紙の本
儀式は市場経済に任せてはいけないか
2011/11/19 22:19
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:T_Mizutani - この投稿者のレビュー一覧を見る
話題の本なので手に取ってみた。
島田氏の本だけだと公平性に書くかと思ったので、『葬式は必要』(一条真也著)というアンサー本みたいなのも一緒に読んでみた。
『葬式は、要らない』の方は、要約すると「葬式は挙げること自体が贅沢なもので、必ずしも豪華にする必要はない」となるのではないかと思う。
特に批判の対象になっているのが戒名である。
現在は、葬儀を挙げる際に、寺の坊主が死者に戒名をつけるということに、慣習的になっている。
この戒名、本来ならば出家するものが頂くものだったそうだ。
なぜ、それが一般人にもつけられるようになったのか。
島田氏によれば次のとおりである
日本の仏教式の葬式は、禅宗が元になっている。
禅宗の葬式の作法には、悟りを開いた僧侶に行うものと、修行が終わる前に死んだ僧侶に行うものの2種類がある。
在家(つまり出家前)の一般人は、後者の僧侶の立場に近い。
したがって、死んだときに出家したということにして、後者の僧侶に行うのと同じ方式で葬式を挙げる、ということがおこなわれることになった。
ある種の擬制である。
こうして、在家の人間に対する葬儀の方法が確立された。
あくまでも擬制で、確たる仏教的な根拠もないのに、戒名をつけるだけで何万、何十万、何百万ものお金を坊主にとられることが、島田さんの主な批判の理由である。
ある過程をブラックボックスにすることによって利益を得ている業界というのがある。
保険業界と、冠婚葬祭を執り行う業界である。
保険業界では、ライフネット生命という会社が出てきて地殻変動を起こした。
冠婚葬祭の「婚」の分野では、スマ婚というプランが登場し、平均330万かかる挙式・披露宴が、16.8万円からでできるようになった(という触れ込みである)。
「葬」の分野では、小売業大手のイオンがお布施の相場を開示したが、仏教界からの反発にあって削除された。
ある部分をブラックボックスにすることは、それだけ消費者が不利益を被る、とまではいかなくとも、少なくとも納得できない部分ができる。
その部分を明らかにしようという企業が登場することは、市場経済では当然のことである。
儀式に何らかの意味があると消費者が感じれば、どのような制度の下でもその儀式は残り続けるはずである。
競争の結果、儀式にかかる費用が下がるということは当然起こり得るが、だから儀式のありがたみが薄れる、ということでは決してないはずだ。
という文脈で私は島田氏の本を読んだのだが、その流れで一条氏の本を読むとがっかりする。
曰く、「費用という数値を越えた世界に葬式という儀礼の本質があることを忘れてはいけません」(p.175)と。
それはそうかもしれないが、でも削るところは削ろうよ・・・というツッコミができそうである。
一条氏はもちろん、島田氏も、葬式そのものには反対していない。
『葬式は、要らない』というタイトルは昨今の新書にありがちなスタンドプレイだ。
2人とも、総論賛成、各論反対、という立場の違いを感じ取ることができる。
しかし、結局どの点に大きな違いがあるのかが最後までよくわからなかった。
一条氏は島田氏の「葬式は贅沢である―これが、本書の基本的な考え方であり、メッセージである」(p.15)という記述に対し、
「贅沢、大いに結構じゃありませんか」(p.156)と書いている。
この部分だけ切りとったら、大手冠婚葬祭互助会取締役社長たる筆者のポジショントークと考えてしまうのは仕方がないことであろう。
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タイトルは完全な「釣り」。筆者が強硬な葬式無用論というわけではなく、そうなるだろう、という話。最後は、どう生きてきたかが肝心で、葬式の形は大した問題ではない、みたいな締めくくりで、かなり肩すかしを食う。そもそも、筆者自身に「こんな葬式で送ってほしい」という具体的イメージがないそうだ。
全体に「葬式仏教」の事情には理解を示しているが、戒名だけは以前に著書を書いたこともあり、思い入れというかこだわりがあるようだ。
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(2010/2/7読了)仏教式の葬式の起源が禅宗にあったとは知らなんだ~。葬式仏教の起源は興味があったので、なかなか示唆に富む書であった。
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著者が宗教学者と名乗っているせいか葬式や埋葬や戒名の歴史部分が長かったけれど、参考にはなりました。
散骨も違法やないらしいです。
焼き場からお墓への直葬、家族葬、友人葬、樹木葬、宇宙葬、手元供養…いろいろな形があるんですね。
葬儀費用は平均で231万円と日本は世界で一番お高いらしいです。
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・葬式費用平均231万世界一。
・「民俗学」とは慣習や習俗を研究する学問。日本では創設者は柳田国男。
読んでて、ほとんど頭に入らなかった。タイトルに内容が沿ってない。
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「日本の社会のあり方が変化した今、葬式のあり方も変わろうよ」ということがテーマだろう。学者であるなら即物的な意見だけで終わらずに、こうした問題の背景にあることに焦点を当てながら、これからの日本人の死生観や生き方にまで踏み込んでもらいたかった。
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読んで「戒名てなんぞや」ということがすっきりした。
以前、外国の方に「戒名て何?」と聞かれて、お手上げになった経験があって、「死後にもらう名前」みたいなよくわからん説明をしてしまったのだが、そもそもしっかりした位置づけがあるわけでもないようですねえ。
結婚式も葬式も、「家」制度が弱まるにつれて個人個人が納得したらええやないの、という方向にいく。ひごろからちょっとは考えといたらいいんかもね、死ぬときのこと。結婚が先か…。
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日本の葬式は高すぎる!!業者に搾取されすぎじゃないか?と思いながら読んだ本。葬式が高くなった理由(浄土教信仰・世間体)とか、戒名の理由が実ははっきりしてなかったりとか知らないこと色々。檀家に入ってなければ、戒名って自分でつけられるもんなんだな・・・。亡くなった人のことをよく知っている人に付けてもらった方がその人らしい名前になるし、良いよなぁと思ったり。
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葬式にも色んなタイプがあるんだなあと参考になりました。母親の時と自分の時とでよく検討しておかなければならない課題だ。
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東京に出てきて、墓も仏壇もありません。
自分が死んだらどうしようか、と考え読んで見ました。
戒名代とかいろんな費用がかかるようです。
戒名は自分で付け、骨は故郷と、東京近郊のどこかに
納めようかな。
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考える時間も相談する時間もとれない行事だけに不透明(ボッタクリ)感を強く感じていたが、本書を読むことで実態を知り、ある程度の本質がわかった。タイトルは「・・・いらない」だが檀家であるならそう簡単にはいかないようで、しかし葬式をやらずに済ます方法も書いてある。葬式を行うようになった経緯、戒名の意味(とおかしさ)は特に興味深く、本書が広まれば日本の文化も大きく変わっていくのは間違いない(というより変わない方がおかしいとまで思う)。広まらずとも本書にあるように葬式のあり方は変わらざるを得なくなる(なっている)が実態は知っておくべきだろう。
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・8/8 エチカの鏡にて再度紹介あり
日本人の葬儀費用は平均231万円。これはイギリスの12万円、韓国の37万円と比較して格段に高い。浪費の国アメリカでさえ44万円だ。実際、欧米の映画等で見る葬式はシンプルで、金をかけているように見えない。対して我が国といえば巨大な祭壇、生花そして高額の戒名だが、いつからかくも豪華になったのか。どんな意味があるのか。古代から現代に至る葬儀様式を鑑みて日本人の死生観の変遷をたどりつつ、いま激しく変わる最新事情から、葬式無用の効用までを考察。葬式に金をかけられない時代の画期的な1冊。
・6/13 エチカの鏡
性格&相性診断スペシャルにて出演あり
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日本のお葬式の話。2010年。日本での葬式にかける費用は平均で231万円。これは他の諸外国の数値からみても桁外れに大きなものであり、その中には理由も不明確な項目と料金が含まれている。仏教的な背景と、死んだときにどうすればスムーズに進むのかを説明している。
最近は火葬後にダイヤモンドにしてお墓に入らないなど、いろいろな形で最期を向えるようになっている。これまではどちらかといえばお寺にお任せで問題はなかったのだが、人口の減少等の社会的背景が従来の方法を良しとせず、ビジネス的に変わってきている。遺言書を準備して、生前から備えておく必要がありそうだ。葬式無用、戒名不要、としてみたい。
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葬式を巡る歴史が興味深かった。私は浄土真宗(北陸だからなんですね!)なので、祖母の戒名も2文字でした。
自分自信、無信教と思いつつも、なかなか切れない宗教との関係(冠婚葬祭)を見直すきっかけが持てました。
お金はやっぱり大事なものだから、遺族や自分の為にもしっかりと葬式、お墓の事は考えておくべき事だと思いました。
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タイトルの通り、お葬式に関して否定的な本なのかな……と思ったら「葬式とは何なのか」、「なぜ日本ではお葬式にお金を掛けているのか」、「戒名とは何なのか」というところからわかりやすく説明している本。
この本を読むと、なんも考えずにお葬式すると、世界でも類を見ないほどお金を掛け、しかもそれほど満足度が高くないという恐ろしい結果になるんだな……ということがわかる。
葬式について知り、納得した上で、きちんと葬式をしましょうね、という趣旨の内容。
でも実際は、本人が生前にきちんと意思を示さないと難しいだろうなぁ。
しかし、戦後、日本の人と人のつながりが薄くなっていったのか、葬式を見るだけで恐ろしいことになっているのかがよくわかる。昔のすべてがいいとは言わないけど、今がいいともいいきれないなぁ。けど、知らなければ、いいとも悪いとも思えないよね。
そういう意味で、基礎教養としてわかりやすくオススメ。