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リスクの考え方についてオムニバス的にいろいろな例から説明がされている。ブログや対談がもとになっているのでつまみ食い感はあるが、リスクを計算する際にどのように推定するかは慣れないとなかなか身につかないので手元に置いて読み直したい。
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農薬,添加物,遺伝子組換食品など,感情に訴える一部のリスクを気に掛けるあまり,他のリスクを増やしてしまう。コストを考えずにゼロリスクを目指してしまう。社会にはびこるそういう現状を憂える本。著者は,環境リスク評価が専門。次第に食と健康の問題にもかかわるようになったそう。
1991年から92にかけて,ペルーで起こったコレラ蔓延には驚く。トリハロメタンの発癌性を問題として,水道水の塩素消毒をやめてしまったところ,80万人がコレラに罹患,7000人が死亡したという。凄。自然信仰,生食信仰が蔓延する日本もひと事ではない。
特に第二章がなかなか。食品や栄養が健康に与える影響を過大評価するフードファディスムの概念を,日本に紹介した高橋久仁子氏との対談。フードファディズムは両極端があって,「砂糖が有害だ!」という声が上がると,企業側が反対に「砂糖で頭がよくなる!」と主張するようなことが起こる。こうなるとどちらも同じ穴のムジナだ。
フードファディズムに取り込まれやすいのは家庭で孤独に奮闘する女性たち。男性の参加で改善するのかもしれないが,道は遠い。食育基本法に対しても懐疑的で,その根底に食育は「女がやれ」という思想がこもっていると女性学者二人で気焔を上げる。根は深いのかも。
著者は,食の安全を求める市民運動にかかわったこともあるそうだが,運動との訣別も経験。最初は正しくても,一つのスローガンを言い続けなくてはならなくなると,時代についていけずに間違った運動になってしまう。そういうのってきっとあるよね。いろいろと,難しいんだな。
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個人的には前著「環境リスク学」を読んで、あとは自分なりに考えるという方が知識として身につく気はするが、
リスク管理一般に関心があるわけではなく、食物の安全性についてのみ知りたいならこちらの方が纏まっている分理解しやすいかも知れない。
ともあれ、十分に読む価値のある著作だと思う。
図書館にて。
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本書は、タイトルを「リスク学」と銘打っておきながら、食に纏わる諸問題についての対談・インタビューやブログ記事をつなぎ合わせただけの体裁となっていて、食のリスクについての著者の見解が体系的にまとめられておらず、読みにくい。(食料自給率、バイオ燃料など、リスク学と関係あるの?と言いたくなるような記事も混じっている。)
食の安全について、客観的・科学的にリスクを算定し、削減・管理する視点で論じられており、また、「リスクトレードオフ」という考え方が興味深い。
しかしながら、数多くの具体的な事例を挙げ、企業や消費者それぞれの立場の意見、行政の対応を批判するのはいいが、では、そのリスクは定量的にどれぐらいあって、リスク管理はどうあるべきと著者は考えているのか、はっきりしない。現状を批判するばかりで、本書の後半はダラダラと愚痴を聞かされているようだった。
全体として、環境学の先生が専門外の食品分野に口出しし、的外れな事を言っているように見えてしまい、残念だ。
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非常にバランスの取れた一冊であり、「食のリスク」だけではなく、社会全体にかかわるリスクに対する視座を安定させてくれる良書。特に、かかるリスクに対する市民運動のもつ「党派性」により歪められていく「事実の認識」によってもたらされる「民主主義における意思決定の歪み(事実との整合性を欠いた論理による意思決定)」について、明快に述べられている。
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2015/10/01
RISK=重篤度×risk
リスクゼロはありえない
リスクトレードオフ
あるリスクを削減した時に、別のリスクが出てくる現象
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子供ができて「食の安全」に興味を持ち、
手に取ってみたもの。
別の方のレビューに、以下とあったがまさにそうだと思う。
「農薬,添加物,遺伝子組換食品など,感情に訴える一部のリスクを気に掛けるあまり,他のリスクを増やしてしまう。コストを考えずにゼロリスクを目指してしまう。社会にはびこるそういう現状を憂える本。」
本としては、対談の寄せ集めなので、ちょっと読みにくいが、TVや新聞の報道に踊らされず、しっかり議論を見極めないといけないなぁとことはわかった。
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原発問題での放射能リスクの評価の話からこの本にたどりついた。ここはひとつ、かかわりの深い食に絡めてこの手のリスク評価を知ろうとしてみた。
著者は日本のこの分野では草分け的な方のようだ。市民運動と連携して研究を始めつつも、イデオロギーによる運動とは一線を画し、ファクトに基づく科学的手法を研究してきた。
東大講演を収録した第1章
・科学物質と微生物のリスクトレードオフ
・リスクとお金のトレードオフ(西原理恵子を引用!)
・閾値とゼロリスク
などを論じている。ここは、まあ当たり前とも思える内容。
第2章は食糧化学者の高橋先生との対談。お互い、歯に衣着せぬ物言いで面白い。
・フード・ファディズム、健康食品批判は少し耳が痛い。
・理科の先生が新聞からトンデモ論を拾って授業に使ってしまう(論文くらい嫁、ということなのだが)
・安全と安心の混同など。
第3章は著者へのインタビュー。
・食糧危機やバイオ燃料や有機農業や遺伝子組み換えやと俗説を斬る。しかし、そうしてファクトに基づいたリスク評価をすると、運動家と企業の両方から石もて追われるのだ。
・安全と持続可能性は基本的にはトレードオフ。
・専門家は、みんな自分の分野が大事なので、その意見は偏っているものだ。そこにゼネラリストの環境リスク研究者の出番があるのだが、じゅんぶん活用されていないし評価も報われない。
第4章はブログからの抜粋。
全体とおして少し気になったこと。ファクトベースのリスク評価は基本だが、それを受け取る側の心理も考えた、リスクコミュニケーションなり制度設計が重要だ。特に不確定性が大きい状況ではどこにブラックスワンが潜んでいるか分からないから、一見過度と見えるリスク回避行動も一概にバカにはできない。また岩田健太郎の言っていた、受容可能なリスク、そうでないリスクもあるだろう。交通事故のリスクは受け入れられても、牛を食べて脳がスポンジになるリスクはなかなか受け入れられない。この心理もリスクの見通しと関係があると思うのだが。
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危険だ!と踊らされる愚かさを実感。リスク評価を行う重要性を認識。読んで良かった目から鱗な一冊でした。オススメしていただき、ありがとうございました。
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過去のいろんな食の安心、安全について議論した本
どれもこれもダメというわけではなく
それをやめると相反するリスクもありバランスを考えなければいけない
というようなことを書いていると思います。
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ちょっと昔の本ですが、十分読む価値があります。
リスクトレードオフ、リスクとコスト話などあまり語られないですが意思決定する際に大事なことが書かれています。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/499546214.html