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○186いままで、日本社会で何が社会保障的な機能を担ってきたかというと、特に地方経済についていえば、公共事業ですよね。
★再分配という手法であるとは思っていたけど、社会保障まで?あまりにも限定的なんじゃないか。確かにそういう一面は否めないけど。
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● 年金というのは何をやっているのかというと、貧乏な若者から税金をとって、金持ちの年寄りに配っている。それよりも生活保護やベーシック・インカムで生活を保護し、それ以上の部分については、個々人が自分の判断で預貯金すればいい。
● ニート、フリーターに対して「自己責任」といっていいのは、景気がいいときだけです。需要がちゃんとあって、その状況でニート、フリーターだったら、僕は自己責任だと思う。けれども、いまは席が人数分ないわけですから、社会の問題です。
● 要するに、都会の金持ちと貧乏人からとって、田舎と都会の貧乏人にまき、貧乏な若者と金持ちの若者からとって、金持ちの年寄りと貧乏な年寄りに配っているので、65歳未満の不平等・貧困はまったく解決しないんです。
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「実存の問題は政府や政策が手を突っ込むべき問題ではない。共同体や秩序に希望をたくす方向も同様である。」
経済問題に関する入門書のように見えるけれど、本の内容はといえば、何かと話題の若年層非正規雇用労働者に関するもの。「格差」ではなくて「貧困」を問題の中心にすえて、貧困を経済学の問題として捉えて、貧困を無くすための方向性を模索してみようというコンセプト。
頭のいい人たちの内輪話で、本の内容はあまり理解できなかったけど、貧困という問題に取り組む上では「生きづらさ」みたいな心の問題と向かい合う必要なないってこと。
貧困者の心の問題に対して、社会学や精神論からのアプローチを突き放することろが潔い。
貧困は単純に政策の間違いから生まれた問題で、心の問題を持ち出すまでもなく、経済学的解決策で対処できる問題である。
例えば生きづらいと思っている青年に、「仕事を通じて社会から承認を受ける」みたいな社会心理学的な話とか「自分を変えよう」とか励ますヒューマニスティックな啓発本は役立たずだということ。
弱いもの同士集って傷を舐めあいたい欲望にかられるけれど、そこは強がって我慢しよう
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知の生産と流通を大学という特権的な場から解放して、現代人の生活にもっと身近なかたちで展開することを組織目的とする「シノドス」が、現代社会を多角的に検討する「知」の交流スペースにおいて、経済政策、マクロ経済学者の飯田泰之氏、内閣府経済社会総合研究所主任研究官岡田靖氏、フリーライターの赤木智弘氏、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長の湯浅誠氏との対談を行い、その内容をまとめたのがこの作品である。
連続対談では高度経済成長、若年失業問題、貧困問題を経て論壇における経済学の役割と多岐にわたったものである。
何が貧困を救うのか、反貧困運動の最前線に立つ運動家と、経済学者が説く経済学的な合理性。
シノドスが目指す知の交流がますます広がる日本社会を作っていくことの重要性を思った作品である。
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「大きな政府」か、「小さな政府」か。
景気回復優先か、財政再建優先か。
このような切り口は、テレビや新聞などでよく目にするもので、ずっと昔から延々とやっている印象がある。
しかし、この対談本で飯田氏は、この図式を不毛な二項対立だとみなしている。
ケインズ的な福祉国家主義とハイエク的な新自由主義は、根本から対立するものではない。
ケインズは「病気の人間には治療が必要である」と言い、ハイエクは「健康な人間は身体を鍛えるともっと健康になれる」と言っているに過ぎない。
状況に応じて処方箋が違うだけで、「風邪をひいたら薬を飲みましょう。治ったら身体を鍛えましょう」が正解。
はい、無意味な議論は終わりました。
このように、メディアなどで好んで使われるキャッチフレーズには、それ自体ほとんど意味のないものが多い。
例えば、再分配は所得保障の話をするときによく使われる「都市から地方へ」というお話。
ジニ係数というものがあって、それは高いほうが不平等だということを示すのですが、税務や公的な福祉で調整する前の日本のジニ係数は、先進国のなかではかなり低い。北欧諸国よりは不平等ですが、それでもかなりの平等社会なんです。
しかし、税務や社会保障で調整したあとでは、主要先進国中でも英国につぐ不平等社会になっている。どういうことかというと、日本以外の国は再分配政策で不平等を下げているのに、日本は再分配の前後で不平等度がほとんど変わらない。だから調整後は、ほかの国よりも不平等ということになっている。
要するに日本の再分配政策は、予算額だけ馬鹿みたいに大きいのに、何一つ不平等を解決していないんです。
そんな非効率なことはもうやめて、単純に「金持ちから貧乏人へ」再分配すればいい。幼稚園児でも分かりそうな理屈です。
そして、それを実現する技術は経済学が用意できる。だから、哲学的イデオロギーを脱して、純粋に技術的な議論をしなければ、現在の苦境は突破できないではないか。
う~ん、これにどう反対意見が出てくるのかが想像できない。
欧米の真似をしていれば良かった高度成長時代が終わった。
フロントランナーとして、「新しく自分自身の問題として解かなければならない課題」にぶつかっているにもかかわらず、「スウェーデンが・・・」「いや、オランダが・・・」などと、「いまだに日本はどこかに解答・解説集がないかと考えている」のが「失われた10年」(もうすぐ20年)。
処方箋(選択肢)は多くない。つまりやるべきことは、だいたい分かっている。
やるべきタイミングも、(これまで散々見逃してきたことは置いといて)十分はっきりしている。
さあ、もうやるしかないじゃないですか。
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【目次】
1章 高度成長とは何だったのか----戦後日本経済思想の源流と足枷
岡田靖×飯田泰之
2章 戦争よりバブル、希望はインフレ
赤木智弘×飯田泰之(司会・芹沢一也)
3章 何が貧困を救うのか
湯浅誠×飯田泰之(司会・荻上チキ)
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タイトルそのものの答えは、「日々社会は進歩→新しい価値を生み出さないと人が余る→成長そのものが社会を支えるために必要」というとこでしょうか。やっぱり少し詭弁かなと感じてしまう…
Anyway, コーディネーターの経済学者が私より若いことに驚きました。キレのある文章を書くなー。論理構成やスタンスは賛同できますが、あらまほしき社会像というのはやはり個々違うのかな。
それから、「年越し派遣村」を主催した湯浅誠さんのインタビューは面白かったです。単なる活動家ではなく、思想背景の部分や現実の戦略に落とし込む際の葛藤(「いかに中流階層に共感してもらうか」)などを垣間見ると、優れた人なんだろうなぁと思いました。
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メディアやネットの中で「経済」について語られていることがいかにいい加減かを理解させてくれる本。
理論より実践寄りの立場で書かれており、それは対談の相手として選ばれたメンバーからも伺える。
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日本の貧困問題について、経済学の立場から切り込んだ本です。
この本を読んで、自分が経済学についてわかっているようでわかっていないこと実感。
いろいろな政策がある中で、経済的合理性の視点で確認する必要があることを感じました。
それと正規・非正規問題では、正規の雇用条件を悪く(解雇しやすくする)方向での解決策を考えていたけど、それでは受け入れられないから、他の方策を検討すべきというのは示唆に富んでいると思う。
それにしても、贈与税や相続税減税は消費を減退させるって本当かな?大前研一さんも主張しているぐらいだから消費の活性化になると思っていたんだけどね~
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「最低限生きていける保障があれば、そこから先は市場と競争の原理に従わざるを得ないだろう、それを支えるため経済の成長が必要である」ということらしい。頭で考えてるだけでなく実現に寄与してほしいところではあるけど...
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●論者に共通しているのは理想論ばかりでリアリティがないということ。(湯浅氏を除く)
具体的な実行プロセスがなく、費用、効果、メリット、デメリットがわからない。
●湯浅氏の素晴らしかったところは、実現のためのアプローチを考えているところ。
読了日:2010/05/22
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「必要ない」と言いたげとも感じられるタイトルだけど、実は経済成長は必要という主張。毎年2%の成長がなければ行き詰まる。なぜなら技術革新により人手は省かれるから。「十分豊かだからもういいんじゃないの?」とか「お金持ちになることが即ち幸せじゃあない!」とか「拝金め!」とか「やっぱり精神が豊かなことが本質だよね!」等の主張は誤りだとわかる。
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「働く」、「儲ける」厳しさを感じる昨今。
本書はまずそのメカニズム、つまりこれまでの経済成長そのものを示す。
続いてその2面の繋がりをそれぞれの立場から模索する。
この2面に対して、それぞれの立場が互いにどういった認識を持って活動しているかが示され、その対比を通してそれぞれがどの部分に働きかけているかが明らかになっている。
二分法で語られがちな社会やものの見方が、結局実際はその間にあるもので、その中でどう落とし前をつけていくかを考えさせられる。
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良書。
経済成長経済成長と叫ばれる中で、なぜそもそも経済成長が必要なのかからそのために誰のどういったアクションが必要なのかまでがしっかりカバーできている。
対談鼎談形式で展開されるので議論の過程も分かり非常に分かりやすかった。
湯浅誠と赤木智弘という人選が好感。
学者や政治家たちだけの世界の話のようなイメージをうまく崩してくれた。
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経済学は、めざすべき社会制度へ向けて利害を調整する合理的なフォーマットの一つ
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