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たんたんと、リズムの良い文章。
読みやすい。
心理描写が秀逸。
男女の不思議な空気感。
食べ物を挟んでの短編集。
クリスマスのミートパイは、読んでて暖かい気分に。
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タイトルが料理や食べ物の名前になっている短編集。
クセがなく淡々とした文体で読みやすいです。
どれも、話の結び方が好き。
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初めての作家さんです。
特にひっかかりもなく、するする心に入ってきて
またするすると出ていく。
そんな軽めの文章を書く方だなと最初は思ったけれど、
後からじわじわくる。
なかなか味のある短編集でした。
それぞれの話に登場する料理が印象的。
「クリスマスのミートパイ」
男の人ってこんな生き物だろうな。
女のほうがいつだって現実的だ。
奥さんっていうのは夫の恋人になってみたり
お母さんになってみたり、忙しい。
「アイリッシュ・シチュー」
何かふとしたことをきっかけに、
喩えようのない不安に襲われる。
いつもと変わらないはずの日常に感じる違和感。
そんな経験一度はあると思う。
仕事中の夫に電話をかけてみるが理解してもらえず、
不安な気持ちはますます募るばかり。
そんなとき、営業中の会社員の青年がたまたま
家の前に…。
この奥さんの気持ち、わからないでもない。
何か得体のしれない不安に押しつぶされそうなときは
無条件で支えてもらいたいものなんじゃないかな。
「大人のカツサンド」
こどもは鋭い。
大人が思っている以上に。
わかっててもわからないふりくらい、
やってのける。
「ベーコン」
表題作。いちばん好き。
沖さんが、亡くなった母の恋人という
特殊な存在だったからか。
それとも、単に母の葬式で初めて会ったときから
何らかの好意を抱いていたのか。
きっかけはともかく、主人公は沖さんを
男の人として意識しているのだろう。
そうでなければ、婚約者がいるのに何度も会いに行ったり、
ましてや自分以外の人に知られたくないなんて
一瞬だったとしても考えないと思う。
濃い肉の味、ね。
どうにでも受け取れる表現がいい。
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10篇全てがそれぞれ食に関わる短編集。
私は特に「トナカイサラミ」が好きだ。
後から重くジーンと来た作品だった。
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冷静に考えるとどのお話も普通じゃない状況なのだけど.でも,いやに淡々と流れていく感じが不思議.食べ物が各ストーリーのタイトルになってるし,それらを食べたり作ったりする場面も出てくるのだけど,なぜかあまりおいしそうに感じられませんでした.
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ベーコンは直木賞作家の井上荒野さんの短編集。ぞくぞくっとする描写と最後まで読み進めないと登場人物の心の機微がわからない・・・・とてもおもしろかった。
そして「怖い」内容。
基本的には男女のどろっとしたレンアイ、カンケイについて書かれていて、どこをきりとっても「さわやかさ」のかけらもない。でもそれが妙にリアリティがあって、読み終わった後の気持ちは重くないから不思議。
料理が上手で、ゆっくり食卓を囲みたいと思っているのに、敢えて簡単なものしか作らない・・・なんてくだりは、不倫関係の男女の中を端的に描写していてせつなくなる。
一度ほうとうが食べたいな、という男のリクエストに応えてつくったほうとう。おいしいけど、違う、作りたかったのはこれじゃない・・・。
それは「味」が違うってことを言いたいんじゃなくって、逃れられない先に進めない関係、それでもそれでよし、と思っている自分に違うって言ってるのかなぁ。せつない。せつないけど、先の見えないのは、このままじゃいけない気がするって思うのは、男女の仲として決して不幸じゃないような気がするなぁ。
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食事と他人との関わり特に愛や性愛に関する関係を書き綴った短編集。
井上荒野にはいつもやられる。この間読んだ映画化される「つやのよる」もそうだったが、ああこういうことあるよなとか人にいえないけどこういった経験あるよなといった何気ない表現なんだけどぐっとくる文章を井上荒野さんは書くので、ついつい買ってしまいます。すごく酔いやすいんだけど、読後感は軽くはない。お上手です。
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全て各章のタイトルが食べ物になっている・・・そこに隠された男女の秘密ってやつは・・・
読後随分と経ってしまって、内容を詳しく覚えていないので・・・とりあえず読了の記録に留める。評価は当時の読後感を思い出しつつ記す。
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食べ物とそれにまつわる人たちの短編集。
読み進めていくとだんだんとお腹いっぱいになる。一話読み終える頃には胸もいっぱい。
でも満たされた気はしない。むしろ胸にぽっかりと穴が空いてしまったような空虚感すら抱く。
これ以上はもう要らない、そう思うのに何故か読んでしまう。そんな矛盾を孕んだ何とも言えない気分になるお話たちの詰め合わせ。
個人的には「煮こごり」と「父の水餃子」が好き。
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ベーコン、ほうとう、煮こごり、水餃子などの食べ物をモチーフに、10歳の少女から60過ぎの老人までそれぞれの、多くは不倫関係にある男女の、人生の断片を描いた短編集。
日曜にだけやってくる男を待つ女(ほうとう)、会社で倒れた後、体調は戻ったのに出社できなくなった男(クリスマスのミートパイ)、謎の老人の死を巡り右往左往する女たち(煮こごり)…。
「煮こごり」の中に『針の先ほどの空白のようなもの。それが何なのかは謎だった。自分がこうまで焦がれるのはそのせいとも思えたし、あるいは焦がれるということは、相手の中にそのような空白を図らずも見つけてしまうということなのかもしれない』という件りがあるけれど、不倫を取り巻く人間模様の、空白感、空虚さ、曖昧さ、不確定さ、あるいは大人の割り切り、みたいなものが全編を漂う。
普通の主婦が見知らぬ青年と関係してしまう「アイリッシュ・シチュー」の艶かしさったら何とも言えないけれど、しかしこうも不倫の話が続くと最後は少々ぐったりではありました。。。
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若かった私なら読みきれなかったし、たぶんちっとも面白くなかったと思う。食べることが大好きな私は、貪欲なんだと自覚させられた一冊。
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厚切りの、肉汁のしたたる、端の焦げてちりちりしたベーコンが食べたい。
これは別に食べ物の話ではないけど。
嘘と、秘密と、ふりをして生きている人たち(主に男女)の、食事と官能の短編集。
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なんとも考えてしまう小説。
あと一つ、決定的な言葉があれば・・・・・
あと一文、決定的な文章があれば・・・・・
結末はたやすく想像できるのに、それが無いため果てしなく
広がる想像。全ての話がまだまだ続くかの様に終わっていきました。
そして、こんな展開にいつの間にか病みつきになってました(笑)
こんな短編集もおもしろい。
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ぎこちなく生きている印象のひとびとを描いた短編集。
不倫など道ならぬ恋のネタ多し。
どんなにいびつでもその中で生きている人にとって、それは日常であるよな、という全体の印象。
きちんと生きているのである、道理に反していても、普通と違っても。
毎週日曜日にやってくる不倫相手との心地よい時間が、不倫相手の妻が子供を産んだことで壊れていくまでを描いた巻頭の『ほうとう』。
二人の娘と住んでいた家を出だ不倫相手と同居を開始することになった主人公の『ゆで卵のキーマカレー』がよかった。
この2編は構造がわかりやすい分切なさや寂しさ、滑稽さがわかりやすい。収録された10編の中ではストーリーとメッセージが明確。
ぼんやりとした中からメッセージを掬い取る系の話は読んでいるときはいいけれどあまり心に残らないなという読後感。
文章の質が高く人物描写が秀逸だから読みやすいし飽きない。
ただ若干国語の教科書的な部分があり、形が整いすぎていて作品との距離を感じた。
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表紙が綺麗で買った本。
静かなのはいい。
でも、何も動かず・・・
状況も違いすぎて共感できず。