電子書籍
興味深いからくりのサスペンス
2021/11/28 13:49
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投稿者:のこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーリーに緩急があり、緊迫した戦闘シーンや敵(?)とのやり取りなど、同じ伊藤作品の「ハーモニー」に比べると視覚的にドラマティック。
主人公勢力が追う相手のもつからくりも、最後の仕掛け(この物語の成り立ちの説明)も、この作品が本になって流布する前提だとしたら、なかなか怖くて面白い。
映像にも向いてる気がするので、映画を見てみたくなった。
9.11とその後の「正義の戦争」をリアルに報道で見ていた世代や、その前の冷戦時の代理戦争を見ていた世代にとっては、ふわっと思うところがあるかも。
他に、グローバル資本主義と過去の植民地の類似性の指摘も思い出した。まぁ、作者がこれを意図したかどうかは不明で、私が勝手に思い出しただけだが…。
惜しいなと思ったのは、あちこちに散らばる死、身体、母のモチーフをもう少し丁寧に拾って繋げていたら…という点。印象的に繰り返されたのだが、私にはラストへの昇華が少し物足りなくて、物語の後ろにぽつぽつと置いてきてしまったような印象。2読したら変わるだろうか?
映画はそのあたり、どう編集しているか気になる。
※その点、「ハーモニー」は、しつこいほどに(良い意味で)繰り返される問題提起が、最後まで繋がってて全体の流れが綺麗に整っていると感じた。
また、本作で示された個人情報のあり方についても、本作よりも「ハーモニー」の方が関連深くなっている印象。セットで読む方が面白いのかもしれない。
電子書籍
虐殺の中心にいるのは
2020/08/01 08:18
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界各地で紛争を巻き起こす、ひとりの言語学者がミステリアスです。主人公クラヴィスの決死の捜索と、ラストで下した決断に胸を打たれます。
電子書籍
映画化前に
2017/11/09 21:10
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投稿者:いぬねこ派 - この投稿者のレビュー一覧を見る
友人が呼んでいたので、興味がありました。怖いタイトルなので、なかなか手が出ないでいましたが、電子版のクーポンで買いました。
電子書籍
映画化希望
2016/01/25 13:47
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投稿者:みるお - この投稿者のレビュー一覧を見る
スパイ映画を見ているかの如く展開。作風なのではないかと思うが、やや哲学的な話も難解になりすぎず逆にリアリティが増す感じ。
紙の本
夭折の作家が伝える命
2015/12/17 10:03
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は世界中で虐殺を巻き起こす謎の人物を追いかけるうちに、いつしか人の生死に無感動になっていくような印象を受けた。科学の発達により生と死そのものが曖昧になっている現在への鋭い風刺は、34歳でなくなった著者ならではのものだ。
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ああなんて美しくて哀しい小説だ。ウィンズロウの『犬の力』と対になる、というか同じ話を描いているとも言えるけど、『犬の力』は激しい怒りを『虐殺器官』は激しい哀しみを感じた。そしてとにかく文章と構成が上手くて面白い。
でもやっぱり「美しい」というのがの一番の感想、日本人が書いた小説を読んで美しいと思ったのは佐藤亜紀さん以来かも。そして一番哀しいのはこんなに美しい小説を書く人がもうこの世にいないという事だなあ。なんてことだ。
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繊細に描かれたハードSF。
社会への問題提起としても、エンターテイメントとしても非常に良くできている。 弱者が美しいものだというエゴ目線がないのもいいところだと思う。
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9.11後の世界を舞台にした近未来SFで、小道具はどれもSF的/ゲーム的であるけれど、中に描かれているものはもっと普遍的な恐怖と感傷のように思える。日本SF版村上春樹と称する人がいるのも頷ける。ホワイダニットみたいな部分もあり、ラストもきっちりオチて、「すごく面白かった」の一言に尽きる。
「虐殺の文法」やエピローグについて、「伏線回収してない」や「説明が足りない」と言っているけど、私は全然違和感を覚えなかった。あり得ない話ではない、と思えるか思えないかの差なのだろうか。ラストは意趣返しなんかではなく、どちらかを選ばざるをえなくなった主人公の「選択」なんだと思う。
全体的にセンチメンタルで、それにかなり引きずられながら読んだから、このような感想になったのかもしれない。
あと解説で泣ける。この人の話をもっとたくさん読みたかった。
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タイトルに惹かれて買いました。そのときの自分が何を期待してこの本を手に取ったのやら不明ですが…。
凄まじいタイトルですが、内容は寧ろ淡々としていて読みやすかったです。もっとドーンとかバーンみたいなのを想像していましたが(頭の悪い言い方)、そういうことはまったくなくて。
世界観はグロテスクなのに、妙な清潔感というか静謐感というか、そういうものを感じました。血腥い描写もあるのに、血腥さを感じさせないところが凄いなあと。
何故人は人を殺すのか。『ああ…』と読了後に何やら納得している自分が居たように思います。
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救われる訳でもなく、絶望でもなく。
なんとも言えない感情が心にずしんときた。
通常の世界において、人を殺す事は絶対的な悪でありながら
戦場においては賞賛される行為であり
かつ自分が生き延びるための手段でもある
兵士として戦場で人を殺すことは任務であるのか
自分自身の殺意であるのか
赦しを求め罰を望んでいた彼のラストでの行動は
果たして自への罰となりうるのだろうか。
任務という言い逃れの出来ない罪を
新たにひとつ背負っただけのように思えてしまう
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面白かったです。もっとシンプルなアクション小説を想像していたので、ここまで主人公の葛藤が描かれるものだと思っていませんでしたが。SFですし小難しい単語は時々出てきますが読みやすいです。作者がもう亡くなってしまっているのが残念。
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よくわからんかった。発想とかはいま考えれば面白いんだけど、主人公の内省がうざすぎた。それも狙いらしいけど…
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00年代 ですか。
なるほど。って位に現在の社会構造の問題を絡めたミリタリー的近未来SF。
海外作品口調なのも題材に合っているかと。
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攻殻、スカイクロラ、MGSなどと技術の進歩した近未来を描いた作品にはそれなりに触れてきたつもりだったが、世界観をここまで精巧に作りこんだ作品には初めて出会った。
テクノロジーの進化と共に自己に対して懐疑的になる人々、と言うのは近未来を描くにあたって欠かせないテーマなんだろうな。
MGSファンとしてはニヤニヤしてしまう単語とか場面もあり、実に楽しく読めた。
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理由が秀逸。あの衝撃だけで星2つ分の価値があった。
ハーモニーも続けて読んでるけど2作とも人間ってすごくあやふやな生き物なんだよっと力説してる。よね?ダメだ、2作ともちゃんと買って本棚に置こう。読み返さないと消化しきれない