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天上の虹 21 持統天皇物語 (講談社コミックスKiss) みんなのレビュー
- 里中 満智子 (著)
- 税込価格:503円(4pt)
- 出版社:講談社
- 発売日:2009/12/11
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コミック
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紙の本
「愛する人よ」と呼びかけていることが大切なんだということが、今、この書評を書いていて本当によくわかりました。
2010/02/17 01:48
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みどりのひかり - この投稿者のレビュー一覧を見る
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前巻は2007年2月発行でしたから、2年7ヶ月ぶりに新巻が出たということになります。
この21巻では
珂瑠皇子(かるのみこ、後の文武天皇)と宮子(みやこ)の物語
多安麻呂(おおのやすまろ)の物語
吉備皇女(きびのひめみこ)と長屋王(ながやおう)の物語
藤原史(ふじわらのふひと)と五百重娘(いおえのおとめ)と犬養三千代(いぬかいみちよ)の物語
が主となっているでしょうか。
それぞれの物語に、それぞれの人の愛や苦しみがあり、そのひとつひとつの人生が深く語られていて、里中満智子先生のふところの深さに頭がさがります。
珂瑠皇子は天武天皇と讃良皇女(さららのひめみこ、後の持統天皇)の孫。
宮子は藤原史(ふじわらのふひと)の娘。
宮子は珂瑠皇子(文武天皇)の子を産むが、珂瑠皇子の心は亡くなった紀皇女(きのひめみこ)にあり、宮子は苦しむことになる。子供は生んだが一度も会わず、一切人とも会おうとせず、36年間も閉じこもりきりとなる。
一連の物語の途中に、古事記のイサナキ、イサナミの物語が入ってくる。
イサナキは、死んだ妻のイサナミを追いかけて死の国と行き、この世での国づくりは完成してないので生き返ってくれと頼む。イサナミは、ではちょっと待っていて下さい、こちらの神と交渉してみるから、その間こちらを覗かないでねという。だがイサナキは待ちきれず覗いてしまう。そこにはウジのわいたイサナミの姿があった。見られたくない姿を見られたイサナミは怒ってイサナキを死の国へ引き込もうとする。逃げるイサナキ。追うイサナミ。イサナキは大きな石をもって死の国とこの世との境に結界をはり、そこでイサナミをくい止める。そのときイサナミは言う。「愛する人よ・・・・・ よく聞くがいい わたしは今後そちらの世界の生命を 毎日1000人こちらへ連れてくる」
「愛する妻よ それならば わたしは今後毎日1500人 新しい生命をこの世に産みだそう」
里中満智子先生は、多安麻呂(おおのやすまろ)のおば、大伯皇女(おおくのひめみこ)に、こう語らせる。
「わたしはこの場面が大好き こんな状況になっても お互いに「愛する人よ」と呼びかけあう すてきなことよね それに 一日1000人亡くなっても一日1500人産まれる これは希望と生命の物語だわ 安麻呂 いい仕事にかかわれてよかったわね」
こういうことに気がつくというか、このように考える里中先生は本当にすごいと思う。私なんか初めて古事記を読んだときは、この場面は気持ち悪くて、どうして、国生みの神々の話にこんなのを持って来るんだと思ったものでした。また、読んだ本は角川文庫のものでしたが、翻訳者は「愛する人よ」の呼びかけの部分を省略しております。古事記の原文にはもちろん愛の文字は入っております。
「愛する人よ」と呼びかけていることが大切なんだということが、今、この書評を書いていて本当によくわかりました。
里中先生、ありがとうございます。
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