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松本清張傑作選 2 暗闇に嗤うドクター みんなのレビュー
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紙の本
清張作品は『点と線』一冊しか読んでいない作家に編者を任せる編集部の神経が分からない。
2009/05/05 14:10
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
病院を舞台にした事件や、戦時中の生体実験が重要な鍵を握っている作品など、医学的な味わいの濃い短篇が六つ。「死者の網膜犯人像」「皿倉学説」「誤差」「草」「繁昌するメス」「偽狂人の犯罪」を収録しています。清張短篇のなかでは、中位のレベルでしょうか。特に目を引く、「これは!」という短篇はありませんでした。
面白い清張短篇に出会えなかったとは言え、収録作品そのものに不満があるわけではありません。本アンソロジーで残念に思ったのは、編者・海堂 尊(かいどう たける)の「解説」、その冒頭の数行に接したとき。以下、その箇所を引用します。
<始めに釈明しておくが、私にとって既読の清張作品は一作だけだった。中学生の時背伸びして読んだ「点と線」だ。「点と線」は中学生には難しすぎた。こんな私だから『松本清張傑作選』選者のオファーを戴いた時、即お断りしようと思った。ところが担当のN氏はこう言った。「それこそ望む切り口です。大清張の作品をまったく読んでいない方など稀有な存在です(後略)」> p.268
「おいおい、それはないんじゃないの」と、正直、がっくりきました。これまでに読んだ清張作品は『点と線』のみ。それも、一度、中学生の時に読んだきりで、さして面白かったわけでもない。清張作品に愛着があるとか、面白味を感じる読者でない人に、巷で名前が売れている作家というだけで、妙な理屈をくっつけて選者をやらせてしまう出版社・編集部の、なんていい加減なこと。売らんかな、いかにして目を引くかなの、もうけ主義優先の姿勢。だからかな、この一冊から、清張作品の妙味、旨味が感じられなかったのは。医学、医療関連の清張短篇を持ってきて並べてみましたとでもいう、アンソロジーとして無味乾燥な印象。本当にがっかりしてしまいました。
全6巻となるこの【松本清張傑作選】シリーズで、あと、期待できそうなのは、7月刊行予定の宮部みゆきセレクションかなあ。『戦い続けた男の素顔』というサブタイトルで、「月」や「絵はがきの少女」をはじめ、全部で十二の清張短篇を収めた一冊。文春文庫の『松本清張傑作短篇コレクション』上・中・下巻の、実に気が利いていて堪能させられたアンソロジーの編者(責任編集)を務めた宮部みゆきセレクションの一冊を、楽しみに待ちたいと思います。
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