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消えた警官 ドキュメント菅生事件 みんなのレビュー

  • 坂上 遼 (著)
  • 税込価格:1,87017pt
  • 出版社:講談社
  • 発行年月:2009.12
  • 発送可能日:購入できません

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みんなのレビュー4件

みんなの評価3.7

評価内訳

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

権力の恐ろしさ

2010/09/21 05:05

11人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

郵便割引制度の悪用に加担し、偽の証明書発行を部下に指示したとして、昨年7月、厚生労働省現職局長が起訴された。
9月10日、その第一審判決公判があり、被告の村木厚子元局長に無罪が言い渡された。
現時点では、検察側は控訴を断念する模様であり、このまま被告の無罪が確定する可能性が高い。大阪地検特捜部の完敗、冤罪事件であったことになる。
ある日、何も身に覚えのないことで警察に捕まり、あれよあれよという間に逮捕・起訴される。最初は、すぐに誤解が解けると簡単に考えていたところ、話しても話しても自分の言うことが理解してもらえない。あせる気持ちはあれど、拘束されている身では、外部に満足に意志を伝えることもかなわない。
味わった者にしかわからない恐怖感情であろう。
しかも、それが最初から国家権力によって仕組まれたものであったらどうだろう。すでに警察権力によってつくられたストーリーに載せられるままの自分。抗うことができない自身に気付いた時の恐怖は想像を絶するものとなるであろう。
そんなあってはならないことが実際に起こされたのが菅生事件である。
冤罪、フレームアップとされる事件は数々あるが、菅生事件ほど警察権力が徹底的に関与し、でっちあげに加担した事件もめずらしい。
権力の恐ろしさをあらためて思い知らされる。権力の前では、敵対する勢力は激しく痛めつけられる。権力を持つものにとっては朝飯前の自作劇。
まともな社会であれば、このようなことは、どこかでストップがかけられねばならない。公平な監視者が異議を唱えなければならない。 その一人として、ジャーナリズムの役割がある。権力を監視するジャーナリズムの職責は大きい。
冒頭に記した村木元被告は言う。
「魔術にかけられそうな怖さがあった。」
あらためて検証する必要がある。この事件開始から現在まで、国民そしてジャーナリズムはどこまで彼女の人権を尊重することができたか。
朝日新聞は9月11日付け天声人語で“今になって”言う。
「自作の筋書きに都合よく添い寝させる。あきれたプロの技である。」「鏡の中の曲がったつらを深く恥じて、検察はもう手を引くべきだ。」
朝日新聞はじめジャーナリズムは、ここまで高飛車に検察を愚弄するだけの報道を本当にしてきたのか。そして読者たる国民も正確な報道を追及してきたのか。
もともと事件には、ある種“きな臭さ”があった。「制度を悪用して不当な利益を得ようとした者が、国会議員の口利きを得てエリート官僚に働きかけを行った。」
先入観を持って事件を見たのは、決して少数ではなかったはず。大いに反省すべき点は、多くの者に多々ある。

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紙の本

本格ミステリーのようなスリルを味わいながら、最後は冤罪の可能性に包まれたこの社会に生きる怖さに震撼させられる。

2010/10/09 22:05

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1952年6月2日、大分県菅生(すごう)村の駐在所で爆破事件が発生。共産党員二人が現行犯逮捕される。逮捕された二人はこの時間、村の実力者が営む製材所に勤めていたある男に呼び出されて現場近くにいたと証言。しかしその男・市木春秋は事件直後に姿をくらます。そしてやがてこの男が警察官であった可能性が浮上してくる…。

 本格ミステリー小説ばりの筋書きで進行する菅生事件はれっきとした実在の事件です。
 冷戦という時代背景で共産党に対する国家の厳しい目が向けられていた時期に起きた事件ですが、冤罪の様相を色濃く見せ始めると、弁護団やジャーナリストたちが事件の背後にある漆黒の闇をなんとか暴こうと奔走するのです。

 様々な新聞社・ラジオ局・通信社の記者たちが地道に足で稼いで調査報道に取り組む姿は大変ドラマチックです。市木という謎の男の素性を突き止め、やがてその潜伏先に突撃取材を敢行する記者たち。なんとか逃げられないようにとする記者たちと危機をすりぬけようとする市木の駆け引きもまるで映画のようです。

 そして弁護側が事件を冤罪であるとみなしていく推理過程とそれを裏付けるための科学実験の様子も非常にスリリング。失礼ながら戦後十年余の時代に、こうした科学捜査が存在していたことに新鮮な驚きを感じます。

 それにしても裁判の途上、警察当局・検察官そして判事までもがあたかもグルになって弁護側の主張を認めようとしない姿に、うすら寒いものを感じます。偏向ととられても仕方ないほどの裁く側の姿勢が、1950年代という特殊な時代の生んだやむをえないものであったのか。
 いえ、そうとはいえないでしょう。21世紀の現在でさえ、ここ数年大きな冤罪事件が明るみになっているほど。著者自身、半世紀以上も前に発生した歴史的な事件を今掘り起こそうと考えたのも、小泉政権が固執した「組織犯罪処罰法」の「共謀罪」新設に対する大きな危機感を抱いたから。冤罪の可能性をはらんだ社会に生きることの怖さに震撼させられます。

 手に汗握りながら事件の行方を追いかけ、一気に読み終えた一冊です。

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2010/03/28 23:39

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2018/11/27 15:03

投稿元:ブクログ

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