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タイトルを見て「流石にこれは無いだろう」という思いがしましたが、表紙の隅に「文系支配が敗戦をもたらした」という文言と、著者の山口氏の経歴が私が勤務していた石油業界と同じだったので、更に興味が湧きました。
当時の経済規模にかなり差があるので、やはり難しいだろうという気持ちはありますが、山口氏が勝てる見込みの根拠を確認してみたいと思いました。
ポイントは、空軍を独立させる、機種を絞り込んで生産数を増加、防弾の装備化、人造石油の様です。なかなか現実には難しいような気がしますが、特に人造石油については、新しい見解のように思いました。
以下は気になったポイントです。
・どうすれば良かったか、の答えを得るには、過去にさかのぼることで人は学ぶことができると歴史は教えている(p2)
・陸海軍がおこなった少年操縦兵制度は大変ユニークであった。もしも昭和10年以降一万人規模で少年操縦兵が募集されていれば変わっていただろう(p19)
・台中上空のF6F、36機対、飛燕2機の戦闘で、飛燕は、撃墜6、撃破5の成果をあげている(p27)
・人造石油は1942年に製出されたが、遅すぎた成功であった。徳山燃料廠の面子だけにしがみついていたことが人造石油ができなかった原因であった(p28)
・呉の海軍工廠が戦艦建造で対米3倍の生産性を示すとともに、中島の飛行機組み立て工場は、対米2倍の生産量増加率を示していた(p31)
・飛行四十七戦隊(誉発動機装備の疾風)は、首都圏防衛にあってB29を100余機撃墜した(p41)、疾風をテストした米軍の評価は、日本機中一番となっている(p47)
・1999年になって、ようやく米国上下両院がルーズベルトの行ったキンメルへの遺族に対して謝罪を行った(p217)
・日本陸軍の暗号システムは鉄壁で、太平洋戦争の全期間を通じて全く解読されていなかった、しかし海軍が使用していた暗号に問題があった(p218)
・太平洋戦争開戦の決定、ポツダム宣言受託の御前会議に出席した重臣、最高指導者は、天皇以外、皆文系(p275)
2015年8月30日作成