紙の本
●著者自身の手による解説●
2012/01/18 00:52
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:檀原照和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
横浜が「オシャレな街」と言われ出したのは、じつはそれほど古い話ではない。むかしは「エキゾチックな街」だったのだ。その当時、横浜にはある種の物語があり、よく映画の舞台になった。
みなとみらいや山下公園、中華街といった観光化された場所にも語られない過去がある。その分かりやすい象徴として、本書では外国人専門娼婦を押し出した。「スキャンダル」「街のためになると思いますか」などと言われたが、本物のハマッ子はこういう反応はしない。
馬車道にある県立歴史博物館に、本書の委託販売をお願いしたときのことだ。売店の責任者の方に「このタイトルですが、大丈夫でしょうか」と伺ったところ、「この辺りの人は、過去にこういう歴史があったということをよく知っています。来館者は男性が中心ですし、問題ありませんよ」と即答された。繰り返しになるが、横浜にはある種の物語がある。埋もれてしまった歴史もすくなくない。
横浜港に出没したという海賊や密輸業者、船乗りの現地妻、根岸家のミステリー、作家・野坂昭如や漫画家・上村一夫らが取りあげた「メリケンお浜」など、掘り起こされた逸話の数々。「横浜が霧の街だった」という話などは、生粋のハマッ子でさえ意表をつかれると思う。
本書制作に関して写真のセレクトにも力を入れた。神奈川新聞写真部OBの秘蔵写真は必見である。
有名な「メリーさん」を取りあげた「横浜市民公認映画」ともいうべき「ヨコハマメリー」よりも数年遅れて発表したため、そこから一歩も二歩も進んだ取材をすることは必須だった。また「ヨコハマメリー」との差別化を図るため、あえて賛否両論分かれる記載やきわどい事実も公表した。批判に関しては甘んじて受け入れる覚悟だが、安っぽいスキャンダルに堕していないことだけは断言できる。
取材中「メリーさんについて調べています」というと、見下されたような反応をされることが何度かあった。「横浜の黄金時代」を知る人たちにとって、メリーさんを取りあげることは小僧っ子の仕事に見えてしまうのだ。そこで改めてメリーさんを横浜史の流れの中で位置づけ、「かわいそうなパンパン」としてではなく、もっとちがう意味を持たせようと意図した。結果、メリー物語の解体と新しいロマンの付与が出来たと思いたい。
今風の「ディープ横浜」という言葉では言い尽くせない内容に仕上がったと自負するが、いかがだろう。
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ペリー来航から現代に至るまでの横浜の裏面史が語られている。スラムの中に分け入っていくような感じで、娼婦にスポットライトを当てていて、彼女たちのドラマが興味深い。
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●著者自身の手による解説●
横浜が「オシャレな街」と言われ出したのは、じつはそれほど古い話ではない。むかしは「エキゾチックな街」だったのだ。その当時、横浜にはある種の物語があり、よく映画の舞台になった。
みなとみらいや山下公園、中華街といった観光化された場所にも語られない過去がある。その分かりやすい象徴として、本書では外国人専門娼婦を押し出した。「街のためになると思いますか」などと言われたが、本物のハマッ子はこういう反応はしない。
馬車道にある県立歴史博物館に委託販売をお願いしたときのことだ。売店の責任者の方に「このタイトルですが、大丈夫でしょうか」と伺ったところ、「この辺りの人は、過去にこういう歴史があったということをよく知っています。来館者は男性が中心ですし、問題ありませんよ」と即答された。繰り返しになるが、横浜にはある種の物語がある。埋もれてしまった歴史もすくなくない。
横浜港に出没したという海賊や密輸業者、船乗りの現地妻、根岸家のミステリー、作家・野坂昭如や漫画家・上村一夫らが取りあげた「メリケンお浜」など、掘り起こされた逸話の数々。「横浜が霧の街だった」という話などは、生粋のハマッ子でさえ意表をつかれると思う。
本書制作に関して写真のセレクトにも力を入れた。神奈川新聞写真部OBの秘蔵写真は必見である。
有名な「メリーさん」を取りあげた「横浜市民公認映画」ともいうべき「ヨコハマメリー」よりも数年遅れて発表したため、そこから一歩も二歩も進んだ取材をすることは必須だった。また「ヨコハマメリー」との差別化を図るため、あえて賛否両論分かれる記載やきわどい事実も公表した。批判に関しては甘んじて受け入れる覚悟だが、安っぽいスキャンダルに堕していないことだけは断言できる。
取材中「メリーさんについて調べています」というと、見下されたような反応をされることが何度かあった。「横浜の黄金時代」を知る人たちにとって、メリーさんを取りあげることは小僧っ子の仕事に見えてしまうのだ。そこで改めてメリーさんを横浜史の流れの中で位置づけ、「かわいそうなパンパン」としてではなく、もっとちがう意味を持たせようと意図した。結果、メリー物語の解体と新しいロマンの付与が出来たと思いたい。
今風の「ディープ横浜」という言葉では言い尽くせない内容に仕上がったと自負するが、いかがだろう。
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横浜の風俗の変遷を追ったノンフィクションもの。
結構丁寧かつ横浜に詳しくない人も楽しく読めるものになっている。
読むと関内〜伊勢佐木町界隈〜大岡川沿いを散歩したくなる本。
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消えた横浜娼婦たち 読了
中学の宿泊学習で、鎌倉・横浜に行った。そのとき初めて横浜について興味を持って、観光雑誌や何やら何冊も広げてみたけど、それは表の顔でしかなかった。
もし中学の私が今と同じ嗜好を持って横浜に行ったなら、きっと色々なものが見えたんじゃないかと思う。まあ、子供が近寄ってはいけない辺りだけど。
戦前からの繁栄、戦後の復興。
今の綺麗な横浜しか知らない平成っ子の私には想像出来ないぐらい、横浜はカオスな土地だった。日本の上海。
出来る限りその面影を偲ぶものを、追い掛けてみたい
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横浜に縁のない人は全く興味が湧かない内容だと思います。でも少しでも地理感がある人には非常に興味深い内容です。データハウスの本なので、サブカル的なのかと思われそうですが、とても真面目な内容です。
横浜市民なら誰もが知っている『横浜メリー』の話はとても興味深い。
教科書のサブテキストとして採用してもいいくらいだと思います。
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横浜は自らの手で何も生み出してこなかった都市だ、という一文が沁みる。IR誘致問題も結局そういうことなのではないだろうか。