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ちびフクロウのぼうけん みんなのレビュー
- ノーラ・スロイェギン (文), ピルッコ・リーサ・スロイェギン (絵), みむら みちこ (訳)
- 税込価格:1,430円(13pt)
- 出版社:福音館書店
- 発行年月:2009.11
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絵本
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紙の本
【枕元で読みきかせ・幼児~小低】毛の一本一本まで繊細に描かれた美しい画です。春を控えた森での静かな出来事が、結構長い文で書かれていくので、お家でじっくりと楽しむのが良さそうです。
2010/01/05 16:24
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ムーミンの国フィンランドから届いた絵本です。
テレビかネットの上のどこかで見たのだと思いますが、フィンランドの人びとは、森や湖という自然に恵まれていること、緯度が高く、夜なかなか暗くならないことなどから、夕食後に家族や友人で冬場はクロスカントリースキー、夏場はカントリーウォークをよく楽しむということです。いかにもそういう環境を背景に出てきた作品だという感じがしました。
表紙に登場しているフクロウとウサギでも分かりますが、動物たちの毛の一本一本までもが丁寧に、非常にリアルに描かれています。これはトウヒの木や松ぼっくりなど、本文に出てくる植物、雪などの表現も同じです。日ごろの観察と感動を元にして自然を表現しようということになると、やはり抽象化したり簡略化したりするよりも、あるがままに読者に提示したいというところに落ち着いたのではないかと思えます。
自然のままの冬の森を描けば当然のこと、色は少なくさびしいものになります。フクロウとウサギのほか、クマ、リスも登場しますが、本物と同じ色は実に地味なものです。
しかし、体の色は地味でも、登場する動物たちは、とても表情豊かに表されていて、「本物もこういう顔つきをするのだろうか」「本物もこういう仕草をするのだろうか」と思わされてしまいます。感情の種類が人間ほどないはずなので、表情もここまでいろいろではないはずですが、あるいはいつもいつも森を歩いていると、動物の表情について新しい発見があるのかもしれません。
お話は、小さな子どもが親が目を離したすきに冒険に出るという、オーソドックスなものです。森に朝の光がさしてきたので、フクロウたちはおやすみの時間です。母さんフクロウが子どもたちに寝るように声をかけますが、末っ子のちびフクロウは少しも眠くなく、雪の上でぴょんぴょんはねている動物に目を留めます。
遊ぶのは夜になってからと注意されるのに、母さんが目を離したすきに木を下ります。小さいから、まだ飛ぶのではないのですね。おそるおそるの表情で、そろそろと木の幹を伝っていくのです。
ウサギに遊ぼうと声をかけますが、ウサギは食べ物探しで忙しいと言い、はねて行ってしまいます。ぴょんぴょんはねることに憧れ、試そうとしていると、先ほどのウサギはやわらかい木の芽をくわえて戻ってきて、食べてみるように勧めます。猛禽のフクロウにとって、木の芽は残念ながらごちそうではありません。思わずはき出してしまい、ウサギに相手にしてもらえなくなります。
そのようにして、冬眠から目覚めたばかりで腹ぺこグマと出会ってひどい目にあわされ、枝から枝へ飛び回っているリスに出会って置いてけぼりをくらい、早くも夕暮れが訪れようという時間になってしまいます。
そこへ、いなくなった末っ子をさがしていた母さんがやって来ます。うれしくて安心したちびフクロウは、出会ったウサギやクマ、リスと自分との違いを母さんに訴えるのです。
広い世界に踏み出すことで自分というものについて考える、自分に何ができるのか、自分の特徴は何なのかを考えるきっかけになる、という流れです。テーマとしての目新しさはないかもしれませんが、そのような自分との出会いが小さな子どもでも何となく分かるよう、短めの童話のような分量の文章で書かれています。
おとなしい内容なので、大切なことを感じ取れる静かな時間の良さを求める際、そこに子どもたちと共にあってほしい絵本だと感じました。
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