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父が子に語る近現代史 みんなのレビュー

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紙の本

『僕の身にいつ何があってもいいように、君に伝えておきたいこと』

2010/02/12 18:00

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:田川ミメイ - この投稿者のレビュー一覧を見る

歴史が苦手だ。が、この本の帯文の「わたしたちが、良く生きるために、必ず知っておかなけえばならないこと。」という言葉はもっともだと思う。苦手ではあるけれど、知りたい、知っておかなくては、という思いはいつも胸のどこかにある。で、この本を手にとってみたのだった。

正直、はじめは読みにくかった。話題があちらこちらに飛ぶので、歴史の全体像を把握していない者にとっては、それが流れの中のどの部分にあってどこに繋がっているのかがよく分からない。それでも平易な言葉で書かれているので、なんとか読み進むうちに、なるほど、と思った。

自分はなぜ歴史に苦手意識を持ってしまったのか。ひとつ言い訳させてもらうと、我が母校はちょっと変わっていて、中学の「社会」で日本の歴史をさらっと習ったのち、高校では「社会科」の中からひとつ選択すれば良しということで、あたしは「地理」を選んだのだった(と言って地理も全然身につかなかったけれど)。なので「世界史」をきちんと習った覚えがない(今の時代では考えられないカリキュラムだ)。そのまま受験勉強もなく大学へ持ち上がったので、年号を必至に暗記したこともない。となると、どうなるか。日本と世界のつながりが分からない。日本の歴史は世界の歴史の一部であるのに、そのふたつがうまく溶けあわない。

この本を読んで感じたのは、まずその事だった。中国や韓国、アメリカやヨーロッパ、それぞれの国との関係やつながりに応じて歴史は動いていく。「日本史」「世界史」などと分けられるものではないし、ひとつの国の中だけで歴史が作られているわけではない。歴史とは地球規模の大きなひとつの物語なのだ。自分にはそういう意識が希薄だったのだな、と、改めて認識した。すると著者が拾いあげる項目のひとつひとつが、物語の中の興味深いエピソードのように思えてきて、頁をめくる手が少しずつ早くなっていったのだった。

ただ本書は歴史的事実だけを学ぶ本ではないだけに、著者独自の視点で語られている部分がたくさんある(歴史に疎い者でもそれは感じる)。なので基本的知識が乏しい(あたしのような)者が読む時には、少し注意が必要かもしれない。歴史というのは過去のものだから、大抵は文献や資料から判断するしかない。何年に何が起きたかという事実は確かなことだとしても、それが何故起きたのか、どういう思惑があったのか、という事についての考察が皆同じとは限らない。こういう本を読むときは、その事を頭の片隅に置いておくべきだろう。

が、そんなふうに思いめぐらすことができたのも、ひとつの収穫に違いない。なるほど歴史というのは「何が起きたのか」という事だけでなく、なぜ起きたのか、という事を自分なりに考えるものでもあるのだな、と気づいたのは、著者独自の視点があってこそ。「子に語る」というくらいだから決して難解な本ではない。去年から始まったNHKドラマ「坂の上の雲」などにも触れているし、本好きとしては「夏目漱石」の「高等遊民」の話などにも心惹かれるものがあった。文学もまた歴史と切っても切れない関係にあるのだ。

『歴史とは、世代を超えて受け継がれていく物語です。そこで活躍するのは政治家や芸術家であることが多いですけれど、僕たちひとりひとりが歴史の担い手です。』と子(読者)に向かって語りかける著者は、更にこう続ける。『いつのまにか、夏目漱石が亡くなった年齢に近づいています。僕の身にいつ何があってもいいように、君に伝えておきたいことは、だいたいもうお話ししました』

この一文を読んだとき、あたしの中にある苦手意識が少し薄くなったような気がした。少しだけ歴史が親しいものに思えた。確かに歴史というものは祖父母や親、身近な年配者から教えてもらうのが一番いいのかもしれない。そうすればもっと歴史は身近になる。ということは、あたし達が次の世代に伝えていかなくてはならないということでもある。やっぱりもう一度、歴史を勉強しなおそうかな。
 
 

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紙の本

しなやかな歴史入門

2010/01/15 17:17

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:狸パンチ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 父親が自分の高校生の娘に語るというスタイルで好評を博した『父が子に語る日本史』の続編です。前作が近世まででしたが、本書は明治維新前後から第二次大戦までを範囲にしています。高校生へのレクチャーですから、分かりやすいことはもちろんですが、日本史研究者ではなく中国思想史を研究する著者ならではの、ひろく東アジアを見渡す視線があり、入門にとどまらない意欲的な著書になっていると思います。

 まず興味ふかかったのは、近代のはじまりをどの時点と考えるかについての論考です。通常であればペリー来航による開国をもって日本の近代は始まったとされますが、著者は思想史家だけあって、幕府や知識人が国際社会を意識し、日本がすこしずつ国際関係に巻き込まれていく18世紀末から近代が徐々に広がっていくと考えます。

 近代を準備したものとして、松平定信の教育改革に注目します。文武両道だと、武士に学問を奨励することが行われましたが、そこで培われた人材が、明治維新を成し遂げ、日本の近代化に貢献していくということです。説得力のある思想史的な時代区分だと思います。

 著者はこう書いています。「明治維新が成就したのは、それに先立つ人文学的な教育普及があったからです。明治の近代化がすみやかに功をあげたのも、実用技術を身につける学生たちが、中学校や高等学校で人文学の素養を徹底的に仕込まれていたからでした」

 歴史を書くということは、つねに今を考えることとセットになっていますから、明治の総合的な見識をもった人材と現在の専門重視の人材とはまったく違うということが分かります。近代以前は教育とは主に儒学ですが、それは人間形成を主眼とする学問です。漱石は漢詩をよくしましたが、著者は漱石は西洋的近代人というより、近代初期に現れた伝統的文化人だという位置づけもします。

 また、著者は司馬遼太郎さんの歴史観に批判的な立場をとります。司馬史観とは簡単に言ってしまえば、日本は日露戦争まではよい国だったがその後は軍部が台頭してだめになった、それまでの明治はすばらしかった、というものです。「坂の上の雲」がそれを最もよく描いた作品です。

 著者は司馬さんが日露戦争の戦況をくわしく書きながらも、きちんと歴史的な位置づけをしていないと言います。著者によれば、日露戦争もまた日本のアジア侵略への意思の表れであって、戦争の動機を美化できないとします。

 軍部への見方もおもしろいです。軍人たちが能力がなくて中国の戦争へとなだれ込んでいったというより、秀才すぎたため戦争を止めることができなかったと見ています。「一を聞いて十を知る」ということわざがありますが、将校たちは優等生すぎたがゆえに「一を聞いて十を知り、百を忘れる」という集団だったと指摘します。

 戦争責任については、軍部や政府、天皇だけに責任があるのかと問いかけます。「常民」、つまり普通の人びとが支持をしたから戦争が泥沼化したと著者は主張します。ここらへんは、大衆の熱狂が戦争をひきおこしたとみる歴史家の半藤一利と見方を共有しています。ただ司馬史観の後継者たる半藤さんよりも著者はやや左寄りというところでしょうか。

 「つくる会」系の自虐史観批判グループには批判は手厳しいです。ちょっと品がないですが「自慰史観」とけなします。つまり、「歴史は一つではない」ということ。右でも左でも一つの歴史観でとらえてはいけないと戒めます。「常民」はいつも「分かりやすい図式」に踊らされます。だから、複眼的に歴史をみようというのが、著者の問いかけです。

 文章がとてもうまく、しなやかな本です。若い人が読むのもいいですが、私たち大人が自分の歴史理解をチェックしてみるためにも役に立つ一冊だと思います。

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紙の本

近代と現代の類似点を感じる

2010/07/11 12:50

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本の近代はいつから始まったのか?東アジアへの侵略を行った責任は誰にあるのか?という問いに基づき、父が娘に語るという体裁で、1トピックにつき5~6ページで書かれている。この分量から分かるように、それぞれに詳細が語られるわけではない。だから、日本の近代史を詳しく知る役には立たないかもしれないが、大まかな流れは知ることができる。

 1つめの問いに対し、著者は寛政の改革からと答える。一般的にはペリー来航からという解釈がなされると思うのだが、明治維新が比較的すんなりと進んだ背景には、寛政の改革で実施された教育政策があると説くのだ。
 忠義という概念を定着させることにより、表面的には諸侯や直参が将軍に対して仕える構造を強固にした一方で、将軍ですら天皇に仕える構造を持っているのだということを衆目に明らかにしたという。それにより、大政奉還という制度の素地を意識にしみこませていったらしい。

 2つ目の問いに対しては、途中まで著者の意図を誤解していた。明治維新の元勲たちや高等遊民のような知的エリートたちが主導する歴史という視点で語ろうとしているかのように感じ、違和感を覚えていたのだが、結論はその逆だった。
 柳田國男の"常民"という概念を利用し、普通に生きる人々が作り出す流れを読み取って、彼らの民意を反映してエリートたちが政権運営をしていったことを、吉野朝を正統とする政府見解などが決定されていく様を事例に挙げながら説いていく。

 歴史というものは自分たちだけで紡ぐものではなく、自分たち以外の国との関係を考慮する上で初めて意味があるものになる。その際には、見たくない事実でも直視しなければならない。そして、歴史は普通の人々が積み上げていくものなので、誰かに責任を押し付けることはできない。
 まさにこれは、著者が娘に伝えたいことなのだろう。そして、いまの国会運営や国民へのアピールの仕方を見るにつけ、類似点を感じずにはいられないことでもある。

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2010/07/26 22:34

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2020/12/07 13:35

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