紙の本
巻末の「解説」で池上冬樹が「だが本書の興趣はスパイ小説の側面ばかりではない。終盤になると今度はリーガル・スリラーの側面が強まるからである」と述べておられる。たしかにその通りなのだが………。
2009/09/22 00:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
宿敵ザラチェンコによって銃弾を受けたリスベットは死の一歩手前でよみがえり、逆襲してザラチェンコに重傷を負わせた。かろうじて一命をとりとめたふたりが同じ病院で治療を受ける。一方、かつての公安警察に存在した秘密組織「特別分析班」が復活し、その秘密に関与していたものを次々に抹殺していく。スパイ小説によくある暗殺、盗聴、脅迫、証拠のでっち上げ、諜報機関の非合法手段がリスベットを追い詰める。
第一部は本格推理小説風な筋立ても面白かったが、むしろリスベットという型破りのヒロインの登場そのものが新鮮な魅力だった。
第二部はそのリスベットの超人ぶりをクローズアップし、ザラチェンコという悪とのグロテスクな私闘をこれでもかとばかりに刺激的に描いていた。
著者のサービス精神は旺盛でこの第三部はがらりと趣向を変えてある。傷害罪で告訴されたリスベット裁判を中心に、「特別分析班」という諜報機関のあの手この手の罠を「リスベットとその仲間たち」がどんな方法で打ち砕いていくか、組織同士の虚虚実実の騙し合いに緊張の重点が移っている。スパイ冒険小説風であり法廷ミステリー風でもある。
「特別分析班」の初動には先行きリスベットが絶体絶命の危機に陥るであろうと予感させる高度な謀略が練られて、緊迫感が高まる。ところがこれが持続しない。だんだんと退屈すら覚えようになる。面白くないなぁ。
強大な敵包囲網に圧倒され、主人公の命は風前の灯。ところが敵も読者も予想しなかった方法によって間一髪で逃れるからスパイ冒険小説は面白い。絶対に黒だとされる被告人がいる。ところが検察が見落としていた決定的な証拠が浮かび上がり、そして読者も気がつかない論理により最後に逆転無罪を証明されてこそ法廷小説は醍醐味がある。
ところが「特別分析班」という敵の力だが思いのほか脆いところがこの物語構成の欠点。というよりも「リスベットとその仲間たち」プラスアルファーの組織があまりにも強すぎるのである。
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一作目よりも二作目、二作目よりも三作目といった、回を追うごとにパワーアップしてくる内容の豊富さに圧倒された。三部作すべてを読了後、改めて気付くそのスケールの大きさ。完結しているシリーズものというのは、一作の評価もさることながら、トータルで作品全体を振り返れるわけで、その辺りが面白さであり醍醐味なのかなと思う。
本作品を簡単に説明すると、二作目の種明かしと決着。二作目ではほんの入り口だった謎の部分が大きく掘り下げられ、実はそこにもっと大きな陰謀が巣食っていましたよという展開。その陰謀を軸として伸びていく話の先には、本筋から脱線したエピソードもいくつかあるが、丁寧に書き込まれているので、寄り道したという感覚はなかった。
速い展開のせいで見落としそうになるが、作者の人種差別や極右主義と闘うジャーナリストとしての側面があちらこちらに見受けられる。特に女性に対する差別や暴力。同姓として複雑な思いで読み進めていたが、作中の彼女たちは頭脳や弁論を武器に闘いを挑む。その象徴が、ヒロインであるリスベットなのだろう。これだけインパクト大で特異なキャラをヒロインに据えているにも関わらず、脇役まで一貫して公平に書かれている部分に、私はすこぶる好印象を持った。
作者急逝により定かではないが、四作目のプランがあったとかないとか。
続きが刊行されれば無条件で読むだろう。しかし『ミレニアム』として考えた場合、本作品で完結するのが、内容的にもバランス的にもベストだと私は思う。すべてに決着がついたのだから、新たな火種をほじくり返すこともなかろうに。この作品に限っては、シリーズ特有のぐだぐだ感が目立ってほしくはないのだ。
ちなみに、本作品の自己評価は星よっつだが、シリーズ全体では満点評価である。
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三部作完結
物語はスパイと新聞社と裁判モノを含めて、それを上手く纏め上げている
2009年はこのミレニアム三部作が圧倒的過ぎる
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おもしろかった~♪
最後もう終わりかと思いきや更なるサプライズもあって読み応え十分でした。読みながらこれは伏線にしようと思ってたんだろうな…というところもたくさんあって、作者の方が亡くなってしまったのが本当に残念でなりません。
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シリーズ3作目。
テンションが落ちないのに感心。
これまでの設定と人物を生かしつつ、さらなる展開へ。
頭部を撃たれて重傷のリスベット。
入院中の彼女にも危機が迫る。
事件もみ消しをはかる動きが…
ミカエルは手を尽くして、見えない敵と攻防を繰り広げることに。
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一体どうやって着地させるんだろう? と心配してしまうほど、前作、前々作以上に込み入ってくるストーリー。
娯楽大作である以上、ご都合主義っぽいところが見受けられるのは仕方ないが、それにしてもいろんなラインが絡み合っている一大スペクタクルを見事に纏め上げているもんだ。
ジャーナリスティックな視点が織り込まれていることは分かるが、大きなテーマの1つであるはずの、“女性に対する性的暴力”に著者が過剰な意識を置いているのかどうか、登場人物である複数の女性があまりに放縦な性衝動を露わにしている点は、「妄想?」などと、引っ掛かる。
あるいはお国柄なのか。
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いやぁ、すごい。
ミレニアム 3 も、読み応え十分な面白さであった。
緊迫感のあるストーリー展開に、
就寝時間が遅くなってしまった。
ミレニアム 4 を読めないのが、
身悶えする程に悲しい。
2009(?)年 スカンジナビア推理作家協会「ガラスの鍵」賞作品。
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図書館より拝借。
次第に周囲にデレてくリスベリットが可愛いな。←
ミカエルがもてもてなのが謎。笑
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ミレニアム3部作、最終章上巻。
全巻の衝撃のラストから引き続き、物語は公安警察に焦点があてられる。
前2部作の勢いからちょっとペースダウンした印象。
リスベットもなかなか回復せず、エリカもミレニアム編集部から離脱し、
新しい展開ながらもストーリーのテンポはゆっくりめ。
国家を敵に、ミカエルがどうやって苦境を乗り切るのか楽しみ。
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ミレニアムシリーズのなかでは最も読みにくい一冊だった。
前作からの流れで仕方がないのだけど、リスベットが「眠れる女」となり魅力が発揮されないこととが残念。「組織」にまつわる歴史などは物語の筋から若干それている上に、多数登場する難解な人名に悩まされた。
状況が一変するのはリスベットがハッカーとしての才能を再び駆使しはじめる後半から。
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頭を撃たれつつも無事生還し、病院のベッドから始まるリスベットと、ミカエルは用意周到にリスベットの正義の為に準備を始め、大円団へと向かう。本当に面白かった。
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とうとうシリーズ最終作、真の黒幕との対決になります。ミカエルのスーパーマン度はますます増して、そこに違和感を覚えないでもないのですが、展開の面白さがそれを打ち消しています。早く読み進みたいような、読み終わるのが哀しいような、複雑な気持ちです。
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2010/08/27:返ってきて別の同僚へ貸し出しする前に読了。
2010/07/15:先に同僚へ貸し出し中。
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3巻上はあまりに前巻の続きすぎて、普通に平日は読み止まっていられました・・・・・・・・・・・。とにかく主役が動かないんで、話も動いた感がないと言う。警察始め周囲の人々はいろいろ忙しく働いているのですが。
まあこの週末で読了するでしょう。
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面白かったです。
ラストに向けてのいろいろな準備と言ったところかな?
まだまだ陰謀がありそうなんだけど、ちょっと弱い。
下巻でさらにどんでん返しがあるのか?
はたまたそのまま終わってしまうのか?