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西村賢太―。初めて読んだが、現代の「私小説」とはこういうものなのかと衝撃を受けた。明治・大正期、自然主義文学に初めて接した人たちもこんな風にガツンといかれたのだろうか。
何につけ、赤裸々である。『けがれなき酒のへど』では「女が欲しい」。『暗渠の宿』では「女が昔つきあっていた男が憎い」。腹が虫が納まらなければ、罵詈雑言を浴びせ、暴力も出る。相手が女であろうと、男だろうと構わない。ただ、そこに至るいきさつと、怒りの最中のセリフ、そのあとの悔恨めいた自意識の推移とをウソ偽りなく記録する。独特の文体で、執拗に、うねりながら記録する。この文体にもやられた。
ところで、この西村賢太に崇められる藤澤清造とはどういった人物で、どういう小説を書いたのか。またさらに西村賢太の読書遍歴とは。ここまでガツンといかれると、どうにも気になってしょうがない。
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社会生活不適合者についての社会生活不適合者による社会生活不適合者のための小説といったところだろうか。ダメなやつこそ底知れぬパワーを持ってる気がする。痛いなー馬鹿だなーダメだなーと思いつつグイグイ読まされてしまう。酷いやつらが出てくる割に以外にとても居心地が良い。
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「けがれなき酒のへど」「暗渠の宿」収録。
「けがれなき~」は構成がかっちりしすぎていてちょっと馴染めなかった。
「暗渠の宿」といい「けがれなき~」と言い、もっと血なまぐさい暴力的展開や人物像を想像していたけれどなんというかかわいらしい主人公ですね。人物もストーリーもかわいらしいなと思いました。
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コマッタ君の俺樣日記。読みやすい文体で、いろんな意味でわかりやすい私小説。この時代、元気ずけられる人、多いと思うよ。・・・いろんな意味で。
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ふふ。最低。
片方まだ読んでないので想像だけど多分芥川賞貰った2作品で比べればこちらのが面白いんじゃないかと思う。
何故なら最低な人間を眺めるのは読書に限らずとても面白いからです。
優れている優れていないの話ではなくて。
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物凄い面白い。
私小説はどことなく自身の生い立ちを音楽で表現する「ヒップホップミュージック」に相通ずるものがあるな、と読んでいて感じた。
彼女が欲しいが為に風俗嬢に入れ上げるデビュー作、「けがれなき酒のへど」が良かった。
自身の惨めさを客観的に見て、自虐的に心情や現状を吐露する姿勢が良い。
風俗が好きな割には心はとてつもなくピュアで、そんな心の持ち主が薄汚い街で飲んだくれる哀愁が胸にしみる。
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まー、とにかくロクでもない男だなー、と思っているうちに、
だんだんその凄みに引き込まれてしまう。
凄いとしか言いようも無いからそう言うけど、
いったいなんなんだこの人は。
「美女と野獣」と揶揄された本年度芥川賞受賞作家の野獣の方の人。
西村賢太氏のデビュー作を含む私小説。
嫌悪とないまぜになった受け入れがたい共感を、
すごい腕力で叩き込んできます。
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芥川賞作家、私小説、生き様、乱暴、芝公園で凍死した不運の大正期の私小説作家藤澤清造を師と仰ぎ、祥月命日には菩提寺のある能登七尾まで出向き、老朽化した木製の墓標まで買い取り、部屋に抱かえ込む。
えらく評価が高いが、自分はあまり好きではない。
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芥川賞受賞作家の作品。
私小説としてのリアルさ、生臭さが出てる。
同世代として気になって読んでしまう。
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受賞作の「苦役列車」「どうで死ぬ身の一踊り」に続いてこれで3冊読み終えた。
典型的な私小説らしく、相変わらず主人公の貫多は、貧困、酒、女、暴力・・・
そして藤沢清造に異常なまでの傾倒・・・と内容はよく似通っていて
今思い出そうとしてもこの三作の印象が混ざり合ってしまっている。
この人はずっとこのまま書き続けて行くのだろうか?
手元に残る一冊「二度はゆけぬ町の地図」を読み終えたらこの作家のものに休止符をうつことにしよう。
インドは好き嫌いが両極端に分かれる国といわれる。
旅するリピターも一番多いとか。
この西村賢太氏ももしかしたら、両極端に分かれるのかも知れない。
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西村氏の小説を読むのはこれで2冊目。個人的には『苦役列車』以上におもしろかったかも。私小説という言葉を見ると思いだすのは、教科書で習った田山花袋の作、『蒲団』。自らの弟子に対する恋(しかも浮気)五頃を綴ることが当時どれほど衝撃的であたか想像するべくもないが、恥ずかしいという感情と戦いながら書く以上は、どこか隠したり、歪めたりする側面もあるのだろう。西村氏の小説の中でも、まだまだ言えない所があるのだろうか。今以上にやりたい放題なのか、それとも案外ソフトだったりするのだろうか??
小説の中で、彼はとんでもない行動を繰り返すが、嫌悪感すら抱く中それでも読みたくなってしまうのは、どこか読者と繋がるところがあるからではないか。
風俗通いをしている人などいくらでもいるし、顕在化しにくくとも交際する女性への暴力などいくらでもあろう。そんなこと以上に、彼がいわゆる道徳に精神的な意味で縛られているのが印象的。悪態をついたり悪さをしたりしても、すぐにしおらしくなったり、自己嫌悪に陥ったりする点は、どうにも憎めないし、どこかでいい人なんじゃないか、モラルを重んじてる人なんじゃないかと推測している自分に気付く。
所詮、などと言っては失礼にあたるが、彼は変人でもキ○ガイでもなく。一般人の延長上にいてくれるような気がしてならない。だからこそ、彼の見せる横暴な姿が妙に気になってしまうのだと思う。もしかすると自分の中にもこんな行動を衝動的に取りたくなる心が眠っているのではないか・・・と。
的外れなことを書いてしまったかもしれないが、彼が現在に到るまでの足跡についてもっともっと読んでみたいと思った。
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この文庫の解説は友川カズキ氏!それだけでも読む価値あり。
暗渠の宿は、ほんとうに見事に人間の弱さを描ききっている。というよりも「男」の弱さ・・・かな?
いずれにしても女性向けの作家ではない。でも、才能は凄い!
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芥川賞をとっただけの実力はある。暗い話だが、読者をぐいぐい引き込む文章力がある。昭和の初めから中頃の話かと思いきや、携帯電話は出てくるし、ハリーポッターも出てくる。まさしく現代を扱っている私小説だ。女に異様に関心があり、女の話ばかりが続く。
作品は違うが、まさしく私小説で筋がつながっている。何故か、また別の小説も買ってしまうのだろう。あまり愉快な気持ちにはならないのだが。こういう生き方をしている人もいるのだなあと。
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女にまつわる短編が2篇収録されている。西村賢太は女絡みの話が面白いと思う。
『けがれなき酒のへど』はぼこぼこにされる話、『暗渠の宿』はぼこぼこにする話。
我儘暴言傍若無人ぶりは毎度のことだけど、してやられる西村賢太が新鮮。
MVP:えっちゃん
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西村賢太3冊目なので、内容は予想できた。2編とも女性絡みの話、オレオレ詐欺並にコロッと女にダマされる話と、慣れてくると相変わらず暴力を振るってしまう話。文章のうまさは★★★★★