紙の本
出版流通の今昔
2019/04/29 12:40
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投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
太平洋戦争を挟んで構築された、日本特有の出版流通構造の統合と分化を学術的に分析しています。購書空間としての書店の形態(坐売りから開架陳列へ)と役割の変容についての記述も興味深かったです。
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難しかったです。まぁ専門書に近いからなぁ…。
歴史変遷とかが事細かく丁寧に書いてあるのですごく勉強になりました。
個人的には、
一番最初の部分の先行研究のまとめ・限界みたいなところで、今までの出版関係のルポの批判が非常に適確で目からウロコがばさばさと落ちました。
そして、それらの批判を踏まえて筆者がきちんとした文献調査に基づいて執筆しているのにただただすごいなぁと思いました。
今度は同じ著者で現在の出版業界まとめ本みたいなのを読みたいなぁ、
と勝手に希望中。
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2010 4/9読了。図書館情報学図書館で借りて読んだ。
日本の出版・流通が如何にして今のような形になったのか、その過程でどのような変遷があったかについて丹念に調べられて書かれた本。
これで修士論文ってどれだけレベル高いんだ勝てるか、と慄いたことは秘密である。
夜店の露店で本が売られていた時代、というのを考えると体験したこともないのに不思議とノスタルジックな気分にもなる。
タイトルにある「書棚と平台」の関係など、初めて知った興味深い部分も多かった。
著者本人も問題意識の部分で述べられているが出版危機が云々と議論するのであればこのあたりは抑えていかないといけないよなあ、とかなんとか。
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面白いのだけれど、参照している文献はより面白そうで、けれどその文献はもはや絶版、というところが悲しい。
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出版を研究する中で、今まであまりなかった切り口の一冊
流通と小売りの歴史をしっかりと抑えることが出来る。
単純な流通史だけでなく、メディア論としての展開が魅力的
少し贅沢をいえば現代状況についてもう少し突っ込んで欲しかった気もする。
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非常に興味深い。
現代日本の出版流通が形成されるまでを歴史にのっとりながら見ていき、様々な現状の原因を考察していく。
そこに自分の思考を重ね合わせながら読めば、出版流通に興味のある人にとってはとても楽しい時間が提供されること間違いなし。
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近代以降の日本の書籍流通史。内容はかなり専門的で筆致もアカデミック。
建築関係者にとっては第3章「購書空間の変容」がよみどころ。呉服のようにカウンター越しに注文した本を店員に取ってもらう形から、土間に書架を立て、客自身が開架を見て歩き自由に本を手に取ってみるようになるのは明治36年の丸善を嚆矢とし、明治から大正にかけて火災消失等にともなう建替にあわせて空間構造が変化したという。これは背表紙のある洋装本の普及と同時におきた。一方、店の中央には平台がおかれ、急いで売りたい赤本が積まれた。これらの店舗の写真や図版も掲載されている(pp.130-141)。
個人の書斎の書架の導入、教養を顕示する全集セットの家庭普及などを通じて、書籍群による知の構造が内面化していく。
しかし、これが修士論文というのはすごいな。
ペドロフスキー『本棚の歴史』にならべて書架におさめた。
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ポップなタイトルとは裏腹に、明治以降の出版、卸、書店の歴史を詳細に綴る論文的な一冊。流通が果たした商業・文化的な役割を明らかにするというところが主題なんだが、卸・書店などの"原因"が事細かに綴ってあるのに対して、"結果"である読者に対する言及が薄い。薄いだけでゼロではないので、前提となる業界知識を持ってさえいれば、もう少し納得感が得られたんだろうかなぁ、と。他の業界本で勉強してから再読したい。