紙の本
70年代が生んだどこか剣呑でうらやましい物語
2009/12/30 09:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近Youtubeでこのライオンにまつわる映像を目にしました。都会育ちで後に野生に帰されたライオンとその育ての親である青年たちとのアフリカでの感動の再会シーンとして話題になった動画です。わずか数分のその再会動画に至るまでにはどんな時間の積み重ねがあったのか。それを知りたくなり、本書を手にしました。
本書はそのライオン、クリスチャンを育てた二人のオーストラリア人青年が、1970年代に出版した手記を、今回Youtubeによって話題になったことを契機に再出版したものの日本語訳です。とはいえ、40年後の現在の時点で必要と思われる事柄もわずかですが付記されています。
二人のオーストラリア人青年は、60年代末に渡ったロンドンで、高級百貨店ハロッズの売り場にライオンの子供が売っているのを目にします。当時はこうした動物がこうした形で普通に売買されていました。青年たちは深い知識や見識もないまま、「楽しいと思ったことにはチャレンジしてみないと気がすまない」という若者特有の勇み立つ思いのままライオンを飼うことを決意します。確かに周囲の仲間たちやメディアまでもがそんな彼らを許し、応援する時代でした。
それでもやがて彼らは自分たちの手を離れた後のクリスチャンのことを真剣に考え始めます。当時は「野生のエルザ」が出版され映画化された頃。あの物語の主人公であるジョージ・アダムソンに彼らはコンタクトを取ることになります。幼い頃に映画「野生のエルザ」に心震えた思いのある私には懐かしい名前の登場に心が沸きました。
野生動物保護の緊要さ、ライオンを都会で買うことの責任の重さ、そうしたものに対するメディアや世間の人々の寛容と無邪気…。
今日ではとても考えられないような要件が重なって生まれた稀有な物語がここにあります。それはうらやましくもあり、またどこか剣呑な思いも抱かせる不思議なストーリーです。
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これは、とても感動的な一冊でした。
ライオンを買った双子の兄弟は、自分達の子供のようにライオンのクリスチャンを育てました。ライオンは実の親のように双子の兄弟をしたいました。しかし野生に戻すことにしました、そして一年後野生のライオンのボスになったクリスチャン。感動の再会には涙がながれました。
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ライオンもネコ科の生き物だから、猫本に入れておく・・。クリスチャンはハロッズで売られていた。70年代ならあった話だろうけど、今なら考えられない事。ライオンの飼い主になったエースとジョンの冷静な観察と、ライオンという動物への認識が彼を自然に帰すという行動につながったことはクリスチャンにとって良かったと思う。野生動物は野生にいるべきだと思うから。ただ、彼らがクリスチャンをとても愛していた事はクリスチャンの表情を見ればわかる。犬に限らず猫も愛情を注がれた子の顔はとても目が生き生きとしていて穏やかだ。クリスチャンの生来の性格が良い方向を生んだとも思える。彼は社交的で遊び好きで適応能力に秀でたライオンだった事。再会のシーンはyoutubeで見られる通り。ちゃんと彼は覚えていて、でもきちんと野生のライオンでもあった事。クリスチャンはきっと一生忘れなかった、と彼らでなくても信じていると思う。
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今は絶対に不可能な都会でライオンと暮らすこと。ライオンの「クリスチャン」も、ご主人も、看板犬…じゃない、看板ライオンとなっているアンティーク家具店もみんな幸せである。ライオンと暮らすなんて、人の住むところなんて狭いし、ライオンがかわいそうじゃない?と思われるけど、動物園だってそう。この本を読んで動物園にいるライオンより、クリスチャンの方が幸せそうに見えた。
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1970年代、オシャレに敏感なロンドンで、そのライオンの子供は販売された。買ったのはオーストラリア人の若者二人。ライオンを飼うということに、二人はいろいろな工夫をし、次第に将来を心配する。そしてアフリカで野生に戻す計画が始まる。ユーチューブで、アフリカに帰ってから再開する二人と一匹の動画は22万人視聴。
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この本で紹介されて この感動的な話を知った。
「つぶやき進化論 「140字」がGoogleを超える」
写真を見るだけでも、びっくり。 こんなライオンが都会で暮らしているなんて!
そして、厳しい自然へ戻されるが、そこでもたくましく生きていく。
はぐれオスになるのでは、と心配したけれど 大丈夫。
1年後、彼らを覚えているのは まぁ普通だとしても、すなおに喜ぶ姿は、超感動!
きっと 順調な自然回帰を遂げて、性格が捻じ曲がらなかったからだと思います。(=^▽^=)
このYou Tubeが 超人気動画なのも もっともですね。→ Christian The Lion 日本語版 クリスチャン ザ ライオン
♪ 動画を盛り上げる歌声は、あの ホイットニー・ヒューストン。
このYou Tubeを見た少し後に 亡くなりました、とっても残念・・・。
〜 〜 〜 〜 ☆ 〜 〜 〜 〜 ☆ 〜 〜 〜 〜
読み終わると、クリスチャンとエースとジョン、その絆の強さに改めて感動します。
それも、エースとジョンの 賢明で忍耐強い努力があったからです。
クリスチャンとともに成長していく!! エースとジョン。
女優でクリスチャンをかわいがる ユニティー・ベビス・ジョーンズの存在も大きい。
「野生のエルザ」に出演した役者夫婦 ビル・トラバースとバージニア・マッケンナ により、イギリスからアフリカへ。
クリスチャンを野性に返した「ジョージ・アダムソン」
そこまでの経緯は 大変な苦労を伴いますが、みんなのクリスチャンへの愛情がそれを後押ししてくれます。
とにかく、ペットを買うにしても ここまで徹底して あとのことまで面倒を見るのは、当然のことながら すばらしいことです。
イヤになれば、手っ取り早く 動物園かサーカスに売り払えたかもしれないのです。
You Tubeでお手軽に感動ではなく、この本を読んでこその本物の感動を味わいました。
2012/2/11 予約 2/18 借りて読み始める。3/18 読み終わる
内容 :
1970年代はじめ、僕らは1頭の子ライオンを買い取って、クリスチャンと名付けた。
やがてクリスチャンは野生生活に慣れる訓練を積み、アフリカの荒野に帰っていくが…。
静かな感動を呼ぶノンフィクション。
著者 :
アンソニー(エース)・バーク,
1946年生まれ。美術キュレーター。
アボリジニ・アートとコロニアル・アートの専門家。
ジョン レンダル
ジョージ・アダムソン野生保護基金と王立地質学協会にたずさわり、アフリカの自然保護活動に貢献。