紙の本
物語を通して著者の哲学が染み渡ってくる。それは、宿命すら己の使命に変えうる哲学だ。
2022/06/24 11:33
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「そんな簡単なことが六十一歳になるまでなぜわからなかったのか。私にそれを教えてくれる師がいなかったからだ。優れた師を持たない人生には無為な徒労が待っている。なぜなら、絶えず揺れ動く我儘で横着で臆病で傲慢な我が心を師とするしかないからだ」
ヤギショウさんが綴った、骸骨ビルの人々の美しい物語。
物語を通して著者の哲学が染み渡ってくる。それは、宿命すら己の使命に変えうる哲学だ。
宮本輝の世界は優しくて強い。
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血縁のない人々が家族のように同じ屋根の下で暮らす話というのに昔から弱い。
それにしてもこの人の作品を読んでいるとお腹が空いてくる。
今回も美味しそうな料理満載。
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最後、どうなるのかワクワクしながら読みました。
あー…そうきたか。そうなるか。
んー…でもちょっと物足らないかなぁ?
まぁ読後感は良い感じですけどね♪
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下巻では、
自分たちの大切な人生を棒に振ってまで、孤児たちを育てるために
交わした誓いが明らかにされる。
子供の頃、遊んでいて、トロッコの事故や銃の暴発事故で九死に一生を得たり
また、終戦末期南の島のジャングルの巨木の空洞の中、潜んで
いるところを、敵兵にあわや見つかるところ難を逃れたのは
使命というか、この孤児たちと出会い育てるためであったと、
大人になった孤児たちから話を聞かされる。
大人になったかつての孤児16人が骸骨ビルに集まり
茂木泰造から阿部轍正の80ページにわたる日記を
それぞれに手渡される。
そこには、一人ひとりへの祈りが記されていたのである。
八木沢は二人の人格を知ることとなる。
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文句なしにいい話で小路幸也の大人版って感じがします。読後の清涼感がなんとも言えず心地よい。ただ、あまりにも文章がスムーズすぎて心の中にたまりにくいようです。読み終わった翌日には、どんな結末だったか忘れてしまいました。でも、面白かった事だけは忘れられません。
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教科書では習わない「戦後」が垣間見れたように思います。結局最後は、一瞬「…ん?」と思う終わり方なんですが、何だか深いものが残る作品ではないでしょうか。
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戦後、戦災孤児たちを骸骨ビルで育てた男二人の物語を孤児たちの語りで解き明かす。
後半は少し冗長すぎると思った。
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(上)をまったり読んでしまったのに此方は一転スピーディーに。なぜっておいしそうなものが次々出てきて、登場人物にますます魅力が加わって。はっきり言って(上)ではいまいち人間がつかめなかったところがありましたが。
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p204 雨に濡れた野良犬の目
20100212
しょげた犬みたいな目をしていては、人間はダメになる。
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親のことをまず思った。
そして、いろんな“大人”のことを思った。
感謝の想いがあふれる。
共に生きる
ということを
感じた。
心に染み入る言葉がたくさん!!
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主人公がもつチャッピーへの嫌悪感は何なのだろう?
泥棒犬根性の目つき?
チャッピーの言うことはもっともありえると想像しやすいことだと感じたから、自分も泥棒犬根性なのかも。
劇を演じるとは、役割をわきまえるようなことなのか、
そして物語が続くように、人生もつづいていくのか?
そして永遠性について。
作者がここで感じろ!といかにもな風に書いてある部分が多かった、
けどそれがなぜなのか具体的に書いてないから、鈍感な私はすごく知りたく思いつつ通り過ぎてしまう。
例えば、最後の茂木が掃除をしている際に、主人公が自分の部屋からホースをつなげば楽なのにと思いつつ、ここで声をかけたらいなか者だと
思った場面など。茂木が一人で、やり遂げることで、思いめぐりながら掃除しているだろうから?などなど
すごく聞きたいことが多くなった小説だ。誰か教えてほしい。
もし、宮本さんにお会いできたら聞きたい、けど聞くのも愚か者の極みみたいになってしまうのかな。
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後半も、相変わらず、時系列的に話が進んでいきます。
まあ、なんとなくヤマらしきものはありましたが、たいして盛り上がるわけでもなく、たんたんと進んでいく感じ。
あんまり、おもしろくなかったなあ、というのが、私の感想。
期待が大きすぎるんでしょうか?
宮本輝の作品が好きな人は、読んでみればよいのでは。
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終戦まもない大阪で多くの戦争孤児たちを引き取り育て上げた男2人の物語。
ラストが若干物足りなく感じましたが、まだほんの少し前に戦後の混乱期があったということをしっかりと思い出させてくれる小説でした。
宮本輝さんの「三十光年の星たち」が今、M新聞で連載中です、
これもおもしろくて毎日楽しみに読んでいます。
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読み終わった今、自分の胸に去来しているのは、人が亡くなってもなお心に生き続ける『永遠性』。
そして、永遠性を生み出すのが骸骨ビルの“庭”だったんだ、ということ。
食料のない時代に餓えた孤児たちの糧となったこの庭の畑。
阿部青年が孤児たちを育てようと決心するまでの誰にも推し量れることのできない心中。そこには戦争で激戦を繰り広げた南方からの復員兵ならではの“ある体験”が‥。
これは宗教本ではないが、どうしてもキリストとその使徒を思い起こさせる。
桐田夏美はユダだったのではないだろうか‥。
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阿部轍正 茂木泰造が孤児と共に生活していく話
物語がゆっくり流れていく感じ 時間の流れがとても良かった
がっついて先を読むこともなく贅沢な時間を持てた
第3者を通して自分の人生を見つめなおす、気付かなかったことに気づける。 住人それぞれの絆の強さを感じた。