紙の本
幸せ”をお金で買うことは出来ませんが、“幸せ”いや“仕合わせ”をお金でお裾分けしてもらうことは出来ます。それもワンコインちょっとで。テンポのいい文章で読者を惹き付ける朝倉さんは流石ですね。恋愛の延長線上で新婚生活を送っている青葉と朔郎、微笑ましくって嫉妬しちゃいました(笑)
2010/04/28 21:39
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
“結婚は、ひと昔前には、永久就職といわれていたらしい。その喩えを聞いたとき、そんなばかなと青葉は思った。永久とはまた大きく出たものだな。就職って、と鼻で笑った覚えがある。ところが、結婚してみたら、永久感は確かにあった。永久をやってやろうじゃないのと思う。”<本文より引用>
『田村はまだか』に続き2冊目の朝倉かすみさん。
この人の特徴はやはりテンポの良い文章で多くの女性読者の共感を呼ぶところなのでしょうね。
ありきたりですが、それ以外に表現の仕様がないです(笑)
本作は青葉と朔郎の新婚カップルの1年を描いた作品ですが、北海道在住の作者のホームグラウンドである札幌が舞台となっております。
結婚して東京から札幌に転勤となって新天地で新婚生活を過ごす2人。
まあいろいろな問題が勃発しますが、基本はコミカルにそして適度にシリアスに描いてます。
このコミカルとシリアスの匙加減がとっても読者にとっては心地よいのですね。
作者の巧みなところは30歳過ぎのカップルを主人公に据えたところですね。
読者も本作の2人のように、いつまでもこのような初々しい気持ちというか思いやりを忘れずにというのはわかっているのですが、現実はそうですね、厳しい人が大半でしょうか(笑)
とくに印象的なのはやはり朔郎の両親、青葉にとっては義理の両親が札幌の2人を訪れて来る第5章ですね。
この章の青葉の微笑ましさと初々しさは特筆もので、読者は朔郎に対する愛情を否応なしに垣間見ることが出来ます。
そして構成上の特徴も書き留めておくと、全6章のうち最終章のみ朔郎の視点となっています。
少しずつ理解を深めあった2人ですが、その確認章となってますね。
これは女性読者(朝倉さんの読者の大半は女性だと思われます)にしたら“私の目に狂いはなかった”と確認し、そして安心して本を閉じれる章ですね。
ラストは予定調和な終わり方ですが、驚きはしません。それでなければ読者は満足しません。
最後の1行は作者からのビッグプレゼントです。
いつまでも心に残る言葉を噛みしめた読者は“幸せ”いや“仕合わせ”をお裾分けしてもらったのですね、わずかワンコインちょっとで。
そうなんです、仕合わせって作り上げるものなのですね(笑)
最後にこの文庫本とってもリーズナブルで心暖まります。
新婚生活を予習する方、そして復習する方、いずれの方にも楽しめること請け合いの一冊だと太鼓判を押したいですね。
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札幌が舞台ということと、札幌在住の作家さんの作品ということで
読んでみたかった作品。
ほとんどが奥さん目線。で、最後のちょっとだけが旦那さん目線。
奥さん目線のがやっぱり共感できるけど、旦那さん目線も勉強になりました。
新婚時代をちょこっと思い出して懐かしくもなったり。
でも、私は朝倉かすみさんの文体が苦手なのかも・・
ちょっと読みにくかった。
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「肝、焼ける」が私の中ではビミョーだったので、
新婚さんの話だし、読むべきか…なんてちょっと迷っちゃったけど、
読んでよかった!
良いじゃないか、結婚。
朔朗も良い。
朔朗両親も良かったな。
そして何よりこの作家さん、良い。
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二人の会話の口調がよい。
朝倉かすみがこんなほんわか一辺倒の小説とは珍しい。
いつ、浮気がどうのとか出てきちゃうんだろうとハラハラもしたけど出てこない。
こんな幸せ夫婦いいなー。
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女性の作品だから、女の人からみた結婚や旦那さんに対する思いが共感できたり予想できたりするのはもちろんあるんだけど、
その裏で女性の行動に男性はどう思っているかもちゃんと表現されていて面白い。
夫婦がなじんでゆく様みたいなのがゆったり書いてあっておもしろかった~:)
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序盤なんだかよくわからないスローペース。あれ?って思ったけどさすが朝倉さん。おもしろいっす。
青葉と朔郎のコントのような掛け合いがすき。
一躍、はげのナンパ野郎になったという朔郎。笑った。
おれは青葉の肩を持つつもりでした。なにがあっても、おれなりに。わるいね。こんな息子になっちゃってと、朔郎母に笑いかけた朔郎に思わず泣いてしまった
決して完璧ではない夫婦生活、だけどすごく仕合せなんだね。
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朝倉かすみの文体、というものがある。
非常に独特で、ごくごくするり、とは呑みこめない感じ。
でも、悪くないなあ、と思う。
物語の中の夫婦が、とても可愛い。
この二人は、ずっと仲良くやって行くんだろうなあ、と思わせてくれるのが良い。
最後の「申し訳ないが、仕合わせである。」という一文が全て、だね。
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絵にかいた平々凡々な新米夫婦のお話である。
職場であっさり出会って、特に困難に出会うこともなく結婚し、転勤先の札幌で妻が少々さみしい思いをしたり料理に奮闘したりご近所とそこそこにおつきあいしたり、旦那が仕事に精を出したり。
最終章で視点が旦那側にうつったから、そうかな…?と思っていたらやはり妻は妊娠していた。(わたしもここであっさりネタバレだ)
共感というか、うむ、と考えさせられたのは、おもてなし、について。
義両親が家に来たときのもてなし、プレッシャーありますよね。
私は義両親にかかわらずいまだにもてなしベタで、無駄に食材買ったりいろいろするのに結局詰めが甘い(というかタイムアウトになることが多い)ので満足いく待遇ができない。
デキる嫁になれるのは、いつのことやら。
ってことで、私も実際は一年生みたいなもんですわ。ってことで。
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よかったですねぇ。
私と旦那は、「夫婦一年生」どころか、今年で「夫婦10年生」
になろうかというくらいの勢いですが、青葉の感覚、すごくわかる。
いつだって、薄く不安、というような感じとか、ご飯を食べ終わった後、
自分は片付けなのに旦那はすぐにくつろぎ状態に入ることに
ムッとする、とか……。
義父母が家に泊まりに来るので、青葉が孤軍奮闘する様子が
描かれていますが、とってもいい義父母でうらやましかった。
私の義父母は、一筋縄じゃあいかないからなぁ……。
最後が、幸せな感じで終わっているのがとてもよかったです。
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札幌に転勤でやってきた新婚夫婦の物語。
専業主婦の青葉と百貨店勤務の夫・朔郎の初々しい日々。
ご近所付き合いや夫の両親との関わりなども描かれるけど、基本は夫婦二人の関係性の話。
ただの男と女だったのに、ある日突然「夫婦」という形になると、
こなさなければいけない役割や義務が出てくる、その戸惑いや踏ん切りが感じられる。
30代の夫婦ということで、年にしては確かに幼い発想は多いと思うけれど、
年はとっても夫婦としては新人なんだから、結構リアルなのかもと感じた。
ムフフ、のろけ、な展開もありつつ、
夫が死んだらどうなるだろうと考え、保険証書を読み込んで「夫の死と保険金8千万って等価値なの」ってもやもやしたり、
恋人という他人だからこその気遣いが夫婦になってなくなってしまう不満を抱いたりと、
幸せに差し込んだ影がちらりと垣間見えるのがよい。
一番幸せなときを切り取って、
そういう幸せの始まりを眺めるだけの話というのもよいなと思った。
新婚さんやこれから結婚する人なら、ふふふと微笑みながら、でも小さな不安も感じながら読めるかも。
夫婦ベテランは当時を懐かしく思い出すのか、それとも一笑に付してしまうのか…。
ライフステージによって感想が変わりそうなのも、興味深いし面白い。
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ブックオフで目に入って、軽い気持ちで買ってみた本。
この朝倉かすみさんという方の本を初めて読んだからなのか、初めは文体や書き方になれなくて抵抗があったが、慣れていくうちにすいすいと読めてしまった。
これだけ、まったり、のほほんとした話は久しぶりだったので、気持ちがほっこりしました。
最近芽生えた結婚願望から手にした本でしたが、よかったです。
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目には青葉。
いい夫婦の話だと思う。
この夫婦のようにいろいろと調整することや気遣うことやいらだつこともあるけれど、平らかに楽しく暮らせればいいだろうなあと思わせられた。
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2013-47
リアル夫婦1年生なので見につまされる。
少しずつ夫婦になっていくんだね。
あたしらも周りからはそんな風に見えてるのかな?
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いいんだけど、青葉の言葉遣いが気に入らない。
自分が関西人だからか、アニメの登場人物を演じているような不自然さを感じて、それが最後まで邪魔をした感じ。
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タイトルの如く、新婚夫婦の生活を主に嫁側から描いた作品。
初めて作るお料理、ご近所づきあいのあれこれ、そしてやってくるちょっとした夫婦喧嘩。
いろいろ乗り越えて、夫婦になっていくのでしょう。
2人の会話の独特な言葉遣いが可愛らしい。
「申し訳ないが、仕合せである」は名言だと思う。