紙の本
SF読み切り傑作が11篇も詰まった読み応えのある一冊です!
2020/06/29 10:31
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、河出書房新社から刊行されてきた書き下ろしSF短編のアンソロジーの一冊で、編者は大森望氏です。同書は、2009年12月に刊行が開始され、年2冊程度刊行され続けたNOVAシリーズの第1巻です。同書には、SFの読み切り傑作が11篇収録されています。収録作品は、北野勇作氏の「社員たち」、小林泰三氏の「忘却の侵略」、藤田雅矢氏の「エンゼルフレンチ」、山本弘氏の「七歩跳んだ男」、田中啓文氏の「ガラスの地球を救え!」、田中哲弥氏の「隣人」、斉藤直子氏の「ゴルコンダ」、牧野修氏の「黎明コンビニ血祭り実話SP」、円城塔氏の「Beaver Weaver」、飛浩隆氏の「自生の夢」、伊藤計劃氏の「屍者の帝国」となっています。
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半年に一巻のペースで刊行されるということで、非常に楽しみ。
ラストに数ページほどですが、故伊藤計劃氏の作品も載っていてそこだけ何度も読み返してしまった。次巻からは「Project ito」として何かが始まるかもしれない、とのことで。とても素晴らしい企画だと思う。
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ハードなSF集。久しぶりにこういうのを読んだ気がする。(軽いのを読み過ぎだったんだな)
「言葉」に関する物が多くて驚いた。言葉の「力」を信じている作家はSF作家が多いのかもしれない。「文」を書く人は信じて欲しいと思うのだが。
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一度にいろいろ楽しめるレディースランチみたい。お得感。しかし好きなおかず、苦手なおかず混在。伊藤計劃さんの、続き読みたかった。
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本格、奇想、幻想、純文学、ミステリ、恋愛……SFというジャンルが持つ幅の広さと可能性を詰め込んだ、オリジナル日本SFアンソロジー・シリーズ刊行開始。第1弾は10人の完全新作+故伊藤計劃の絶筆を特別収録。
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SFアンソロジー
伊藤 計劃の絶筆「屍者の帝国」(未完)収録。
面白いか?と問われるとウーン???となります。言葉遊び、が過ぎるかな。ある意味トンガッてる作品が多いです。
シリーズものなのですが今後の傾向が気になります。同じ雰囲気が続くようなら、きっと読まないでしょうね。
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オリジナル日本SFアンソロジーの第1弾。「ガラスの地球を救え!」に大爆笑し、言語SF三連発にクラクラし、「屍者の帝国」でトドメを刺されましたw。『NOVA3』も楽しみ ♪。
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牧野、円城、飛が図らずも似たようなテーマで書いている。
小林のとんでもない論理も大好き。
で、田中啓文……読みながら「バカ」「やっぱりバカ」「ものすごくバカ」と呟きました。
伊藤計劃……滂沱。
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大森望氏による新世代のSFアンソロジーの第1弾。変化球がやけに目立つ…というのが第一印象。大森氏の前説によると、SFが広義なものになりつつある現在だからこそ、もっとジャンルとしてのSFを意識したアンソロジーを…みたいなコンセプトらしい。なので、SF初心者には結構なハードルの高さを感じるかも。目録じみたカタログめいたカジュアルな装丁につられて、ナニも考えずに手を出すと大変なことになるかも。
前半では、山本弘氏「七回跳んだ男」が面白い。月面殺人事件という、滅法読書欲をそそられる題材で、SFというより現在の科学理論に加え、十八番のトンデモ科学批判を織り交ぜたミステリに仕上がっている。同じく前半では、田中哲弥氏の不条理ストーリー「隣人」も良かった。田中氏は初体験なのだが、出だしからしてかなり肌に合う感じ。最近のSF作家は文章に魅力がある…と常々思っていたので、その考えをさらに補強してくれたような印象。ただし汚物表現はなんというか、ビジュアルがビシバシを脳裏に浮かんで結構キツかった。汚物描写で云うと、平山夢明、小林泰三といった作家を思い浮かべてしまうが、氏らの汚物表現がグラデーションとするならば、田中氏には明瞭なコントラストを感じる。ジワーじゃなくてバン!どうやら自分はバン!への耐性が低いようだ。修行しなくては。
オードブルな前半に対し、後半はメインディッシュが勢揃い。先ずは魚料理…とばかりの斉藤直子氏「ゴルコンダ」がいい。これも一種の不条理ものだが、実にいい。兎に角いい。何というか、文体含めてユルっとフワっとした世界観が心地好い。梓さんの妖精の粉を被ってみたい。
続く肉料理、牧野修氏の戦隊もの「黎明コンビニ血祭り実話SP」もいい。どうしようもない題名だが、事象をテキストに解体、再構成して戦うジューシーフルーツ戦隊のスプラッターな活躍が楽しい。
飛浩隆氏「自生の夢」は兎に角もう圧倒的。他作品におふざけ系ユーモア系が多いためか、余計にその真摯な鮮鋭さが目立った。これもまた牧野氏と申し合わせたような「言葉=テキスト」にまつわる話で、位相と位相がせめぎ合う世界観がたまらない。
そして最後に編まれた伊藤計劃氏の絶筆「屍者の帝国」。冒頭の二行からして力強いなあ!ホンっと惜しいなあ!
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SFで短編集というのはありそうで無い。個人の短編集で一編か二編あることはままあるが、しかしSFオンリーは無いのだ。昔に遡って言えば星新一がそうだが新作という意味では違うだろう。
奇しくも同時期に早川から『ゼロ年代SF傑作選』刊行されたが、それも既出の作品を集めたものである。
日本でSF雑誌は早川の「SFマガジン」のみだ。新たな芽が生える土壌を作らなければ、日本SFは盛り上がらない。
それを危惧した大森望氏が新たな表現の場を提供するために刊行まで奔走したのが、本作、『NOVA』である。
新星、の名に相応しい珠玉の作品群に酔いしれること間違いない。
一つひとつ感想を述べたいところだが、読む方もいると思うのでやめておく。
短編はなんといっても瞬発力。一文から引き込み、最後まで引き抜いて余韻に浸らせる。時に荒々しく、時にゆったりと。
本作の短編はどれも唸らせるこれぞSFという掌編ばかり。
敢えて言うなら、惜しまれつつ急逝された伊藤計劃氏の絶筆「屍者の帝国」の続きをもっと読みたかった。
遺稿から完全な作品が生み出されることを願う。
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読みやすいモノと読みにくいモノの差が激しすぎる。ここらへんがSFが人気が出ない原因かもなぁ。ちなみに私のお気に入りは「忘却の侵略」と「エンゼルフレンチ」。それにしても絶筆の「屍者の帝国」は大傑作になりそうな気配がするだけに、惜しすぎる。
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一切のハズレなし。
田中哲弥から飛浩隆までの、特に牧野修から飛浩隆までのニューウェーブSFの並びは単なるアンソロジーとも言い難い、奇妙な連帯感があって面白い。購入目的だった円城塔も、独立した本であれば「外道的ジャンル」として楽しめてしまう彼独特のエンタメ性が仇となった感が強く、霞んでいたが、一連のまとまりの中に放ると一気に底上げされて見える。言い換えれば単体だけだとつまらないってことですけど…はりきり過ぎてすっ転んだ後ろ姿を見ているような、ファンとしては悲しい気持ち。
短いながらも微妙な後味が尾を引く北野勇作「社員たち」、キッチュな雰囲気むんむんのタイトルに反して密なグロ描写がこれでもかと続く牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」、読みにくい作りながらも目の離せない、静かな昂揚感が何時の間にか確かな昂奮に変わっている飛浩隆「自生の夢」が個人的にはツボだった。
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川出書房新社ホームページ紹介文より。
オリジナル日本SFアンソロジー・シリーズ開幕。完全新作10編(円城塔、北野勇作、小林泰三、斉藤直子、田中哲弥、田中啓文、飛浩隆、藤田雅矢、牧野修、山本弘)+伊藤計劃の絶筆を特別収録。
●北野勇作「社員たち」
得意先から帰ってきたら、会社が地中深くに沈んでいた
●小林泰三「忘却の侵略」
「冷静に観察すればわかることだ。姿なき侵略者の攻撃は始まっている」
●藤田雅矢「エンゼルフレンチ」
ひとり深宇宙に旅立ったあなたと、もっとミスドでおしゃべりしてたくて
●山本弘「七歩跳んだ男」
その男は死んでいた。初の月面殺人事件か? 本格SF的と学会的本格ミステリ開幕
●田中啓文「ガラスの地球を救え!」
……なにもかも、みな懐かしい……SFを愛する者たちすべての魂に捧ぐ
●田中哲弥「隣人」
家庭を襲い胃を満たし脳に染み入るこの臭い……恐ろしい非常識が越してきた
●斉藤直子「ゴルコンダ」
先輩の奥さん、めちゃめちゃ美人さんだし、こんな状況なら憧れの花びら大回転ですよ
●牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」
戦え! 対既知外生命体殲滅部隊ジューシーフルーツ!!
●円城塔「Beaver Weaver」
海狸(ビーバー)の紡ぎ出す無限の宇宙のあの過去と、いつかまた必ず出会う
●飛浩隆「自生の夢」
七十三人を死に追いやった稀代の殺人者が、かの怪物を滅ぼすために、いま、召還される。
●伊藤計劃「屍者の帝国」
わたしの名はジョン・H・ワトソン。軍医兼フランケンシュタイン技術者の卵だ。――圧巻の絶筆、特別収録
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309409948
購入済・未読
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ほとんど面白い。
特に牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」~円城塔「Beaver Weaver」~飛浩隆「自生の夢」と続く編集者いわく「微妙にシンクロしている」かのような文学でしか表現できないタイプの作品がすごかった。
田中哲弥「隣人」は幻想的な描写になっていくSFというよりもマジックリアリズムのような作品で、この人を知れたのは収穫。
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難解な作品がいくつかありましたが、総じて面白かった。
読んだことのない作家さんの文章にも触れられてよかったです。次に誰の本を読むかの指針にもなりました。
しかし、屍者の帝国面白かったなー……