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父親の病気が発覚し、故郷・高千穂に帰ることになった私。
そこで私は、父を看ながら、昔の記憶・父という人間・母という人間・
あるいはもう居なくなった人達や高千穂の地に思いを巡らせる。
どう逝き、どう看取り、どう受け止めていくかを考えさせられる一冊。
…私に本当に近しい人で、まだ亡くなっている人が
いないせいか、「死」の前後のリアリティが私の中で小さい。
ただそんな事になったら、ひどく取り乱してしまう様な気はする。
でも、その前にこの物語のように様々な事があるのだろう。
看取る立場になったなら、決め込まずその人がどうしたいのかを
よく考えてみる事が一番大事だと、読み終わって思った。
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「家族という血は、自分では選べない理不尽なもの。幸福な記憶は少なく、消耗するばかり。恨みに近いネガティブなエネルギーをため込み、吐きださないと重くてしょうがなかった。」
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http://fumiho.hatenablog.com/entry/20110601/1306915046
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読了後に感じるやるせなさは、高千穂文化でボクも生きていたからだと思いました。
父親の闘病と母の看病、先祖、家族、自分がすべて高千穂の世界から一人称で語られています。ただの闘病記ではなく、高千穂の真実や苦しみの歴史が詰まっています。
会話の語尾に含まれる、高千穂方言独特のニュアンスも伝わってくる高山氏の文体には、焼酎の匂いすら感じられ、無性に帰りたくなってきます。
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小説という形をとってはいるものの、ほぼ作者の実体験と言っていいだろう。
九州の高千穂で癌に冒され痴呆も進む父の最期を見つめた作者の弔いの物語だ。
徐々に死期が近づいてくるその様子を軸として、様々に去来する思い出を織り込んでいる。
そのせいか時系列がバラバラで少々読みづらい。
これも作者の心の思うままに綴った結果だろう。
まだ乳飲み子だった頃の記憶から始まり、胸のつかえとなっている曾祖母との出来事、そして父に連れて行かれた小料理屋の様子など現在に至るまでどれもこれも郷愁を誘うものだ。
何と言っても作者の両親が非常に魅力的。
おそらく田舎での閉塞感を感じながらも故郷で教師となった父。その後の彼の生き様は挫折だったのか怠慢だったのか。
ボケてしまってからも端々に感じられる素養の高さと機知。
そしてこんな父をとことん愛しつくした母。
当時では珍し恋愛結婚の果てに町から嫁いできた母は、もはや母ではなく女に戻っていた。
この二人を見つめた作者はどこか傍観者のようである。
二人の中に入る隙がなかったということだろうか。
経済的な援助はしても仕事場が東京にあるのだからいたしかたないのかもしれない。
これも介護の現実だろう。
美しい話に見えてもこれが老老介護なんだと思う。
結局は出来る範囲で最善を尽くすしかないのか。
それにしても、理性的とも思われるノンフィクション作家の作者。
この作者が化学療法を一切拒み、漢方の力にすがるのが興味深かった。
延命治療を決断する場面もしかり。
人間、やはり理性だけではどうにもならない生き物なんだな。
感情があるのだから。
それにしても最後まで一家を支え続けたW医師の姿には胸を打たれる。
家族の思いをまっすぐに受け止め理解し、協力の姿勢を崩さない。
時には医者の領域を超えたような言動も見受けられて。
誰もがこんな医師に出会えることができたら、介護の辛さも緩和されるのかもしれない。
高千穂の自然が人の温かみを育てるのだろうか。
願わくば私もこんな医師に出会いたい。
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自分もほんの二カ月前に母を葬り、読みながらいろいろな想いがよぎった。
その時最善と思う事をやり医師とも話し合い、死に近づいていく親と向き合ってきたけど、最後の方のページで「主人公はだれかということだよ」という言葉を読んでギクっとなった。果たして自分はどうだったか。
誰でも少なからず後悔は残り、100%満足して見送れる人はいないのではなかろうか。
高千穂という独特な風土のかもし出す、草木や鳥や風の色や匂い空気感が伝わってくる。
ここでは本当に山に霊魂が還るのであろう。
時々クスっとなる文があったり、読書中静かな時間が流れた。