”と呼ぶ美しきかんばせの少女・七竈。その幼馴染の少年・雪風。
この二人のぽつぽつと交わされる会話のリズムがとても好きだ。
“がたたん”“ごととん”“がたたん”“ごととん”
列車に揺られる響きを交し合う。なんて密やかな!
まるで吉屋信子を思い出される古風で美しい会話は、人によってはとっつき
にくいかもしれない。これで「平成」? そう思って、そこに囚われてしま
っては、どこにも進めない。
白雪姫は、七人の小人に守られて王子を待ったけど、七竈は自ら道を選ぶ。
そこがとても美しい。
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最初から最後まで淡々とつづられてく文章は好きかもしんない。
七竈と雪風の淡々と話す会話は好きな部類かと。
可愛そうというか寂しいと思った。
しかもかわいそうなのは大人なのかなぁ…
どう考えても子どもたちでしょう。
大人たちはかわいそうな自分によってるだけなのが多い気がする(厳しすぎるかな、言い方が…)。