紙の本
「グーグルブック検索事件」 に関するナマの声
2011/02/12 14:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はグーグルのこともよく知らなかったが,自著の本の著作権がおびやかされていることを知って怒り,すぐに行動をおこす. そして,「黒船」 がうちはらわれるまで,ずっとたたかいつづける. この本はその過程を書きつづったものだ.
「グーグルブック検索事件」 に関して第 3 者が書いた本はいろいろあるが,当事者のナマの声はそれらとはちがって,読者につよくひびく. もちろん,当事者だからこそ知っていることもある. この事件そのものは,もはやすぎさったことだ. しかし,今後のグーグルをみる視点としてもやくにたつだろう.
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グーグルの「全ての情報を検索可能にする」という目的の負の側面を、著者のルポという形で明らかにしている。全ての本がウェブで見られるようになるのは、利用者にとっては便利になってよいことだが、出版社や本の著者には大きな変革を要求するものである。グーグルは、もう少し違ったやり方があったのでは・・・「過去の本を整理する人ではなく、未来の本を生みだす人に100ドルをあげたい」というような内容のところが印象に残った。少し書き方が偏っていると思われるところもある。あと話題があっちこっちに行っている気も。
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著作権者である著者がGoogleと戦うルポルタージュ
Googleはやってみてから問題に対処っていうことが多いのでこういうことも当然あるんだろうと感じました。
自分の書いたものの権利は主張したいのはわかります。Googleは聞く耳がある企業だと思うので納得するまで戦うといいと思います。
一利用者としては、いろいろな文献を検索できるのはとてもありがたいですし、今後もGoogleには公開し続けて欲しいと思います。
もし、自分が著書を持つようなことがあれば、著作権の表示とミスがなければどこかのタイミングで公開したいと思いますし、全文検索可能な状態にしたいと思います。
ブログはこちら
http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/2674753.html
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[ 内容 ]
グーグルが、地球上すべての「本」を掌握してしまう!?
複雑怪奇で巧妙な「ブック検索和解案」に世界中の著者・出版社・書店がパニックになるなか、著者はグーグルの正体を明らかにすべく、愚直に調査を開始。
著作権侵害に対しては刑事告訴で対抗を試み、不当な和解案にはNYまで異議申し立てに飛び、共闘する作家と手を結ぶために欧州へ。
本書は世界中の情報をのみこもうとするグーグルの策略と「デジタル書籍」のあるべき姿を考えるために必読である。
[ 目次 ]
第1章 春―黒船襲来(検索エンジンからの「和議」申し入れ;平成の世の「黒船襲来」 ほか)
第2章 初夏―刑事告訴(告訴状なら「所轄」の警察署へどうぞ;練馬署、グーグル和解案は「まやかし」と一刀両断 ほか)
第3章 盛夏―和解案の「正体」(“巨象”グーグルに忍び寄る“包囲網”;「青い目の契約書」には気をつけろ! ほか)
第4章 秋―対決(“欧州の明石昇二郎”を捜せ!?;ドイツでは「法務省の部長」まで抗議活動に参戦! ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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グーグルは財力にものを言わせれば、市販されている本を片っ端から買ってスキャンすることなどたやすくできそうなのに、あえて回りくどく図書館の蔵書のみをスキャンしていることは、市販されている本を著作権に無断でスキャンしたのではフェアユースを語れないからだ。
米国内の書店で市販されていない書籍をグーグルでは絶版本と見放すと宣言しているのだ。
版権レジストリとは、他人の著作権を使って莫大な収益を生み出すビジネスモデルでもあるのだ。
著作権や出版社を敵に回すということは、その著作権じゃや出版社が今後出版するであろう新刊本をアーカイブに入れることができなくなることを意味する。これはアーカイブとして致命傷にもなりうる大問題だろう。
フランスでは通称グーグル税と言われるオンライン広告への課税を検討した。今までグーグルの広告費用はフランスに支払われずにアメリカに支払われていたから。
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この本を購入したのは、ダイヤモンド・オンラインでなにやらグーグルがとんでもない権利の主張を始めたらしい記事があったのだが、なかなかネットで読み込めなかったので購入。
明石さんのルポは非常に丁寧な書き方なので、グークルに対する見方が変わりました。(IT業界の方の本も読みましたが、問題意識なさすぎて参考にならない)
この本が出版されて問題意識が高まったのは良い事だと思います。
しかし、これは始まりに過ぎないと思っています。
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グーグルによる強行的かつ従来の出版社に敵対する、出版物デジタルアーカイブ化に否応なしに巻き込まれたジャーナリストの話である。
内容は読んでもらうとして、私は筆者のプロ意識は見上げたものだ。「あとがきにかえて」の、『週プレは自他ともに認める「エロ本」だ。しかしそのエロ本が、ジャーナリズムとしての責務を全うしただけでなく、「黒船」から日本の出版文化を守る防波堤の役目までも果たしたのは紛れもない事実である』(筆者は「週刊プレイボーイ」に本書の内容を連載していた)というあたりがとても好きだ。
事件の顛末とそれに付随する問題については植村八潮氏の解説がフォローしている。本の流通経路の多様性はプライバシー、また表現の自由と密接に結び付いた問題である。従来の出版物の(costlyな)流通は著者を含めた出版システムを支える根幹であった。そうした構造がグーグルブックスにより破壊されるということは、時には国家と対立しながら表現の自由を体現してきた出版社が立ち行かなくなる可能性を濃くする。
目先の利益を追求することで結局は我々の権利が失われることになる。悲しいかなよく見かける構造である。我々はコンテンツのデジタル化と、より自由な流通を手放しで喜ぶことはできないのである。
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http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-720537-4&mode=1
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多少は聞きかじっていたが,こういうことになっているとは知らなかった.
かなり衝撃的である.
まだどう結論づけられるか定かではないが,大きな問題であることは確かである.
成功したベンチャー企業としてもてはやされるグーグルの裏の顔.
徐々に世界はグーグルに支配されているという警告はあながち誇張ではないのかも知れない.
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これこそルポルタージュだ。
この姿勢がジャーナリズムだ。
ある事柄が「良い」のか「悪い」のか、きれいに分けることはできないが、自分で考えることを忘れたら終わりだ。
グーグルが掲げている「全世界の本へのアクセスを目指すという使命」そして、デジタルアーカイブの利便性。
一方で「表現の自由」と「国民の知る権利」の確保。
便利だから。グーグルが言っているのだから。と思考を停止してはならない。
2017年4月現在、著作権法改正が大詰め。
不安…。
以下引用
「一番大事していかなくてはならない「知的財産」は、面白く、ためになる原稿の書ける著者であり、その著者を支え、盛り立てる有能な、編集者。その基本を見誤ると、時代に乗り遅れるばかりか、淘汰される」
その通りである。
「私たちは、生産者である著作者を守らねばなりません。彼らこそが新しい考え方や新しい音楽を創り出しているからです。…未来への投資として…すでに出版された本をデジタル化するために手元の100ドルを使うのではなく、著作者に100ドルを与えることです。それが生産者としての著作者を応援することになります。」
著作権法を守って、著作者に利益になる場合、過去のデジタル化も著作者を守ることになると思う。が、未来への投資と考えた場合、今まさに耳がいたい。