紙の本
貧すれば貪する
2009/09/13 20:27
24人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は「自己責任論」を「上から目線」と断定し、なんとか全否定したいらしい。著者は「自己責任論」を「他人を黙らせるための手段」であるかのごとくいう。こういう単純な議論の二分法こそ、私はキケンだと信じる。ならば聞こう。「格差」「貧困」「弱者保護」も同じく「自己責任論を振りかざす者たち」を黙らせる道具ではないのか。われわれは戦後長らく「きみたちは弱者を切り捨てるのか」という恫喝に屈し続け、様々な職再分配策、格差是正策を飲まされてきた。これは、平たく言えば、他人より努力したもの、他人より多くの汗を流したものの成果を国家が奪い、他人より努力していないもの、スーダラして努力を放棄している者へ報酬を与えることでもあった。これが可能だったのは、日本経済が二桁の高度成長をしていたからなのだ。稼ぐ人はどんどん稼いで、多少むしり取られても「まあ、許容範囲か」と我慢が出来たのである。ところが日本経済が低成長時代に入ると、こういう所得の再分配に大きな抵抗感を覚える人が増えてくる。日本の税金は大部分、法人税と所得税でなりたっていて消費税はまだ他の先進国に比べ非常に少ない。となると、どういうことが起きるかというと、所得を隠せない大企業やそこで働くサラリーマンばかりが税金を払わされ、分配の主人公となり、税金をごまかせる人、所得を隠せる人は「平気の平左」「知らぬ顔の反米」を決め込む無責任社会となってくるのだ。日本で法人税を払っている法人は非常に少ない。所得税を払っている個人というのも非常に少ない。大部分の日本人は、実は税金を払わずに「もらうだけ」の「ぶら下がり健康法」を決め込む「おいしいところだけ一番搾り」状態のスーダラ野郎たちになりつつあるのだ。明治時代、日本ではサミュエル・スマイルズの「セルフヘルプ(自助努力論)」が「西国立志編」として大ヒットした。日本国民は欧米の経済成長の原動力が「自己責任=自立した個人=渇しても盗泉の水は飲まない」という厳しい自助論にあることを発見し、感動して、懸命に働いたのだ。だからこそ明治の日本は奇跡の経済発展を成し遂げ、世界の五大国に席を列することができたのである。今、平成の日本では国際社会でも責任を果たすことから目を背向け、アメリカから押し付けられた憲法を縦に逃げ回ろうとする自分勝手な外交論を振り回す輩が増えてきている。アメリカの核の傘で守られ続けてきたからこそ、日本は史上空前の繁栄を成し遂げることができた、これすべてアメリカ様のおかげ、という冷厳なる事実から目をそむける思考停止の連中が幅を利かせ始めている。そして明治の人たちには当たり前だった「自己責任論」を、話をすり替えて「他人を黙らせるための手段」などと吹聴するデマゴーグに追随する軽薄漢が増えてきている。こういうアメリカ様の軍事力パラサイト集団=日本の大企業に巣くう寄生虫集団が過半数を占めるようになれば、日本は衰退への道をまっしぐらに進むことになろう。諸君、明治の人たちが持っていた気概を取り戻そうとは思わないか。貧しくともおのれの身を律し、他人の世話にはなりませんという矜持を持とうとは思わないか。
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社会の大きな問題となっている<貧困>。昨年末に話題になった年越派遣村。その派遣村村長が静かな情熱をもって語りかけてくれます。具体例が身近で、とてもわかりやすいです。「がんばり地獄」「貧困スパイラル」からみんなでぬけだし、だれもが暮らしやすい社会を考えていきます。
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これはすごくわかりやすい!
自己責任論はなんか違うんじゃないかと思いつつも、どうにも反論するのが難しく、悶々としていたのでとても参考になりました。
とにかく現状を把握するにはおすすめの1冊。
これを読んでどう行動するかは自分次第。
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自分では意識せずに、しかし確実に現社会の不条理なゲームに付き合わされている(というより参加している)ことに気付けた。いやー、無知ってのはつくづく罪ですね。。
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社会勉強はよりみちパンセシリーズに限る。
子供も理解できるように書いてあるので、さらっと簡単に読めちゃいます。
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カテゴリーをエッセイとしたけれど
ノンフィクションとエッセイと対談と・・・みたいなものが
いい感じにごちゃ混ぜに入っている本
子どもでも読めるように総ルビをふっているが
内容を特別簡単にしたり子供向けに変えたというより
わかりやすくしたという方が正解
幅広い年齢層
いろんな職種の人
いろんな境遇の人に読んでほしい本です
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読みたいときに手にとれた本。
妙にすっきりして、生きていていいんだと思えたような本。
言いすぎかな。
でも言い過ぎでもないような気がする。
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よりみちパン!セ・シリーズは青少年向けに書かれていますが、これがあなどれない面白さです。
この「どんとこい、貧困!」はすでに知れ渡っているワーキング・プアなど「働けど働けど我が暮らし楽にならざりき…」なのは本人のせいではないんだよ、ということをわかりやすく説明しています。
私はこの本を貧困というキーワードではなく、市民活動の手引きとして読みました。若者が「活動」することについて、どんな心構えで「活動」ということを行なうか、などとてもためになりました。そして、「ボランティアをするときに全人格をかけてはいけない!」という教えに深く感じ入ったのです。
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インパクトのあるタイトル。
頼まれてまず図書館から借り、借主よりも先に中身が気になって読んでしまった。(^^ゞ
しばらくして、、もう一度読みたくて図書館に行ってみたけど、貸出中が続いていたので、とうとう購入した。
子ども(中学生以上)向けに書かれているが、むしろ大人が読むといい。
世の中の不安はこうなっていて、それに対して何とかしなくてはと活動している大人がいることが、丁寧に書かれている。
巻末の重松清さんと著者との対談も◎。
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子供向けに書かれた本。でも内容はとても重い。周りでよく聞く言葉や、実際自分もそう思ってた考えを「ほんとにそれって優しさ?」って真正面から聞かれているような気がした。知らず知らずのうちに弱肉強食の思考がオートで働いていたようだ。多くの人に読んでもらいたい。路上生活者は仕事を選べる立場じゃない!って思ってる人必読。人間的な生活とは何かと考えさせられる。
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現在のワーキングプアの状況、格差社会が子ども向けにわかりやすく描かれています。子ども向けだけれど、大人が読んでも十分。
湯浅さんの考えが、どんと、描かれています。いろいろ言われるかもしれないけれど、自分の主張をここまでいえる人はすごいと思う。すべてが受け入れられなくても、これを読んで考えるところはあるのでは。
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「椅子取りゲーム」「溜めの力」については特に腹落ち。自分が「自己責任論」寄りな考えだったが、この本を読んで少し考え方が変わった。
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貧困スパイラルに関してはまさにその通りで、
これははっきり言って率直にあってはならないと思う。
人生長い。
失敗はつきものだし、そうやって失敗を恐れさせることに関しては成功は見込むことは難しい。
それこそ『いすとりゲーム』頭の良い人、要領のいい人、ずるい人が成功する社会になりつつある。
もともとなのか。
それとも、自分のいるところがそういうところなのか。
得てして本当に考えなければならない。
社会保障/保険に関してはわかりやすく書かれている。
そして何よりおもしろかったのは相対的貧困について。
これは絶対的貧困と相対するもの。
絶対的貧困は死ぬ死なない
相対的貧困は人間らしくいけるか
日本は経済大国。
それについて日本人は浮かれているがどんなメリットがある?
日本人に合った仕事って何なのだろうか。
日本人に合った生き方って何なのだろうか。
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[ 内容 ]
競争、無関心、上から目線。
誰もが誰かを、そして自分を痛めつづけ、人間の尊厳も社会のシステムもボロボロになってしまったいま、派遣村村長が静かな情熱をもって子どもたちに書き下ろす。
ごまかさずにあきらめずに、もう一度、希望をつくりだそう!
特別対談・重松清×湯浅誠。
[ 目次 ]
第1章 どんとこい、自己責任論!―がんばり地獄とずるさ狩り、そんな社会に、みんなでサヨナラしよう。(努力しないのが悪いんじゃない?;甘やかすのは本人のためにならないんじゃないの?;死ぬ気になればなんでもできるんじゃないの?;自分だけラクして得してずるいんじゃないの? ほか)
第2章 ぼくらの「社会」をあきらめない。―黙るのも黙らせるのも、もうやめにしようじゃないか。きみの“溜め”が増えるように、みんなの“溜め”を増やすために。(きみがいま、あるいは将来そのさなかにいるのならば;変わるべきはぼくらの社会だ、ときみが思うならば;きみが、生きやすく暮らしやすい社会を目指すならば)
どんとこい対談 真摯に、そしてひとかけらの笑いを(重松清×湯浅誠)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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貧困問題がとてもわかりやすく書かれていてよかった。小難しい専門用語やデータが少なくて問題の根本を理解するためには最適だと思う。