紙の本
美しい死となにかを成し遂げたい願望
2009/08/12 12:36
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
神奈川県警機動捜査隊に勤務するクロハの冷静さと有能さ、
硬筆な文体、後半のご都合主義はライトノベル的なのですが
それを凌駕するアイディアを盛り込んだデビュー作。
レンタルの冷凍コンテナから14体の集団自殺した遺体発見、
彼女がネットの仮想空間で築く人間関係、
地元警察との合同捜査の中で、女性だからなのか、
愛想がないからなのか、捜査を外されていく様子など
冒頭からグイグイと惹きつけていきます。
ネットとITを駆使した捜査の躍動感がいい。
他の表現を抑えているだけに、ここは読み応えがあります。
美しく死にたいという半面、なにかを成し遂げたいという
若者の深層心理を覗かせる集団自殺はゾッとさせれました。
あまりにもリアルです。
一貫してカタカナで表記される名前が
たった一度だけ漢字で表記したのもいい。
一瞬だけ、血が通い、心が通じ合う温かみにホッとします。
今の若い人にとっては、現実の心の触れ合いなど一瞬でしかなく、
またすぐに孤独に帰るのでしょう。
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第12回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
神奈川県警機動捜査隊に所属する女性刑事・クロハを主人公にした物語。
女性刑事と言えば、乃南アサの「音道」、誉田哲也の「姫川」と最近外れがないので、ほぼ迷わず手が出てしまった・・・
首を切られた死体が発見されることから、物語は始まる。
その後、埋立地の冷凍コンテナから14体の凍死体が発見され、最初の事件から外れ、捜査班に加わる。
ここのメンバーも何やら曲者ぞろい。
しかも、登場人物をカタカナ表記で表すと言う手段を使っているため、何となく、実態が掴みにくい。
そして、主人公クロハが時々訪れるバーチャルな世界。
ただの警察物と言うより、ネットでのつながりの怖さを感じる作品だった。
最後まで気が抜けない展開で、私的には、第二の「ストロベリーナイト」になりそうな予感!?
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本文 そうそうたる作家がオビコメントで賞賛してましたので
半信半疑ながらも...購入。
確かにグイグイ読ませる展開と事件の異常性と
その事件が紡ぐ真相...等面白くミステリー文学大賞の
新人賞を受賞もうなずけます。
ただラストはアレでいいのか...???
続編に繋げるって意味ではコレでもいいんですが
も少し違う展開があったと思うんだよなー。
拍子抜けっつーか...強烈な肩すかしを食らった気分です。
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作品全体の印象としては、無味無臭で無機質。「新人作家だから」とハードルを下げないと読んでいられない。カタカタのキャラ表記は私には逆効果だった。仮想空間がキーワードとして登場するが、作品そのものが仮想空間だと思う。どこか架空の時代の架空の都市での出来事。それくらいリアリティに欠けている。ヒロインの行動は完全に懲戒免職ものだが、作中ではお咎めなし。警察内部の権力抗争や命の価値など、現実性を必要とするテーマを選んでいるくせに、この体たらくは無責任すぎ。
読者を突き放したような地の文は巧いと思うが、台詞の稚拙さは致命的とも言える。ボキャブラの無さというよりも、上っ面でしかキャラを掴めていないのでは? 改行だらけの文章は読みやすいが、無駄なことにこだわっている分、ページは水増しされている。映像先行型の新人作家は掃いて捨てるほどいるので、時間潰し以外なら特に読む必要はなし。
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冒頭から14体の死体が出てくるし、三次元情報のくだりは興味深かったです。そういう凝ったガジェットに反比例して、少し人物像が薄いような気がします。悪意が上っ面だけっぽい。
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帯に大絶賛されていたので、自然に期待も大きく読み始めたのだが、
とりあえず登場人物がほとんどカタカナ
で書かれたりしたことにちょいと読みにくさを感じないでもない。
読んだ感想は 最後は なんだこんな終わりかとおもってしまう。
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スリリングでクールな内容、それでいて後味悪く
直ぐに忘れてしまった作品。
正直最後部分が後味悪く個人的にはひいてしまう
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いきなり14もの凍死体。バーチャルと交錯する世界。無機質でブラックな印象。どれをとっても心地悪いものだらけだ。
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埋め立て地の冷凍コンテナから、14体の凍死体が発見された。整然と並んだ死体は、誰の、どんな意図によるものなのか?神奈川県警機動捜査隊に所属する女性刑事・クロハは、虚無感と異様な悪意の漂う事件の、深部に迫っていく…。圧倒的な構成力と、斬新なアイディアを評価され、選考委員満場一致で新人賞を受賞した期待の新鋭、渾身の一撃。第12回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
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スピード感のある文章と、生活臭を感じさせない独特の雰囲気。近代的ハードボイルドというか。映像重視というか。
私は最後まで好きになれませんでした。
この作風や世界観が好きになれるのなら、評価も変わりそう。私としては、もっと登場人物に奥行きがある方がいいなぁ。
物語中で、仮想現実世界でのやりとりも出てくるんだけど、全編を通して仮想現実世界でのできごとのように見えた。
今風に演出を頑張った2時間刑事ドラマくらいに考えれば、十二分に楽しめたけど
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ん?外人?から始まった。そうではなくて単に表示をカタカナにすることで視覚的に目立とうとしてたのかなと。んー、人物がなあ。いまいち好きだと思わせるものがなかったかな。だけどまあまあ後半は楽しめた。
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突如頻発する「集団自殺」
身元を探ろうとするも、個人情報は徹底的に消去されており、見つからない「自殺者の共通点」
そしてそこに潜む大きな「悪意」
主人公である女性刑事と、彼女が入り込むバーチャルリアリティの世界が徐々に関係していき・・・
最後の方の展開がちょっと唐突な気もしますが、なかなかの良作。
新人作家らしい荒削りな感はありますが、アイデアの出し方は嫌いじゃないので今後が楽しみ。
あと、なんとなくドラマ化とかしそうな・・・・w
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機捜のクロハが冷凍コンテナで発見したのは凍死した14人の遺体だった。
その後別のコンテナからさらに6人分の遺体が見つかった。
警察には彼ら1人1人からの遺書がメールで届いており
そこには謎の数字データが添付されていた。
悩んだクロハは唯一の肉親である姉や仮想空間での知り合いにヒントを求める。
そんな中遺書と遺体の身元調査を行った結果
生存者を割り出すことに成功、接触を試みた。
自殺者たちの意図は何なのか、先導した人物がいるのか。
装丁・写真:泉沢光雄
女刑事ものです。
自殺の目的にしては弱いんじゃないかなあと思いましたが
集団の促進効果について触れている部分を読んでなるほどと思いました。
しかし広いネットの中にこんなにも
事件関係者が終結しているのは都合がいいなぁ…
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埋め立て地の冷凍コンテナから、14体の凍死体が発見された。整然と並んだ死体は、誰の、どんな意図によるものなのか? 女性刑事・クロハが、虚無感と異様な悪意の漂う凶悪犯罪事件の深部に迫る!
08年日本ミステリー文学大賞新人賞作。設定も描写も展開も悪くないのにいまひとつ面白いと感じなかった。物語の緩急が私の好みに合わないだけなのか、作者の独り善がりが過ぎるのか、わからないけど。
(C)
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ダークな話が好きな人向き(ジウとか)。 埋め立て地の冷凍コンテナから、14体の凍死体が発見されたことから始まる物語。2次元と3次元が混ざり合っていて不思議な感覚になった。ずっと暗く黒い雨が降っている印象の重くテンション低い話。女刑事クロハ。エコイック・メモリが続編みたいだから読まなきゃ。あか抜けてることを祈ります。