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1巻では女子社会をテーマに百合っぽい描写も出てきたが、本巻では男子との交流がメインになっている。魔法の登場しない魔法学校の物語というところが、著者の凄いところ。
元の世界に帰るために必要なホーライ会へ入会することができたミムラ。しかし、魔法学校で出来た新しい友人たちを前に帰ることを躊躇っていた。そんなある日、精神時間を操る魔法のウサギ騒動に巻き込まれてしまう。
前巻にも増して、ミムラの女子化は進んでいる。女子寮での生活に不慣れだった前巻とは異なり、今回は男心を持った女子(ある意味最強)として天真爛漫ぶりを発揮する。
今回の主人公は、バーニーやアシュトンなどの男子生徒である。ウサギ騒動に巻き込まれた彼らとの絡みがメインの物語になってくる。今まで女子社会での生活に辟易していたミムラとしては、純粋に男子との交流を欲していた。心は男、体は女のミムラは男子としてバーニーたちに接するが、それがともすれば彼らには無防備な女子として映ってしまう。女子に免疫のない彼らが、ミムラの無防備な態度に初々しく慌てふためく様が微笑ましい。
物語の前半はある一日をバーニーの精神(意識)が転々と飛んでいくことで進んでいく。そのため、前巻のタイムリープと同じように何度か同じ場面が登場するが、ミムラの視点とバーニーの視点を上手く織り交ぜているので、それぞれ異なる目線から読み進めることができる。リープものを退屈させない著者の工夫が素晴らしい。
物語としては前巻に次ぐ形になるけれど、使われている題材や技巧は全く異なる。読めば読むほど「クロノ×セクス×コンプレックス」の世界観に嵌っていくことだろう。