紙の本
あなたの幸福度は何点?
2010/06/17 08:47
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語の舞台はバングラデシュ。書名の「リキシャ」は、そのバングラデシュで利用されている自転車で人を乗せる車をひっぱって移動につかう乗り物のことです。
明治の頃の日本では人力車という乗り物がありましたが、その自転車版ともいえます。
この物語では「リキシャ」が重要な役割をしていますが、ここで書かれているのは昔の話ではありません。現代のバングラデシュの物語です。
今や電気自動車が走ろうかという日本にいて、「リキシャ」を移動手段にしている国のことを想像するのは難しいかもしれません。でも、世界にはまだまだ貧困にあえいでいる国はたくさんあります。また、同じ国のなかで戦争状態に近い国もあります。あるいは、この日本という国もそうです。けっして誰もが裕福ではありません。たくさんの人が歩いているのは大きな都会の話です。小さな地方にいけば、年老いた人たちだけの過疎のような町がいくつもあります。
ものごとすべてはひとつの視点では判断できません。たくさんのことから、それでも正しいといえること、それを見つけ出さなければなりません。
物語の主人公はナイマという十歳の少女です。ナイマのお父さんは「リキシャ」の運転手をしています。「リキシャ」を買ったときの借金を返すために毎日毎日働きづめです。
そんな父親を楽にしてあげたいと優しいナイマは思います。そして、名案が浮かびました。日頃からお母さんに「行動をおこす前に立ちどまって考えなさい」といわれていたことも忘れて、ナイマは思いついた計画を実行してしまいます。このことで、ナイマの一家はさらに苦境においこまれてしまうのです。
物語はそのあと、ナイマの勇気ある行動で家族に幸せがもどってきますが、ナイマのお父さんは「リキシャ」の運転手であることに変わりはありません。
でも、ナイマはそのような貧困のなかでも「本当の幸せ」とはどういうものかを手にいれましたし、貧しくても懸命に生きようとしている人とも出会いました。
「日本人の幸福度は65点」という「幸福度調査」の結果があります。
残念ながら、これは世界のなかでもけっして高い数字ではありません。豊かさと幸福度はけっして同じではないのです。
バングラデシュという貧しい国のナイマよりも自分が幸福であるかどうか。そして、それがもし幸福だとしたらどうしてなのでしょう。あるいは、ナイマの方が幸福だと考えたなら、なぜそう思うのか。
そのようにして問いかけることが大事ではないでしょうか。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
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10歳の女の子ナイマ、貧しくともおたがいを大切に思い合う家族、そして、自分の力で変わろうとしている人びとの夢と現実と希望の物語
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おもしろい!
あっという間に読めました。
バングラデシュとか、どんかとこかサッパリなんですが(ほんと読書には知識が必要不可欠だ‥)
カレーとかサリーとか
インドっぽいかんじ
女の子は家事をやる、っていう昔ながらの風習が根強く残る村で、大人の女性になること(によって生じる束縛)に不満を抱える女の子が
未来を切り開いていく話
女性の社会進出とか
貧困とか
女性蔑視?とか
風習や伝統や
そんなこともちょっと考える本
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知らない国を舞台にした本を読むことのメリットは、その国が急に身近に感じられるようになること。この本を読んだ後のバングラデシュもしかり。女の子の自立の話であり、マイクロファイナンスの効果的な紹介であり、読んでよかった!人にもすすめたい!と素直に思える本。
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ふと手に取った児童文学。
タイトルにある「リキシャ」。
著者の名前「ミタリ」
どっちも、バングラデシュで馴染みの言葉。
ん?
と思ってパラパラめくると、
やっぱり舞台はバングラデシュ。
主人公、ナイマは10歳の女の子。
お父さんは日本の人力車の自転車バージョンの
「リキシャ」に乗ってお金を稼ぐ。
ナイマは家が裕福ではないので学校には行けず、
家事手伝いをする。
バングラでよくある風景。
そんなナイマの特技はバングラの伝統的な絵
アルポナを書くこと。
でも絵が得意、なんてお金を稼ぐことは出来ず、
お父さんの助けにならない。。。
そしてある日・・・
というお話。
バングラ社会、文化、男女観がよく見える作品。
バングラの大人や子どもたちと一緒に活動をしているだけに、
彼らを理解しようとしてかなきゃ。と改めて思った。
日本では今常識ではないことも。
きちんと向かい合って受け止めないと。
一緒に活動しているSSPメンバーにも、
バングラに興味がある人たちにも、読んでみてほしい
作品です。
最後に。
バングラのリキシャに描かれている絵の鮮やかさは
圧巻です!!!
バングラの伝統的な絵、アルポナを書くのが大得意。
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2010年の小学校高学年向けの課題図書です。
バングラディシュのナイマという少女の物語で、女性の自立と、家族の絆を描いたものです。
情景がリアルに思い浮かび、涙が出てきた場面もありました。
お父さんが娘へかける言葉がすばらしい。
ナイマは、女であることで、「一日中働いてもたいして稼ぐことのできない父」を助けることができない自分を責めます。
しかし、収入を得るにはなんの役にも立たないと思っていた、アルポナという絵を描く特技が、大きな希望を生み出します・・・。
貧困のこと、女性の地位のこと、バングラディシュという国の文化のこと、色々なことを知り、感動し、衝撃を受けることのできるいい本だと思います。
こういう本を、小学校高学年の子に是非読んでもらいたい。
大人にも是非読んでもらいたいと思う一冊です。
この本が課題図書で良かったです。
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バングラデシュのナイマという女の子の話。お父さんの助けになれてよかった。自分が得意なことを仕事にできていいな。
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ナイマの住む村では、毎年大きな絵のコンクールがあります。絵の得意なナイマは、今年も優勝候補の一人。
でも、村も家も貧しく、ナイマはある日、お父さんのお仕事を助けようとして、大切な人力車をこわしてしまいます。
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絵の感じが,「ともだちのしるしだよ」に似ています。
お話を読んで、全く違う絵を書いてみるのもよいかもしれません。
自分で絵本を作ってみると、お話の中で、読み飛ばしていた行間に気が付くかもしれません。
10歳の子供の話なので、10歳の子供が考えるきっかけになると思います。
また,日本の外でしか経験できないことと、日本でも経験できることを感じ分けることができるかは,
海外の作品を読む上での、焦点なのでしょうか。
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バングラデシュで経済的自立を目指す女の子~ナイマはバングラデシュの村でリキシャ運転手として働く父と主婦の母,妹と貧しく暮らしている。前の様に父が病気で寝込んだら,今あるリキシャの借金も返せなくなるので,隣のサリームのようにリキシャを運転することができたらと思い,試しに運転してみるが藪に突っ込んで傷だらけにしてしまった。修理のために母の腕輪を売らなくてはならなくなった。玄関の敷石に描く絵であるアルポナの腕を活かして,隣村に再開店したリキシャ修理店で働かせて貰ったら,修理費を相殺して貰えるかも知れないと考え,サリームに男の子服装を貸して貰って出掛けていった。店に行っておばさんに聞いてみると,自分が店主であり,試しに描いてみろと言う。女の子だから雇ってみようと言う気になったと父にも言っている~多分2010年の課題図書。マイクロ・ファイナンスのグラミン銀行は1983年から活動しているらしい。バングラデシュには,エメラルドの水田,黄金のジュート畑,サファイアの空にしずむルビーの夕日があるという
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バングラディシュに住む少女ナイマ。
彼女の家は豊かでなく、家のために何か役に立ちたい、といつも考えている。しかし、この国では女は家事をするのが仕事、あとは「アルポナ画」という絵を描くくらい。周りの人はナイマのアルポナ画の才能を高く評価していて、それで十分だと言うが納得できない。
幼い頃はいつも一緒だったサリーム少年は家のために働いているのに…と想いが募るナイマは思い切った行動に出る。
女性が働くのが当たり前になってきた日本では想像できにくいかもしれないが、世界を見ればそういうところもまだまだたくさん。幸せなことなのです。
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バングラディッシュの貧しい家のナイマは10歳。お父さんはリキシャに乗って、お客さんを運んでお金をもらう。タクシードライバーみたいな仕事をしている。お父さんのリキシャはとても綺麗。だけど、その日ぐらしの生活で、体の弱いお父さんが、病院に行き始めたら、妹のラシダも学校に行けなくなってしまう。
ナイマはバングラディッシュの伝統的な絵画、アルポナを描いたら村一番。でもアルポナではお金を稼げない。バングラディッシュでは女性が働くことができないのだ。働きづめのお父さんに楽をさせてあげたい、お母さんにあたらしいサリーを買ってあげたい、ラシダに勉強を続けさせてあげたい、お腹いっぱい食べたい、「私が男の子だったらなあ」そして、ある計画を思いつきます。女の子をかくして、リキシャの運転をして、お金を稼ぐ!!しかし、お父さんのリキシャに乗ってみたら、けっこう、大変。坂道で曲がりきれずに転倒。リキシャは壊れてしまう。ますます貧乏になって、お母さんの大切な金の腕輪も売らなくてはならなくなるかも・・・でも、町でナイマはリキシャ修理店の女主人と出会う。そこでなら、ナイマの得意な絵を描く仕事ができる!
働くということ、
特にまだ女性の労働が認められていない外国で働くということ、
その国での暮らし、文化、家族、・・・いろんなことを考えさせられる。
装幀やテーマで、子どもたちはなかなか手にとってくれないけれど、いい本!
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バングラデシュというあまり馴染みのない国のお話で取っつきにくいかな?と思ったけれど、全然そんなことはない。
貧しい暮らしの家計を支えたいと思う女の子の気持ちが、よく伝わってきます。
短いお話の中に起承転結がはっきり書かれていて、読みやすい。
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[ 内容 ]
10歳の女の子ナイマ、貧しくともおたがいを大切に思い合う家族、そして、自分の力で変わろうとしている人びとの夢と現実と希望の物語。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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バングラデシュの女の子のお話。
女性が働くことにかなり閉鎖的な社会において、自分の可能性をみつけた彼女の様子に心打たれます。