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村上春樹ファンとしては、内容で五つ星なんだけど、ほとんどの作品が既に何処かで読んだ物ばかり...おかげで、なかなか気合入れて読もうとおもえない。
再読の契機になったのは、良いのですけどね...(^^)
2010/04/30: だいたい読んだかも...
2010/05/01: なんだかんだ読んでしまった。1Q84に戻ろう。
と言う事で、ショートショートを集めた、と言う点で全て初めて読む、と言う体験をしてみたかったなぁ、とただそれだけ。もし、そうなら、かなり印象の残る本になったかも...まぁ、あくまでも村上春樹を読んでるからこそ、思う印象かも知れないけど...(´。`)
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『分業というからには、僕らにも僕らなりの役割みたいなものがあります。ただ与えられるだけの一方的な関係ではない。何と言えばいいのかな、僕らは、何もしないことによって、彼らの過剰さを補完しています。バランスをとっているんです』-『ハンティング・ナイフ』
自分にとっての初めての村上春樹は「象の消滅」だった。出版されたばかりの黄色い本を書店で手に取ったと思う。その後「はじめての文学 村上春樹」「神の子どもたちはみな踊る」「東京奇譚集」と考えてみると短篇集ばかり読んでいるともいえる(1Q84、は特別かも)。過去の作品を読むことに抵抗はない筈だが、長篇には中々手が伸びないのはどうしてだろう。村上さん自身は自らをどちらかと言えば長篇の作家と認識しているようなので、申し訳ないのだけれど、自分にとって村上春樹はやはり短篇の作家という印象がある。そして自分は村上春樹の短篇が案外好きである。この「めくらやなぎと眠る女」も書店の棚にあるものを直ぐ手に取った。
しかし例えば柴崎友香の新作を手に入れて直ぐにわくわくしながら読んでしまうのとは異なり、積読の棚に収まった本書を読みだすには時間が掛かった。それは先入観かも知れないけれど、村上春樹の文章から立ち上がる作家の生まじめさのようなものに気圧されるだろう予感が先に立ってしまうからなのである。
内田樹の受け売りだけれど、村上春樹の書くという行為は、確かに、「雪かき」のようなものだと思う。誰かがやらなくちゃいけないけれど誰もやりたがらないこと、という意味において、それを「雪かき」に喩えるのは的を得ていると思う。そんな生まじめさが直ぐに感じられる。あるいは匂って来る、と言うべきか。例えば、村上春樹の小説に登場する人物はひどく説教臭いこと言う。そして額に汗しているような人間臭さが余りしない人物にそういうことを言われるものだから、カチンやシラーという気分が沸く人もいるだろうことは理解できるし、確かにそういう感想も多いように思う。でもそんなこと村上春樹だって当然解って書いているよね、と思う。こんな風に登場人物に何かを言わせたら反感を買うだろうなと。そこが雪かきの雪かきたる所以なのだと思う。
それでも登場人物にそういう事を言わせるのは何故なんだろう、どうしてこういう不思議な物語の中で急にそこばかり生まじめなんだろう、と、村上春樹はそういう風に思いながらでしか読み進められないところが、自分にとってはある。例えばこの短篇集では「七番目の男」なんて、最初から最後まで背筋に走る悪寒のようなものを止められなかったけれど、それは何処かで感じている後ろめたさに通じていることも解っている。自分もできる限り真っすぐに壁に向かっているつもりだけれども、いつもいつも自分の殻を壊してしまう位の勢いをつけているとは言い切れない。
そうしてどこにも存在しないような不思議な話でありながら、やっぱり全ての話が現実の何かを語っていて、しかもそれに対する村上春樹のスタンスは揺らいでいない、と確信できる。そのことがずしりと響いてくるのであれば、汗臭い人間は登場しなくてもいいんじゃないのかな、と思う。
『大義が��うあれ、戦争における死は、それぞれの側にある怒りや憎しみによってもたらされたものです。でも自然はそうではない。自然には側のようなものはありません。あなたにとっては本当につらい体験だと思いますが、できることならそう考えてみてください。息子さんは大義や怒りや憎しみなんかとは無縁に、自然の循環の中に戻っていったのだと』-『ハナレイ・ベイ』
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村上春樹は実に不思議な作家だ。短編などいちいち感動しながら読んでるくせにその内容は次々と記憶の器からこぼれていく。
これだけ厚い短編集だと、最後まで読み終えると最初の話は何ひとつ覚えていない。そしてまた読み返す。また新しい話を読んでるように新鮮だ。
内容を思い出すが、単なるリピートではなくてまたいくつもの新たな発見がある。
無人島に一冊だけ小説を持って行っていいといわれたらまよわず村上春樹の短編集だ。何度読んでも何度でもかみ締められる。
なんでそんなことができるかというと、たぶん彼の小説は完結しないからだ。終わってない。締めてない。結論が見えてこない。
本題とはかなりはずしたところでフッと力を抜いて話が切れている。
この本のタイトルとなっている「めくらやなぎと眠る女」は、いとこの耳の治療につきあって病院まで出かけ、かつてその病院へ行った日のことを思い出す。友達の彼女が入院していたのだ。その彼女が作っためくらやなぎについての詩をそこで思い出す。
丘の上に小さな家がある。その家には女がひとり眠っている。
家のまわりにはめくらやなぎが茂っている。
めくらやなぎが女を眠り込ませた。・・・・・というもの。
友達と彼女のエピソードを思い出しながら、いとこを待つ。
もどってきたいとこが映画「アパッチ砦」の話をする。インディアンを見かけた将軍にジョン・フォードが、「インディアンを見かけたというのは、つまりインディアンはそこにはいないということです。」と言ったというもの。
やがて帰りのバスが来て、いとこが僕に「大丈夫?」(たぶんこのバスで大丈夫かという意味)と聞き、僕はいとこの肩に手を置き「大丈夫だよ。」と言った。
・・・・・意味深いでしょ。余韻たっぷりでしょ。
現実離れしすぎてないけど現実ではない。どこか遠い世界の話みたいだ。
2023年再読
「バースデー・ガール」
二十歳の誕生日にアルバイト。オーナーの老人から、プレゼントとしてひとつだけ願い事をかなえてあげよう。と言われる。結局彼女が何をお願いしたのかはわからないが、願い事がかなえられたかどうかはまだ結論が出てないらしい。
「私が言いたいのは」と彼女は静かに言う。「人間というのは、何を望んだところで、どこまでいったところで、自分以外にはなれないものなのねっていうこと。ただそれだけ」
二十歳の私は誕生日に何をしていたでしょう。願い事をひとつと言われたら何をお願いしたでしょう。願い事がかなえられていたとしても、今の人生とあまり変わりはなかったと思う。
「人喰い猫」
1986年ごろ、専業作家になりたての春樹先生はギリシャ、イタリアで過ごしながら「ノルウェーの森」と「ダンス・ダンス・ダンス」を書き上げた(遠い太鼓より) 。季節外れのリゾート地の裏寂しさを思い返しながらこの短編を書いたのかしら。英語で書かれた新聞記事を訳しながら奥様に読んであげていた(とあったような‥)。いいなぁ。春樹先生の翻訳を独り占めできるなんて贅沢!短編のなかでは、新聞記事の内容が死んだ飼い主をむさぼり食う猫たちの話なんだけど��。しかも登場する男女の設定は、ダブル不倫の果てになけなしの金でギリシャにやってきて、つましく生活するうちに女の方が蒸発してしまうという救いようのないもの。
死んだ飼い主を食っちゃう猫って、本当にいるらしいですよ。
「蟹」
「野球場(回転木馬のデッドヒート収録)」という短編の中に、自分が書いた小説を読んでくれと原稿を送ってきた青年が出てくる。その内容は、シンガポールで蟹をたらふく食べ、夜中に吐いて便器をのぞいてみると、嘔吐物に白い虫が混入しておりうごめいていたというグロテスクなものだが、その話をひとつの小説として立ち上げている。自分は苦しんでいるのに、同じものを食べた彼女は平気な顔して寝ている。もうこの女とはうまくやっていくことはできないだろう。というもの。
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「人喰い猫」のはなしをすすめられて読んだ。
「僕」と「イズミ」の関係は、単なる不倫のような関係だと言い切ることができるのだろうか・・・。
「愛」ではなく「感応」という関係。
かくいう私の今の状況は、この「感応」的な出会いから「愛」という関係に導かれているような気がしている、と思っている。
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NYC発24の短編コレクション。
逆輸入バージョンの第2弾!
懐かしい話あり、忘れてた話あり・・
24作品たっぷり楽しめました♬
不思議ワールド全開です。
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ブログにレビューを書きました。
http://yo-shi.cocolog-nifty.com/honyomi/2010/02/post-2c8a.html
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短編集。
長編から入ったが、短編も好きだ。
ぱっと読んだときに「ふーむ、こんなものか」と
終わって、かなり時間がたったあとはっとさせられる
ことがあった。
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2010.06.27. 数年前に比べると、村上春樹の小説をぐんぐん読めるようになっている。「品川猿」と「偶然の旅人」が、なんとはなしに好き。いろんなエッセンスやエピソードがあるのに、どれもこれもまさしく村上春樹の小説だと、しみじみする。すごいことだなあ。
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短編を初めて読んでいる。 一応舞台は日本なのだが、翻訳物の雰囲気がムンムン。 海外で発表された作品を集めているのだから当然か。
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泣く子も黙る村上春樹の短編集。ノルウェイの森やスプートニクの恋人の元となった原作もあり、短編毎にいろんな感情をもてるので、非常に楽しめますね。この中でも「貧乏な叔母さんの話」は秀逸な作品。現実と非現実との境目がなく、いつの間にか不思議な世界に連れっていってくれます。よかよ
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ちょこちょこ読んでる。
だいたい地下鉄で読んでる。
短編だから
終わるページが透けて見えてきた時に
ため息ついて
顔を近づけて読んでは
本を持ってる手を下ろして
もう一回ため息ついて
時々泣いてる。
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バンパーはへこむためにある
飛行機
飛行機が飛んで
僕は、飛行機に
飛行機は
飛んで
だけど、飛んだとしても
飛行機が
空が
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スキのない選択。
素晴らしい。
東京奇譚集の作品は全収録!なんと!
***
めくらやなぎと、眠る女
バースデイ・ガール
ニューヨーク炭鉱の悲劇
飛行機-あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか
鏡
我らの時代のフォークロア-高度資本主義前史
ハンティング・ナイフ
カンガルー日和
かいつぶり
人喰い猫
貧乏な叔母さんの話
嘔吐1979
七番目の男
スパゲティーの年に
トニー滝谷
とんがり焼の盛衰
氷男
蟹
螢
偶然の旅人
ハナレイ・ベイ
どこであれそれが見つかりそうな場所で
日々移動する腎臓のかたちをした石
品川猿
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「象の消滅」と同じく、アメリカの出版社が出した短編集の日本語版。
雑誌に書き下ろした短編など、手持ちの短編集には入っていないものもあり、選ばれている短編のラインナップの面白さもあって購入しました。
初期のものから割と最近の短編小説まで。「東京奇譚集」はすべてカバー。どれもこれも、「ああ、いいなあ」と思いながらじっくり読んで味わって。
中でもやはり心打たれるのは「蛍」。
後に「ノルウェイの森」の一部となったストーリーなのですが、こう、読み終わった後、次の話に行けないんですね。余韻が強すぎて。
目を閉じて、余韻が消えるのを静かに待ってから、やっとページがめくれる。
そんな短編、なかなかありません。
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村上春樹さんの小説は、短編があって、長編があるのだなぁと思った1冊。短編を読みながら、過去の長編を感じることができた不思議短編シリーズでした。