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著者が東洋人であったら、神ということについてここまで苦しまなくてもよかったような気もするが、神と呼ぶかどうかは別にして、絶対的なものやそれをもとにした宗教との関わりを考えるうえで、たいへんな示唆を与えてくれる。特に、第3章は素晴らしい。
宗教に対して長い間悩みを持っているが、これを読んで気持ちがとても軽くなった。この瞬間が永遠なのであり、世界自体が神秘であり、倫理が精神性へ繋がっていく。永遠や神秘や精神は、神の、宗教の独占物ではない。それらに縛られる必要はないのだ。
簡潔に書かれているが、読み通すにはある程度の知力がいる。しかし、時間が掛かっても読む価値は十分にある。僕は2回読んだ。でもまた読みたいと思う本だ。
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アンドレ・コント=スポンヴィルはフランスきっての人気哲学者らしい。ソルボンヌ大学で哲学を教えながら、フランス国内で一大哲学ブームを巻き起こしたとのこと。「日常生活に役立つ哲学」を提唱している。
http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20100630/p8
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無神論者(非キリスト教者)にとっての、神なき自由についての論考。
如何に西欧において、自由についても神を前提にしているかを考えさせられます。
非西欧・非キリスト教世界においては、信仰と自由は別物というか、「信仰の自由」はあるだろうが、「自由」の前提として「神ありき」とは考えてないように思う。
故に、神の似姿としての人間の優越性において、動植物や自然環境を「自由に」作り変えようとしてきたのだな~。
でも、平行読みしている『人間キリストを科学する』の論点で見ると、イエス・キリストは、そんな風には考えてなかったんじゃないかな?と思います。
寧ろ、社会的地位や貧富の差や様々な格差から「自由」になって、互いに尊重し、慈しみ合う社会を願っていたようです。
「自由」とは、かけがえのない「自分」を愛し、かけがえのない「他者」をも愛することなのではないでしょうか?
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宗教をめぐってますます混迷を深めるこの現代において、
政教分離の原理という戦いに資する精神性を打ち立てるべく
無神論者を自称する著者が精神の自由について世界にむけ
強いメッセージを送りだそうという著作。宗教に関して
すべての人に目を通してもらいたい労作。
第一章はキリスト教文化圏から発せられており、日本人には
響かないかも知れない。第三章は著者の個人的体験に基づい
ており、受け付けない人もいるかも知れない。私が個人的に
気に入ったのは第二章だった。
誠実さと寛容、希望ではなく愛、信仰ではなく真理。