紙の本
言葉だけでも人は繋がれる
2012/08/19 20:25
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桔梗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔読んだ大好きな本をきっかけにネット上で知り合ったふたり
自分と似ていて少しだけ違う感性
琴線に触れる誠実な言葉
そんなものを見つけてしまったら惹かれるのは当然
ある事情を抱える彼女の方はなかなか素直になれない
それでも
何度も切れかかる糸を 彼は一生懸命 繋ぎなおす
繋ぎかかった糸を断ち切ってしまうのは簡単なこと
いつまで繋いでいられるかわからない糸
いつ切られるか 切りたくなるか そんなことを心配して憂うより
今この繋がってる瞬間を大切にした方がいい
胸を打つ文章も コピーして一度に何人にだって送れちゃう今の世の中
もらって大事に大事に抱きしめてる言葉だって
みんなに配ったただの社交辞令的な言葉の中のひとつでしかないのかもしれない
そんな軽い言葉なんか しまい込んでないでどんどん捨てちゃえばいいのに
そうすれば楽だと思うけど
でも
好きな人がくれる言葉を そこに込められた想いを
やっぱりどこかで信じていたいのかもしれない
その言葉が持つ大っきな力を知ってるから
信じて大切にしよう
今自分が繋いでる糸も もらった言葉も想いも 大事な宝物だ
紙の本
どこか、でない現実世界の物語
2011/01/29 13:41
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Azuma - この投稿者のレビュー一覧を見る
これ、全然「おまけ」なんかじゃない!
と、本書を読み始めてすぐ思いました。
と、いうのも自分にとって本書は『図書館内乱』とリンクした作品であるという認識しかなかったのです。
『図書館内乱』を読んでから時が経ち、たまたま書店で見かけて購入した本書を読み進めると、その認識が変わりました。
これは、二人の男女の恋物語です。
物語の始まりはネットで、出会いのきっかけは一冊のライトノベル。
メールによって繋がった二人が、互いに惹かれあっていく様が書かれています。
ここでミソとなるのが、この物語のヒロインが聴覚障害者である、ということです。
そしてこのヒロインが、決して「キレイな」面ばかりを持っているのではない、現実味のあるリアルな人物であったことが個人的には良いな、と思えました。
障害のことで卑屈になったりすることもある、リアルな、等身大のヒロインなのです。
主人公とヒロインは障害のことでも多くぶつかりあいます。
これが普通だと思うんですよね。
互いに、互いの状況を真に理解し合えることはないのですから。
この小説には、こういった「普通」がきちんと書かれていました。
それでいて、そのぶつかりあいを乗り越えて、近づきあう二人がとても愛おしく思えます。
読みやすいテンポの、主人公とヒロインの(メールやチャットも含めた)会話。
聴覚に障害を持つからこその、ヒロインの丁寧な言葉の選び方には、主人公でなくとも惹き付けられるものがあるでしょう。
少なくとも自分は惹き付けられてしまいました。
軽快に読み進めることができ、そしてそっと微笑みながら読み終わることのできる、そんな本です。
紙の本
妖精作戦読んでおくとよりいっそう楽しめます
2016/04/07 14:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:へっぽこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ついやってしまいがちな、自分だけが不幸だと他の人を羨むことの傲慢を、易しく教えてくれる一冊。
誰もがそれぞれに痛みを抱えていて、だからこそ分かり合おうとするその気持ちが尊いのだと思います。
とりあえず妖精作戦シリーズとビューティフルドリーマーが見返したいW
紙の本
障害の形
2015/08/21 16:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かな - この投稿者のレビュー一覧を見る
かの有名な『図書館戦争』の中に実際に出てきたストーリーが、一冊の本になったのがこの『レインツリーの国』。
私はこの本で初めて、障害を持って生きている女の子と、そうではない男の子のお話を読みました。
私は自由に体を動かせるし、目も見えるし、耳も聞こえるから、この物語に出てくる女の子の気持ちを理解することは難しいと思います。
それでも、共感できる部分は多々あったし、羨ましい、と思ってしまうこともたくさんありました。
恋に障害はつきものなんて言いますが、この物語はそれが明確になっていたと思います。
投稿元:
レビューを見る
本の帯に「会ったこともないキミに恋をした。メールから始まる二人の物語。」と書いてありました。
気になって、手に取り少し立ち読みしていたはずなのに、そのまま購入していました。
とても読みやすくて作品の世界にぐっと入りやすかったというのが感想です。
私の想像していたラブストーリーとは異なっていましたが、こんな展開も好きです。
むしろ好きかもしれません(笑)
余裕がないと結局自分の都合を優先してしまうことって私自身もよくあります。
この本に出会えたことを契機に自分の考え方や言動にもう一度目を向けようと感じました。
本の内容について、ここで書くと完全にネタばれになってしまうのでここで書けないことが残念。
私もこの本に出てくるひとみと伸のように感想をぶつけ合ってみたいもんです(^ω^)
そういえば一点だけ気になることが。
最後の一文「…だった。」で終わるんだけど、過去形なのは何でなんですか?
投稿元:
レビューを見る
きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった――――。
(裏表紙紹介文より)
***
有川作品が文庫化したというだけで内容を知らずに買ったので、目次見てこれはどんな話なんだ…?と思いましたが、良かったです。
理想がつまっているような、ご都合主義ともいわれてしまうかもしれない感じで話は進んでいきますが、考えさせられることがたくさん書いてありました。
他人は自分ではないのだから、相手にどんな事情があって、どんな生き方をしてきたのか想像して、お互いに気遣いをして付き合っていかなきゃいけないんですよね。
当たり前のことだけど、結構難しかったりするんだなぁ。
投稿元:
レビューを見る
中途難聴の女性と健聴者の男性の恋愛物語。お互いぶつかって、傷ついて、前に進んでいく二人に感情移入して読んでしまいました。
投稿元:
レビューを見る
サクサク読めた。
ネットから始まる恋(笑)とか好きじゃないけれど小牧とまりえちゃんの為に読んだよ。
2009.7.1 初版/2009.6.29 購入/読了
投稿元:
レビューを見る
自衛隊も謎の生き物も未来設定も何もない、超直球ど真ん中青春恋愛小説。但しネット恋愛かつ某事情のため、メールのやりとりが殆ど主な内容。誠実に下心を持って接する男の方も、相手の気持ちを逆手にとって振り回そうとする女の方もやけにリアルでいたたまれないくらい甘酸っぱいヨー…まあ一生に一度くらい、若いときにはこういうことがあっても良いネ☆的恋愛。そして某事情の方はシビアな現実として懇切丁寧に描かれてます。
投稿元:
レビューを見る
会ったこともない君に恋をした。
メールから始まる二人の物語。
以前単行本で読んだのですが、文庫本になったので改めて読み直しました。
聴覚障害者には種類があること、コミュニケーションにも障害が出てくること。
誤解をされやすいこと。など初めて知ることが多く勉強になりました。
投稿元:
レビューを見る
ほうほう、これは「図書館」シリーズから生まれた本なのですな。
私はあれ、「図書館戦争」しか読んでないから、知らなかったです。
この2人が知り合うきっかけは、いいなあと思いました。
今だったらあるでしょうね、ネットで知り合って…っていうの。
しかもこの2人は、思い入れのある本が一緒で、その感想メールを送りあって…なんていう、(ワタシ的には)理想の出会い方。
いいなぁ、私も、本好きな人と知り合ってみたかった。
ただ、伸の性格がどうもよく理解できず。
本も読むけどスポーツも出来て(だっけ?)、でもそこそこ女の子にもモテて……。
不幸にも、私の周りにそういう男子がいなかったから「こんな子、いるかしら?」とリアリティがわかなかった。
青春菌だからしょうがないけど、やっぱりくさいし。
だけど、難しい問題ではあるけど、障害のある人とない人との考え方の違いというかすれ違いは、すごくよくわかるものだった。
確かに、「あなたは障害がないから、私の気持ちなんてわからない」と言われてしまうと、ハイ、それまでよなんだよなぁ。
「そんなことないよ、わかるよ」って絶対言えないもの、経験してないから。
難しいんだよなぁ……。
なんて思いながら読んでました。
投稿元:
レビューを見る
メールから始まる恋愛小説。
が、ただの恋愛小説じゃない。
聴覚障害の女性との健聴者の男性との恋愛小説。
聴覚障害にも色々種類があることを知りました。
さらにコミュニケーション問題もあるということも・・・
なんだか考えさせられる小説でした。
でも、やっぱり有川さんの作品です。
有川さんの小説の恋愛良いです!
投稿元:
レビューを見る
「空の中」や「海の底」を読んで「図書館戦争」が早く文庫にならないかなぁと思っているのだけれど、筆者あとがきによるとこのシリーズの文庫化の目処はまだのようで、「図書館内乱」の表紙に載っていたこの本だけが先に文庫になって登場ってことみたい。
「図書館内乱」の中で小牧が毬江に薦めるのがこの本で、その物語の中でも結構重要な役回りを引き受けているのだけれど、健常者と聴覚障害者の恋という難しいシチュエーションを扱って、ど真ん中の直球一本やりの恋愛小説でしたね。
冒頭の“青春菌”撒き散らしのメールのやり取りなどこちらが気恥ずかしくなる程の率直さで、まあ、若いっていいねぇ〜、ってところなんだけど、もうこの歳になるとそんな思いさえ通り過ぎるところもあったりして…。
投稿元:
レビューを見る
私はまだ読んだことがないが、この本は「図書館戦争」シリーズのスピンオフなのだそうだ。扱っているテーマが「聴覚障害」であり、恋愛モノにしては非常に現実感のある本だ。インターネットの世界がバリアフリーであること、手話を使える、使えない、ということで違いがあること、自分を守るための物言い、など、きれいごとではない、事実が登場人物をよりリアルな存在にさせている。なにより、ふたりが相手の気持ちを勘ぐりながら、自己主張し、一生懸命に相手のことを考えていることに、第三者として妙に心が動かされた。ああ、これこそ恋なのかも。(それに、「若さ」も感じた。←これは、カッコでくくりたい。苦笑。)作者のことばの使い方がいい。ふたりのメール、会話が心地よい。
投稿元:
レビューを見る
文庫化を待ち望んでいました。
メールのやり取りの箇所は実際に光景が目に浮かぶようで、あっという間に読み終わりました。
忘れられない本を通じてのやり取りが、とても羨ましくなりました。