紙の本
芸術家として明治から昭和のかけて大活躍された北大路魯山人氏の美食談議や世界の食べ歩き記録が収録された論考集です!
2020/09/19 11:23
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、明治から昭和にかけて篆刻家・画家・陶芸家・書道家・漆芸家・料理家・美食家など様々な肩書をもって広範に活躍された北大路魯山人氏の作品です。同氏によれば、料理は芸術であり、味だけではなく美の追及にこだわった著者の料理哲学は、素材へのこだわり、食器の審美眼から家庭料理の見直しや残肴への慈しみまで幅広く、美味道楽70年に裏付けされた珠玉の言葉は永劫に響きます。同書には、諸侯の美食談義批判や痛快な世界食べ歩きの記録が収録されており、著者が自ら手掛けた唯一の論考でもあります。ぜひ、多くの人に読んでいただきたい傑作です!
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料理は五感で楽しむものであり、その場の空気や器も味の一部だと、言葉ではわかっていても、この人に言われると深い。
料理の本ではあるけれど、これは何も料理に限った話ではなく、すべての職業に、生き方に置き換えることができる話だ。読む価値がある。
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魯山人に対しては規格外れの巨人、異能の人という印象があります。料理に関しても世間の評判や権威を一切気にかけず、自分の舌、感性のみを頼りにする姿勢が貫かれ、気持ちがイイです。
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美味しんぼのモデルである北大路魯山人。彼の食に対するこだわりがあまねく書かれている。良寛や大倉喜八郎といった新潟ゆかりの人物の言葉やエピソードが多々出てくるのも興味深い。
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北大路魯山人の名前は知っていたが、氏の人となりをこの著書で初めて知ることができた。かつて星岡茶寮を主宰していて、食だけでなく、陶器・絵画まで広い興味と高い技術で、美を追求した傑物ということだろう。美味しんぼの海原雄山のモデルそのものだろう。ただ、まだ雄山の方が人間らしさがあるように感じるのは私だけではないだろう。物事を捉える視座は高いが、人に対する思いやりには欠けているのだろう。それこそが、同氏が心身ともに健康で生きることができた根源でもあるのだろう。そういうえば、美味しんぼに岡星という料理屋が出てくるが、その出所もここにあったんだと気付く。もう少し、魯山人氏のことを知りたくなった書籍であった。
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魯山人の、美食に対するこだわりが凝縮されている。食のプロや海外料理への批判は物ともせず、和食礼賛。今は食べられなくなった食品や、料理屋も多いが、残っているなら、試してみたい。
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インターネット華やかなりし現代に住む我々にとって、北大路魯山人の感覚は、少し理解しがたいものがあるかもしれない。彼が生きたのは、モノを美味しく食べる方法を知ること自体に難儀する時代なのだ。
そう考えれば、彼の傲岸不遜な批評の数々にも合点が行く。そして、ややメタ的だが、それが、逆に本書の味わい深さを醸し出しているようにも思う。
星3つなのは、面白かったことは面白かったのだけど、それはある意味歴史的な資料を掘り返すような楽しみで、私自身は今はそのモードではないから、かな。