生命の倫理に切り込む
2020/01/07 13:57
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
巨大な官僚機構や大学病院に孤軍奮闘する、クール・ウィッチが勇ましいです。一方では医師としての倫理観を踏み外してしまう、危うさも感じました。
マドンナヴェルデと合わせて読んで
2015/11/27 12:25
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投稿者:ぽにょん - この投稿者のレビュー一覧を見る
今なら「マドンナヴェルデ」と合わせて読むと更に楽しい。
ジーンワルツは娘の視点で、マドンナヴェルデは母親の視点で同じ物語が描かれているので、本作での不明点がマドンナヴェルデで分かったりする。
本作で不妊、流産が男性の精子が原因の場合がある事を初めて知った。
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投稿者:レオボー - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説というよりは、作者の医療に対する考え方を強く語っている作品で、そこに物語を加えているという印象を受けた。
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ほんの少し前まで、出産は女性にとって命にかかわる重大事件でした。もちろん今だってお産で命を落とす人はゼロではないのでしょうが、普段はあまり意識していません。職場で「出産のため1年離脱します」と言われたら、1年後には復帰するものとしてマンニング計画を作りますし、保育園が見つからなくてちょっと遅れるということはあっても、戻って来なかったという事態を経験したことはありません。
この本に登場する5人の妊婦さんの6人の赤ちゃん(双子が一組いるのです)のうち、1人は無脳症のため、生まれ落ちたらすぐに亡くなる運命です。でも、母親は生きて産まれるのであればこの世界の光を見せてあげたい、といって中絶を拒みます。全く論理的ではありませんが、お腹の赤ちゃんとコミュニケーションしているお母さんであれば、そういう風に考えるのも不思議ではないのかも。
海堂尊は、以前にも『ナイチンゲールの沈黙』と『ジェネラル・ルージュの凱旋』のように、ひとつの同時進行する物語を表と裏から描いた作品がありましたが、この本にも姉妹編『マドンナ・ヴェルテ』があるそうです。そちらも楽しみですね。
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産婦人科医の話です。途中、出産シーンがあるのですが、ウルウルきてしまいました。あんまり本を読んで感動することがなかったんですけどね。電車の中で読んでいたので、少々カッコ悪かったです。^^;
代理母出産という法律の問題を小説で見事に問いただしている、読んでよかったと思います。
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不妊治療や少子化問題、地方医療の崩壊など、現在の医療体制を取り巻く問題に向けたメッセージ性の強い作品であり、同時に「イノセント・ゲリラの祝祭」に続いて厚労省に対する批判色も強い作品である。
正直、医療とは程遠い世界でニュース等の報道でしか産婦人科医の不足を聞いたことのない1個人としては、厚労省の少子化対策や医療政策の現施策に至る経緯とその効果を理解できていないだけに、この小説内の意見だけを鵜呑みにしていいのかといった部分はある。。。
しかし、テーマとしては非常に興味深いし、本作に刺激されて医療に従事する人たちや受ける側にとってより良い医療体制に少しでも近づくような働きかけが行政にも届けば良いのではないだろうか。
内容面については、主人公である理恵を通した作者の意見は理解できるのだけど、問題提起に注視する割には他人の精子を勝手に使ってしまい、しまいには神頼み的な彼女の言動は如何なものだろうか?挙句、計画的に脅迫まがいなコトもしてるしと。。。そもそも、自身の摘出手術や代理母出産を強行するまでに生じたであろう彼女の内部の葛藤や精神的な経緯などの裏付けが一切描かれていないだけに、彼女の理想論と人間性とが破綻してしまっているようにも思えてしまった。…それとも元々がしたたかなだけの魔女だったのだろうか。。。
等々と、出産シーンが盛り上がった一方で、ついつい突っ込みたくなるような終わり方だった。。。
海堂ワールド的にはまだ未読な「極北クレイマー」や「「医学のたまご」、そして直接の続編でもある「マドンナ・ヴェルデ」ともリンクされているようで、その世界観と共に未読作への期待感も拡がってきた。という事で、次は本作にも登場した清川の学生時代を描いた「ひかりの剣」からかな。。。
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今回のテーマは、不妊治療。
少子化対策に、そして子宝に恵まれない夫婦に対して、人工授精を推進しない国の姿勢に対して、その是非を訴えかけてくる。
それに加えて代理母出産が、医療なのか、人間製造という神の領域に踏み込んだ行為なのか、というテーマにも言及しており考えさせられる一冊でした。
が、どうも作者の海堂氏が憤ってる姿が目に浮かんでしまっていまひとつ物語に入り込めなかった。やっぱり海堂尊物語は読むべきじゃなかった。
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かなり専門用語は出てくるし、今まで以上に社会派な感じで。
だけど、一気に読めてしまう。
言葉遣いのセンスの良さとリズム感かな。
内容的にはなかなか考えさせられるし、ではどうしたら良いのかしらと思ったり。
マドンナヴェルデも読まなきゃね。
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海堂作品らしく現代の厚労省批判を交え、出産をテーマに描かれた作品。
出産に関する様々なリスクを1つの作品で描いているところがすごい。
マドンナヴェルデも文庫化されれば読んでみたい。
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かなり前に読んだ作品。映画化されるらしい。
テーマは代理母。
海堂 尊さんの小説は大好きだけど、他の作品に比べて、あまり好きになれなかった。
映画は観てみようかな。
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実は3時間ほどで読み終わってしまった。
海堂尊はこれまでもそうなのだが、読む時間が短い。おそらく、予想通りに話が進むせいだろう。ミステリっぽい味付けはしてあっても、別に、謎解きのためにそうしている訳じゃないし、言ってみれば、肉に塩をふっているようなものであって、後は、彼の言いたいことをそのまま受容するという風に読むと、非常に短時間で読み終わる。そういうことかな。あと、これを、例えば80年代とかに出版していると、SFだったんだよね、とか思う。
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ここだけの話、海堂作品は、読むと映画・ドラマを見る気が無くなる。本がこんなに面白いのに何故わざわざ設定やらイメージやらことごとく変えてしまう?原作と映像は別物って十分存じてますが…。配された役者さん達はみんな好みなのに、原作本に惚れてる余り、映画を見られない。
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「ジーン・ワルツ」という響きは何とも美しい。この本を読み終わったとき、一層そう感じずにはいられなかった。
「クール・ウィッチ」こと曾根崎理恵が自分の信念を曲げず立ち向かっていく。次から次へと冷静に論破していく姿に、女性の怖さを感じる。いや、魔女が特別怖いのかもしれない。特に中盤の出産シーンから最後の清川の追及のシーンは圧巻。出産シーンでは清川が一歩リード。追及シーンでは、ウィッチのしたたかさがよく書けている。
代理母出産というテーマを扱ったフィクション。子供を産めない、でも欲しいと考える女性は多いだろう。ただ、曾根崎がしたことはやはり犯罪ではないかと思う。医学の進歩というのは、神に逆らうことなのかもしれない。いや、神の存在など信じていないが、心に引っかかるものがある。それがなんなのかはわからない。しかし、こういうテーマの本がなければ、この当たり前のことを考えすらしなかったろう。そういう意味でもこの本は面白い。また、出産のリスクや、今私たちが生きているという確率がどれぐらいなのかという、命のことについても書かれている。ミステリーという観点でなくても、十分興味深い一冊。
登場人物が魅力的だ。特に上司の清川吾郎のキャラクターがいい。出来る男のはずなのに肝心なところが抜けている、甘い、まさに男性の代表ではないだろうか。
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映画化されるんですね。値段が手頃なのと海堂尊さんの本ということで購入。
堕胎について書かれているので衝撃が深い。
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着々と足固めをしているという印象のある著者の新しいヒロインを主軸に据えたこの作品。これまではコノテーションとしてのメッセージが多い印象だったが、作家としての地固めを終えたと感じられる今、そのメッセージに手心が加えられる事はもう無いといえるのでは。はっきりと、代理母問題についての提起がされている。法的にどうか、という事は物語の中で問われる事はなく、エンタテインメントらしく丸くおさまっているが、この先に何かある事も予兆させる。命をはぐくむという事を多面的に考える時代がもう来ているという作者からのメッセージだろうか。