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チャイナ・レイク みんなのレビュー
- メグ・ガーディナー (著), 山西 美都紀 (訳)
- 税込価格:1,100円(10pt)
- 出版社:早川書房
- 発行年月:2009.11
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紙の本
これがアメリカの弁護士のレベルだとしたら、それは恐ろしい話です。むしろ、それをテーマに書き直したら? って思います。MWAもレベルがさがったもんだ、とおもったら本の説明とはちがってPB部門賞受賞作なんだそうです。あ、それでこんなに軽いのね・・・
2010/04/28 22:52
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
好きなカバー写真ですが、これがミステリの内容にどう関係しているのかよく分かりません。タイトルも、原題の CHINA LAKE をそのまま使っていて、読者としては「まあ、格好いい湖の名前だなあ」とは思いますが、それ以上ではない。そういう意味では、内容がどうのこうのという前にカッコいい写真で、題だよなあ、って思うわけです。
でも冷静に見てしまえば、Almy/PPS通信社と注記にあるカバー写真だけでいえばノンフィクションの雰囲気ですし、タイトルは純ハードボイルドではないか、って思えて、ちぐはぐな感じはぬぐえません。ハヤカワ・デザインの手になるカバーデザインについては、渋くていいのですが、シリーズを間違っているんじゃないか、なんて思いもします。で、カバーの内容紹介をみると
*
親友の母の葬儀に狂信者集団〈レ
ムナント〉のデモ隊が押しかけて
きたのが最初だった。弁護士にし
てSF作家のエヴァンは彼らと対
決する。だが敵の本当の狙いはエ
ヴァンの六歳の甥ルークだった。
兄ブライアンの離婚した妻が〈レ
ムナント〉に入信していたのだ。
執拗な嫌がらせ、ルークに対する
誘拐の試み。その背後には、陰謀
が……カルト教団と対決するヒロ
インの活躍を描き、アメリカ探偵
作家クラブ賞に輝いたサスペンス。
*
となっています。おお、チャイナ・レイクが何であるかは分からないけれど、カルト教団と対決するヒロインの活躍を描き、アメリカ探偵作家クラブ賞に輝いたサスペンスなわけね、それなら読むべきでしょ、ミステリファンとしては、となります。ただし、天下の御意見番としては、この早川の謳い文句について一言、言いたい!
実はです、「アメリカ探偵作家クラブ賞に輝いた」は意図的な虚偽で、本当はアメリカ探偵作家クラブ賞ペーパーバック部門賞受賞作の後半を削ってウリにしています。最近の早川の流儀では、部門を明記していたはずですが、今回はやってはいけないことをやってしまった感じです。厳密には、嘘ではなく省略なんですが、そうであれば候補作だって同じ表現で売れないことはありません。(ちなみに bk-1 はきちんと【エドガー賞最優秀ペイパーバック賞(2009年)】 と書いてます。清く正しい! )
訳者あとがきでもエドガー賞一本槍ですが、誠意を感じません。ちなみに、BEST NOVEL は、"BLUE HEAVEN" by C. J. Boxです。普通、エドガー賞というなら最優秀長編賞を意味します、そうでなければジャンルを示すべきです。ま、読めば、確かにアメリカ探偵作家クラブ賞というレベルではないことはわかって、賞をとったとしても新人賞というのが相応しいものであることははっきりしています。
なぜかといえば、主人公のエヴァンの言動が滅茶苦茶なんです。どうしてこれで弁護士? アメリカの弁護士ってサルと同レベルか? なんて思います。例えば、誘拐を企てる相手のところに、なんの成算もなく乗り込み、脅されて帰る。これを何度も行なう。直ぐに裸になる。喚き叫ぶ。警察を馬鹿にし、誘拐犯が周辺をうろついているのに子供と一緒にいようとしない。
その時に子どもを信頼できる人間に預ければいいのに、それもしないし、その場から避難しようともしない。しかもです、警察関係者がまるで無能です。いくらアメリカ人がバカでも、これは勇足。ま、この本がイギリスで発表されたことを考えれば、納得できないことはないですけど、そうはいってもアメリカの賞取ってるわけだし・・・
それと気になるのが登場人物の殆どの人間の年齢がどこにも書かれていないことです。これは困ります。主人公と兄の愚かさは、はっきり言えば10代のガキレベル。でも、話を読む限り20代後半か30代。そうだとしたら馬鹿でしょう。やたら興奮ばかりして、冷静な判断が出来ていない。これで弁護士が務まるなら、アメリカの裁判制度ってなんだ? っていうことになります。
他にも、主人公が困っているのに、恋人のジェシーはそばにいてやらないで、どうも帰ってしまっているらしい、でもどこにも帰ったとは書かれていない、など素人作家でもやらないようなことをやっています。せめて訳者が補えばいいのに、直訳しているから違和感が残ったまま。都筑道夫ではありませんが翻訳者もいいかげんになったなあ、という感じ。ちなみに、訳文はいいんです。足りないのは配慮。
最後に登場人物紹介。
エヴァン・ディレイニー:弁護士。SF作家
ブライアン:エヴァンの兄。海軍中佐
ルーク:ブライアンの息子。
タビサ:エヴァンの元妻。ルークの母親
ニッキィ・ヴィンセント:エヴァンの友人
カール:ニッキィの夫
アビー・ハンキンス:エヴァンの高校時代の友人
ピーター・ワイオミング:〈レムナント〉の指導者
シェニール:ワイオミングの妻
アイザイア(アイス)・パクストン:〈レムナント〉の教団員
カート・スモレック:〈レムナント〉の教団員
シャイロ・キーラー:〈レムナント〉の教団員
グローリー・モフェット:〈レムナント〉の教団員。SFマニアでもある
ブリューゲル姉妹:〈レムナント〉の教団員。三つ子で、
ニール・ジョーゲンセン:形成外科医
マーカス・デュプリー:海軍中佐。ブライアンの同僚
ギャレット・ホルト:海軍パイロット
サリー・シマダ:《ニュース・プレス》社の記者
マクラケン:チャイナ・レイクの刑事
ローラ・イェルト:同警官
クリス・ラムスール:サンタバーバラ警察の刑事
ジェシー・ブラックバーン:弁護士、エヴァンの恋人
以上は出版社のものをそのまま写しましたが、間違いがあります。それはタビサの説明で、彼女は「エヴァン」の元妻ではなくて「ブライアン」の元妻です。本文を読んでいて人物が分からなくなり、リストでチェックして余計混乱してしまいました。エヴァンがレズビアンだから〈レムナント〉から攻撃されるのか、と思いましたが、それも変。単純なミスでしょう。
カバーも含めて、どうもピシっとしていないお話だなあ、と思いました、はい。
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