やさしい光の照らす場所
2010/01/24 13:02
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
真っ暗な細い路地を入った先にある建物の地下にある防具屋シャイニーテラスの客になるには、3つの約束を守る必要がある。シャイニーテラスのある街レーギスに住んでいること、レーギスに帰るために最大限の努力をすること、帰ったら店に顔を出し旅の出来事を語ること、の3つだ。そして店の壁には、未だ帰らざる客たちの名前を書いたメモが張られ、店主であるソラは彼らの帰りをじっと待っている。
こんな防具屋のカウンターで語られる、世界の出来事と帰る場所を持つ人々の物語。
籠の鳥という言葉は不自由の象徴ではあるけれど、籠が外敵から中のものを護ってくれているという事実も見逃してはならない。そこには、一方的ではあるけれど愛情があり、それを受け入れるのであれば、籠の中にいることは不自由という訳ではない。なぜなら、それを自分の意思で選択したのであるから。
ある意味、このお店で売られる防具は、世界で自由に羽ばたくための大きな籠の様なものかもしれない。飛び立った先でも自分を護ってくれ、帰る先の止まり木の存在を約束してくれる。このとき生じる帰ろうという想いが、最も強く自分を護ってくれるのかもしれないけれど。
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この本は、とても私好みな作品でした。
防具屋の女店主ソラが共通して話に出てくるのですけど
終始この子に感情輸入しっぱなしでした。笑
待つ者にはその人が帰ってこないと知ったときの
辛さや哀しさが付きまといます。
けれど、その人が帰ってきた時にはこれ以上ない喜びと安心感がありますね。
待っていてくれる者がいるひとは、仮令、今一人だとしても
大きな困難が目の前に立ちはだかっていても、自分が帰る場所、
帰りたい場所を思えば、とても心強いものです。
その場所に、待っていてくれるひとに助けられるものですね。
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物語の舞台設定がしっかりしていて、登場人物ひとりひとりの気持ちの表現や
状況の描写がとても上手だと思いました。
これ、ホントに新人作家さんの作品ですか?と思いたくなるくらい、
文や話のまとめ方も違和感なく読み終えました。
誤字が数箇所。しかも割といいシーンでの誤字はちょっと残念でした。
1章ごとに違う人の視点で物語は進んでいくのに、全て繋がった物語として完成しているので
防具屋さんを中心にいろんな角度からその世界を覗いている気持ちになりました。
「最近、私の周りでは自由が大流行なの」
ほかにも気持ちのいいコトバが沢山でてきます。
この方の次の作品が楽しみです。
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10/02/04 読了。
とある変わったルールを守れる客にしか商売しない防具屋と
そこに集う客たちが語る話を綴った連作短編形式の一品。
店主と客との絆がじわじわ育まれていく様子もさることながら
それが客同士の繋がりに結びついていく物語の展開は
どこかオーソドックスな展開ながらもいい雰囲気。
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文章は少々気になるところがあったものの、全体的に優しい雰囲気がよかったです。今までたった一人だった人が、ただ一つの共通点を持つことでお互いを支えあう存在になる。そんな空気がとても心に残りました。
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新登場のアスキーメディアワークス文庫
ちょっと様子見で買ってみました。
苦手なライトノベル風と思いきや、
ファンタジー過ぎない設定も良かった。
通好みの防具屋店主と、客たちの奇縁なお話。
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気のせいか、誤字が多かったような。それに冗長な文が多く見られ、少し読みづらい。話の後半からは慣れましたが、完全なファンタジーでありながら、遠回しな言い方も多いので、咀嚼するのに時間が掛かり、頭に入りにくかったです。
戦闘シーンは一切含まれていないし、ファンタジー小説は冒険ものだと思っていた私には、正直物足りなかったのですが、ソラと同じ空間を共有しているようで面白かったです。特に第四章の話がお気に入り。
物語は店の客と同じ目線で繰り広げられているので、いつも見送り、出迎えることしかできないソラが、切なくもいじらしく思えて好きだと思いました。ただ、青年アルにあまり魅力を感じられなかったのが残念ですが。
優しくてほんわかしているけれど、どこか切ないお話。
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ファンタジーの防具屋さんの顧客のそれぞれの語りだけで進む。防具屋が帰ってきた顧客からの話を聞く。防具より個別アイテム。
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久々ラノベ的なファンタジーを読みました。人情味があるストーリーや防具屋の人形のような美しい店主という設定は嫌いじゃないが、作家の文章・文体そのものに物足りなさを感じる。文章力がもっと欲しいところ。ずっと語り口で話が進むので盛り上がりに欠けると感じた。やさしい作品だなってかんじ。嫌いではない。
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透明感のある文体が最高。このまま続編とかやってほしい。読みやすいので本格ファンタジーにつかれた人におすすめ
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なんていうか、雰囲気というか舞台設定というか、その世界観が好き。待つことしか出来ないソラのいじらしい事。すっかり感情移入してしまった。ただ文章が単調で寂しい。その分読みやすいんだけど、盛り上がりに欠ける。もう一歩だと思う。けど、純粋にシリーズ化して欲しいと思った。
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「いってらっしゃい」という言葉は、「おかえりなさい」と
セットで初めて完結する。小さな防具屋「シャイニーテラス」の主人ソラと、そのお客様達による少し淋しくて暖かいお話。
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優しくて温かい物語だなと思いました。
1人暮らしを始めてから、「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」を使う機会が減っていたので、余計に心にくるものがありました。
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■不思議な防具屋を舞台にした優しいファンタジー。
王都レーギスの中心部からはずれた路地に、隠れるようにある防具屋[シャイニーテラス]。陽の光が差し込まない暗い店内に佇むのは、女主人ソラ。彼女の店には、訪れる客と必ずある約束をかわすルールがある。それは、生きて帰り、旅の出来事を彼女に語るというもの。ある日、自由を求め貴族の身分を捨てた青年アルが店を訪れる。彼との出会いが、止まっていたソラの時間を動かすことになり――。これは、不思議な防具屋を舞台にした心洗われるファンタジー。
第16回電撃小説大賞選考委員奨励賞
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陽の光に満ち溢れているような、綺麗で優しい物語。読後感がとても良いです。最初は短編集の集まりのような印象を受けましたが、だんだんそれぞれの目線から語られる話が繋がってくるところが面白い。自由を手に入れる、とはどういうことなのか。自由とは何なのかを考えさせられる作品でもあります。
でも結局のところ「いってらっしゃい」から始まり「おかえりなさい」で完結する。この言葉がこの物語の全てなんだと思う。
個人的には菜花さんのイラストが空の彼方の世界観のイメージそのものです。菜花さんのイラストからも世界が素敵に色付けられていると思うのです。