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副題には『作家による「山」のエッセイ、紀行30編』とある。2007年から2009年まで、雑誌「山と渓谷」に掲載された連載エッセイと紀行文を収録した作品集だ。豪華な執筆陣に驚く。エッセイストとしても定評がある作家に加えて、詩人も名を連ね、それぞれ筆のおもむくままに「山」の想い出を語っている。全部で29人の作家による30編の作品だが、思い入れの差や掲載誌への親愛度から大分温度差が感じられた。その中で気に入ったものは、やはり堀江さんの「帰途」とあさのあつこさんの「山との日々」。共に子供時代を振り返った話で、大人の目で見る世界と子供見る世界の違いが浮き彫りにされている。この作品集は、「山」という統一テーマはあるものの残念ながら、それぞれの方向性やタッチが違いすぎて、せっかく一冊の本にまとめられたのにバラバラでまとまりがない。いい企画なのに惜しい気がする。
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作家による「山」のエッセイ・紀行30編、というこの本。実にいろいろな「山」があるものだ。人は山に対して様々な思いを抱き、関わっているんだと興味深く、それぞれに「ほぅ・・・」とか「すごい」とか「うんうん」とか「え〜っ」とか思いながら読んだ。「山」はただあるだけなのになぁ・・・いや、「山」はすごいです!
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ヤマケイに連載された”個性豊かな現代作家ら29人によるエッセイ・紀行30編”とのことだが、かなりショートエッセイ。山に関する、というより自然、旅全般と範囲は広い。夢枕獏、笹本稜平などいかにもな作家から、あさのあつこ、万城目学など意外な顔ぶれが名を連ねてるのも面白い。自分の好きな作家のところだけ、チラ読みするだけでも良さそうな感じ。
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山を題材にしたエッセイ・紀行文が30編。
自分に合う文章かそうでないかでも、感じ方は異なるが、初めて出会う文・感覚に新境地開拓のようで、興味深く読み進められる。
寮美千子「はじめのひと滴」は、アンナプルナの氷河の美しさを神々しく書く。感覚が合う。
栗林佐知「愚行の人」は男気ある彼女の山の存在感の大きさが良く伝わる。
篠田節子「西寧-ラサ チベット高原鉄道二千キロの旅」チベットの風景が浮ぶような肉迫した文章。
熊谷達也「山が持つ二つの貌」
立松和平「知床の森のクマ」知床の森での、クマと人間のお互いの領域を侵さない共生に感動。
古井由吉「大都市の山」東京から想う山と文学を絡めた文がなんとはなしによい。
南木佳士「山を書く」山を書く筆者の山に対する畏怖の姿勢がいい。
内山節「民衆史のなかの山」上野村の山と里の境目をクローズアップし、「自然という神」を書く。感覚が合う。
小池昌代「山が呼ぶとき」
あげるときりがない。珠玉そろいで読む価値あり。
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2007年から2008年にかけて、「山と渓谷」誌に連載された、小説家たちの山に関するエッセイ集。
30人の書き手、それぞれにさまざまな切り口、山に関する思い入れ、エピソードなどがあり、まとまりはないが、不快ではなく、つらつらと読める。
時間がある時に読むには良い。