サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

堺屋太一の青春と70年万博 みんなのレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー1件

みんなの評価5.0

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本

堺屋太一って何

2009/05/13 08:20

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本作の主人公である堺屋太一が代表作となる『団塊の世代』を発表した1976年の翌年、著者である三田誠広は『僕って何』という小説で芥川賞を受賞している。
 『団塊の世代』という小説は、戦後のベビーブームが生んだ人口の塊である1947年から1949年生まれの人々を中心とした未来予測小説であり、その中で堺屋は多人口が引き起こす様々な歪みに警鐘を鳴らしていたのであるが、「団塊の世代」当事者たる1948年生まれの三田誠広は当時「ここにいる僕とは何だろう」と迷い、まだ社会や人間関係にふりまわされて自己を確立できないでいる若者を描いていたというのは、今振り返れば、数奇な巡りあわせともみえる。

 三田誠広は本書の「プロローグ なぜ堺屋太一を書くのか」の中で「わたしは何よりも自分の生きた時代というものに興味を持っている」としたうえで「その歴史や文化を知り、自分なりに解釈して、新しい物語を紡ぐことに、自分がこの国に生まれた意味を見いだしたい」と書いている。
 それが、戦後の時代を牽引した経済であり、そして時代の象徴ともいえる70年大阪万博を通産省(当時)の一職員という立場で実現させ、同時に「経済小説」「近未来小説」をも描いた類まれな才能の人である堺屋太一だということになる。

 もちろん堺屋太一の生涯はまだ完結していない。そのために本書では堺屋の前半生に焦点があてられているのだが、「小説を書く通産官僚であり、女子プロレスのファン」だった堺屋の前半生も十分に面白く、読むことを飽きさせない挿話に富んでいる。
 特に、堺屋が19歳の時に出会ったドイツ人女性との交友はまるで一幕のドラマのようである。
 三田が本書を閉じるにあたって、「堺屋太一の人生」を「一つの独創的な作品」と評価しているのもうなずける。

 ただ、せっかく「団塊の世代」である三田誠広が描く堺屋太一であるならば、『僕って何』と問いかけた三田にとっての堺屋として、もう少し踏み込んでもらいたかった。
 多分、三田誠広にとっての「僕って何」は、そしてあの時代に三田が提示した物語に感銘した同時代の「団塊の世代」の人たちもふくめて、まだ十分な結論を出していないのではないか。
 その答えの一端が先行世代でもあり、『団塊の世代』を世に問うた堺屋太一にあるとすれば、もう右往左往するのではなく、しっかりと「堺屋太一とは何」を自身にシンクロナイズさせれば、作品はいっそう読みごたえのあるものになったのにと惜しまれる。

 ◆この書評のこぼれ話はblog「ほん☆たす」で。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。