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久しぶりの娯楽小説。いや他の本が純文学だとは言わないけれど、彼女の出自が漫画家である以上、そのB級っぽいカジュアルな文体が全体のトーンを安っぽく見せている。しかし、同じ無人島小説でもジューヌ・ヴェルヌの「二年間の休暇」の少年達の葛藤とさわやかで健康的なストーリーに対して、文明人が無人島に漂流されたとき、自然を克服するより憎悪と嫉妬が己を蝕み、自己を正当化しようと他を排除しようとする様子をまるで見て来たかのように描く様子がスバラシイ。
先日読んだジャック・ロンドンの「火を熾す」を読んだときの雪山の描写が克明で、この人が以前戦地へ赴き生き抜いて来たという背景を知り、なるほどと納得するのだが、ほんとうに小説って人が出るものなのだなぁ。
私が文章を描いたら、きっと林真理子か唯川恵になる。これ、間違いない。女の業をこれでもかこれでもか、というくらいに量産し自己を見いだそうとするに違いない。
この小説の元となったのは太平洋戦争の中で取り残された残留兵士と一部民間人の壮絶な生き残りの記録「アナタハン事件」。比嘉和子という女性が後に自分を主人公にした映画に自ら主演するなどして話題を呼んだものだけど、実際ってどうだったのだろうなぁ。
小説には、善く良く生きるための「サバイバル小説」と、あまり人に知られる事なくこっそり読みたい「自慰小説」があると昔から思っていた。前者は私にとってカズオイシグロであり、赤瀬川原平でありヴォネガッドであり、オースターであるわけだけど、後者は村上春樹だったり林真理子だったり谷崎だったり山田詠美だったりする。彼らは自分の文学性などみじんも感じていない。崇高な理想のもと天に導かれるように筆をとったのではなくて、その存在を示し確立するために単に「書く」という方法を選んだだけなのである。だから私たちはそんな彼らの自己確立をこっそり覗きみるのが読んでいて楽しくて仕方がない。そういう自分に気づく度、わーこれ読んでて恥ずかしいって思うのだ。うっとりしてるから。
この「うっとり」ってやつは厄介で、多くの日本人は「うっとり」ばかりを文明に求める癖に、一向に叙情的な人に嫌悪感を示す。テレビを買って改めて観ると、アナウンサーまでが情感たっぷりに死亡事故を伝え、ドキュメンタリーと称したエコ農業の特集は農地の人間一辺倒で、国外での日本産農産物の人気や流通の革新、卵が価格の優等生であるという偽証等など、真偽をつまびらかに言い表してはいない。 J-POPという腐れ音楽はウイットもなければソウルもなく、ただ母へありがとうとか、携帯の電話がどうとかくだらないことばかり歌い並べている。おんなじ顔でおんなじ化粧で、おんなじことしか言えない奴らばかり。
絢香が歌がうまいのは解るけれど、カラオケレベルの歌唱力をクリエイティビティにのしあげていない。
じゃあ自分が何になれるのか。
模索しながらも、未だ見つからず。
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実際にあった話にインスピレーションされて作ったらしいことは知っていて
しかも、その実話を何となく知っていたので
読みたいと思っていました
感想は...実話のほうが面白い
イマイチ物足りない
実話のほうが単純明快な世界だったんじゃないかと思う
ピストル=その島唯一の女性を独占できる
っていうほうが
もしかしたら、あいつに殺されるかもしれない
みたいな追いつめられる感じを期待していた
のかもしれない(笑)
人が不審死を遂げても
島全体の総意って感じで
仕方ないよね、って感じで
物足りない(笑)
このシチュエーションなら個対個のもつれとかがもっとあっても良かったのでは?
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無人島へ漂着した集団が、日本人の男なら、中国人なら、どのように適応、あるいは変化していくかを、突飛な設定に仮構して描写する。
篠田節子にも似たようなのがあったか?
大体は読者の感覚にマッチした範囲内で、登場人物が感じ、行動するので、それほど「ブンガク」という印象は受けない。
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『東京島/桐生夏生』箸。日本版LOSTか。いや、あんなイケメン・美人じゃない。描写が汚い。無人島でのサバイバルのエグい表現が苦手なためか読み進めず。オチがお涙頂戴風なのが意外。読むタイミング悪いと鬱。読了。
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<清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える―。東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世紀。谷崎潤一郎賞受賞作。 >「LOST」的なハラハラさワクワクさとは真逆の無人島漂着もの。各章ごとに取り上げられる人物が異なるため、トウキョウ島という世界を色んな面から見ることができるようになっている。予測不可能なエンディングも含め「告白」が好きな方は楽しめるかも。しかし、これが純文学というのは納得いかない。どう考えてもエンタメ。
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とにかくすごかった…というのが読み終わった直後の感想。大作だ。読む方もエネルギーがいる。桐野夏生の本でここまで思ったのは『OUT』以来だろうか。
設定がすごい。女1人、男30人以上で無人島に漂着して生活をしていくという。この設定から最初は本を買うのをかなり戸惑ってしまった。なんだか悲惨で重苦しいストーリーではないかと。
だけどそんな重さは一切ない。漂着した一人一人の目線で島の生活、出来事が語られる。中心は46歳の清子だ。世間的には中年というくくりの清子が、漂着民唯一の女性ということで特別扱いをされる。その清子がひたすらエネルギッシュで力強くタフだ。サバイバル生活に順応してますます強くなっていく。
他の漂着者もみんな過去はアウトロー。文明からは慣れた過酷な島の生活の中で少しずつ壊れていく。
ラストには驚いた。こんな結末は想像しなかった。
無人島生活の本といえば『ロビンソン・クルーソー』とか『15少年漂流記』とか佐々木丸美さんの『流れ星』とかゴールディングの『蠅の王』とか色々と読んで来たけれど、それらとは全く毛色が違う。
本の帯に映画化されて主演が木村多江さんということが書かれていたけれど、木村さんだと美し過ぎるだろう。太った中年女で容姿も普通なんだからそれなりの人にやって欲しい。美化するのは違うなー。
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オラガ、オラガの我を捨てて、オカゲ、オカゲのゲでいきる。裸で生活すると毛流ができる。谷崎潤一郎賞受賞、映画化決定の帯に騙されました。何故、産まれた子供は双子だったのかがラストの意外な展開でなるほどでしたが、全体的にやはり女性の作家はダメという印象です。
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無人島
清子と隆
夫婦で遭難。
31人の若い男たち
も遭難。
無人島=トウキョウ島
無人島での暮らし方。
男32人に、女ひとり。
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「グロテスク」読んだ時も感じたけど、個人的に肌が合わないのかなぁ。序盤の設定、無人島に漂流した男性30人と女性1人からのストーリ展開に期待したんだけど・・・ 好みや感性の問題だと思うんで、自分にとっては評価不能です。
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梅田を通って通勤するようになってから地下街で眠っているホームレスの人を見かける様になって、私にゃ、あんなサバイバル能力ないから今の仕事を頑張るしかないさぁと心する毎日だけど、この本みたいに無人島に放り出されてしまったらとんでもないよねぇ。
32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女はたったひとりだけ。いつまで待っても助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる…。
“孤島には、31人の男とたった1人の女” う〜ん、なんと扇情的なシチュエーション。
内容もそれに劣らず下品で野卑で奔放で、話もあっちゃこっちゃにぶっ飛びまくり。ただ、無人島ものとは言いながら、贅沢言わなきゃ食べ物には事欠かないだけに、そこいらのホームレスのほうが余程大変そうなところが何とも微妙な南の島、ではある。
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綺麗事抜きのサバイバルで面白かった。誰もが利己的で。無人島にただ一人の女が主人公っつっても、逆ハーレム乱交一辺倒じゃなくて、逆に年増のババアだから疎ましがられるとかリアル。
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女の怖さや人の浅ましさの描写はやはり郡を抜いてうまいと思う。けれどどうもラストの盛り上がりに欠けます。
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う~~~ん・・・・・
おもしろかったような、なんというか。
熱も何も感じなかったのは、自分の完成がダメになってしまったんだろうか・・・。
著者の作品は、今まで色々楽しめたものが多かったんだけど、本作は何だか響いてきませんでした。
途中、全貌が見えてこない島を、登場人物と一緒に発見してくところは良かったんだけれど、他は何とも。
また違う作品を読んでみるかな。
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無人島で生き残るサバイバルの物語の面だけでなく、
都会にも通じるところのある、人間の心理が
無人島と限られた人間という舞台によってより
むき出しになって面白かった。
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おばはんが気持ち悪い。こんな奴と絶対やりたくないと普通思うのに、みんなが群がるところに狂気がある。映画では木村多江?だったら、誰だってやりたいでしょ。