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購入者:仲村(2010.2.18)返却:(2010.2.25)
薄い文庫本に、35のお話。だいたいが、2、3ページで結末をむかえるんですが・・・私の好きな『猫』というキーワードと、『絶妙のオチに唖然呆然・・・』と書かれた帯に惹かれ、購入したところ・・・裏切られました。
こんなに面白くないオチの本もめずらしいですね。次はもっと内容のある本を読みたいと思いました。
貸出:丸橋(2011.12.5)返却:(2011.12.12)
犬派、猫派?ときかれたら、食い気味に「猫派」と答えることにしている。「猫の」というタイトルだけで思わず手にとった一冊。 特筆すべき点は、ご自身でぜひ探してみて欲しい。
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阿刀田高は初めて読んだけど、
少なくともこれは大して面白くなかった。
そこまで奇妙でもないし
そこまで意外な結末でもないし。
他の本はもう少し面白いんだろうか。
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本筋の裏側からオチを拾う手法は見習いたい。
猫がタイトルだけれど、猫がメインのショートショートばかりじゃないです。
そこは人によっては大事なところかもしれません。
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阿刀田高のショートショート。エッセイではない阿刀田作品は、実は初めて読んだのだけど、エッセイで感じた「この人はマジメだなあ」という感覚そのままであった。SFや怪談をベースにしたショートショートで非常に読みやすく、星新一ほど突き放すわけでないので、小松左京とかんべむさしの間くらいのウェット感。ただ、全体に読んでいる最中にオチが読めてしまう。そのオチがまたマジメなんだワこれが。
ちょっと移動中に読むとか、疲れた時にはすんなり軽く消化できる、まあ便利な一冊では有ります。個人的にはウェットな文体から、この人は怪談じみている文の方が良いですな。
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阿刀田高氏の第3ショート・ショート集。単行本刊行は1982年。新装版は「目黒のサンマ」一編をカットした全35作品収録。
これも他のショート・ショート集同様、傑作だと思える作品もあれば、しょうもない作品もあります。
傑作どころか、大傑作とも言うべき作品が「海の眼」。美しく残酷な内容は、阿刀田高作品特有のブラック・ユーモアとはちょっと違うもので、こういう作品もあったのかと、宝を見つけたような気持ちになりました。
「海の眼」が傑作すぎですが、不思議が面白い「眼美人」と、女の恐ろしさを描いた「形見」も、なかなかの傑作だと思います。
以下は簡単に各作品の感想です↓
影酒場
ふと立ち寄った、洒落た地下の酒場の物語。不思議なオチも、実に洒落ています。
触媒人間
「その人自体はたいした仕事もしないし、組織に役立っているとはとても見えない。しかし、その人がいると、とにかく企業は隆盛に向かう。万事うまくいく」、という人が、触媒人間だそうです。
ちょっと、スピリチュアル系の物語ですが、絶望的なオチが待っています。米澤穂信作品『ボトルネック』のテーマをだいぶ先取りしているかもしれません。
貧乏ゆすり
女性に対して何も言えず貧乏ゆすりをするだけ、という男がいた、というだけの話ですが、そこに、男性は女性にどう接するべきなのか、という深いテーマを感じさせる一編です。
天和の代償
サラリーマンが、酒場で不思議な男に出会い、不思議な取引を持ちかけられて、という阿刀田高作品によくあるパターンの物語。
発表が麻雀雑誌なので、麻雀をテーマにしています。
オチは、ブラック・ユーモアよりも不思議さが勝っています。
社長室のゴルフ
社長室に現れた不思議な画商。その画商が持ってきたゴルフ場の絵には秘密があって、という物語で、これも不思議なオチが待っています。
マイ・バレンタイン・デー
ティーンエージャー向け雑誌に発表された一編。サラリーマンが酒場で不思議な男に出会って、という阿刀田高作品でよくあるパターンを、女子高生が帰り道で不思議なお婆さんに出会って、に変形させています。ティーンエージャー向けを意識したのか、オチはほんのりブラックで、夢のあるものでした。素敵な作品です。
凧
正月から海外出張を命じられた男性が、一緒に遊ぶはずだったまだ幼い息子を思う一編。感動的な物語ではありますが、何とも不思議なオチが待っています。
破られた約束
この作品も、父と息子の物語。なぜが物忘れがひどい男性が、息子との約束を守れるか、と、ハラハラさせられます。
地震恐怖症
地震に怯える男の言動を、ユーモラスに描いた一編。
遠い夜
ショートショート三題噺という一編。お題は「茗荷」「電話帳」「あやつり人形」。
最後のお題“「あやつり人形」は、ちょっと無理がありましたが、「茗荷」「電話帳」で、昭和感漂う哀しい物語が展開されます。
真夜中のインベーダ
新婚夫婦を「星人」が侵略する物語。何とも色っぽい話です。もしも「星人」の携帯が〇〇だったら、というひらめきだけで書かれたのであろう物語。
不運なシャツ
不思議なシャツを手に入れた男の物語。設定が阿刀田高作品ではよくあるパターンで、捻りのない予想通りのオチ。まあ、中にはこんな作品もあるでしょう。
ネズミ酒
酒場の主人の独白スタイルで書かれた一編。その他店の酒の美味しさに隠された秘密を教えてくれる、という物語ですが、阿刀田高作品には珍しくさりげなく大企業批判をしています。
一年生のために
新人女性教師が、新一年生に贈る一言を描いた一編。前収録作「ネズミ酒」と、テーマ性は似ていますが、
わずか文庫本3ページの物語ながら、衝撃度こちらのほうが上。ブラックすぎるオチが、強烈です。
あやしい鏡
愛人の娘として生まれ育った女性が、恨みのある実の父を殺そうと企む犯罪スリラー。
かなりシリアスなムードで始まりますが、オチが予想通りのブラック・ユーモア感。ちょっと残念な気がしました。
未完成交情曲
寝言が癖の男が、寝言から浮気の発覚を恐れる物語。
恐妻家の男を描いた、実に阿刀田高作品らしい作品ですね。
眼美人
一目惚れして結婚した女には、秘密があって、という物語。
このオチは、素晴らしい。自分は全く予想できませんでした。伏線はいくつもあったはずなのに。
新築祝い
良かれと思った言動が相手を傷つける、という皮肉な現象をブラック・ユーモア混じりで描いた一編です。
幽霊をつかまえろ
強力接着剤を使って、幽霊をつかまえようとした男たちを描く一編。このオチは、読んでずっこけたくなるようなものでしたよ。
夏の夜ばなし
夜の酒場で怪談に興じる三人の男。結局、一番恐いのは・・・と、いうオチですが、このオチは、既婚男性だけが共感できるものでしょう。
美しいお妃様の冒険
年齢と共に、美貌が衰えることを嘆いたお妃様の、異文化交流物語。
オチは、自分の予想通りで、意外性は無かったですが、この作品はオチの意外性よりも、時代や場所で美意識や食文化が違うことを、おとぎ話形式で教えてくれる教訓性重視の作品だと思います。
風邪とサラリーマン
これも教訓的な話。マジメサラリーマンと、ナマケサラリーマン、この二人が風邪をひいた場合の対処法を描いています。マジメ人間がいいのか、ナマケ人間がいいのか、読者に考えさせてくれます。
善意
防犯ベルを小道具として使った物語というよりは、ちょっとしたブラック・ジョークです。善意、よりも、警戒心がテーマだといえるでしょう。
とてもいい気持ち
双子の感応作用をテーマにした、神秘的な物語です。
海の眼
男が、日暮れの埠頭で風船を飛ばす少年に出会う物語。
ユーモア感覚を排除して、叙情的な始まりから、残酷へと一気にムードが変わるというのが素晴らしい。
今までに読んだ阿刀田高作品の中でも最高傑作だと思います。完璧です。
形見
これも素晴らしい作品。
結婚21年で妻を病気で亡くした男が、過去を振り返る物語。
非常に切ない物語が、遺品整理��シーンから徐々に雰囲気が変わり、何とも皮肉なオチを迎えます。
家族の風景
幻想的小品。嫁姑問題をこれだけ幻想的な物語に仕立て上げるのか、と、驚かされましたよ。
レンズの中の男
遠い昔、望遠鏡越しに見た、ビールを上手そうに飲む男。いつか自分もそんな風に飲みたい、と願っていた男に、その瞬間が訪れる、という物語。ブラックなオチに、男のロマンを感じさせてくれます。
無料コーヒー
コーヒーが無料で飲める、と上司に教えてもらったサラリーマンを描いた一編。何のことはない、単にコストパフォーマンスの計算をしただけの話ですが、コストパフォーマンスという概念が無い時代に書かれた斬新な一編といえるかもしれません。
ころし文句
クレジットカードの顧客獲得を描いた一編。ちょっとした言葉の綾から、嘘が本当になる、というたったそれだけの話で、特にひねりはありません。
蜜柑
二人の男性と交際している女性の、妊娠をめぐる物語。オチは、それほどブラックではありませんが、男の自分からするとドキッとさせられます。
こわい話
甘美な一時を過ごしたあの時間に戻りたい、という、阿刀田高作品には珍しいSF。オチは、ちょっとブラックです。
鬼はうち
節分を迎えた家族を描いた一編。まさかの駄洒落オチですが、駄洒落を言うのが可愛い幼児なので救われます。
蚕食
マッドサイエンティストもののホラー。今にも死んでしまいそうな奥さんのために、というのもこのジャンルではオーソドックスなもの。オチは、ややグロさがありましたね。
猫の事件
大金持ちの家猫の誘拐計画を描いた一編。飼い主の老婆が猫の言葉がわかるのかどうか、というところに、焦点を当てた物語で、オチにはあまり落差がありません。