投稿元:
レビューを見る
ちょっとした運命のいたずらから
3組の男と女の不信と愛、そして罪を背負わされる
不幸な男の物語
買い逃していたので待望の再版
投稿元:
レビューを見る
アクシデントでエレベーターに閉じ込められたことにより完全犯罪が崩れてしまった男と、それとは違うところで起こった若い男女の退廃的な旅が、奇妙に交差していく運命のいたずらを描いています。
閉鎖的な空間でひとり焦る男が、どんどん暗い思考の海に沈んでいく様がサスペンスフルです。
そしてこれとは別に進む男女の関係が不穏な気配を帯びていく様も緊張感があり、この2つのストーリーが最後に思わぬ結末に結びつくのがうまいです。
実に皮肉ったラストで、自業自得とはいえなんとも後味が悪い思いがしました。
読む前にあらすじをみて、エレベーターに閉じ込められたところからもっと多くの展開があるのかと思っていましたが、あらすじ以上のことが起こらなかったのにはちょっと拍子抜けでした。
投稿元:
レビューを見る
資金繰りに窮したとある中年の経営者が金貸しを殺害、証拠を消して立ち去ろうとしたときに、置き忘れた証拠となる書類に気がついた。
慌ててもう一度ビルの中に戻りエレベータに乗ってその証拠を取りに行くが、途中でエレベータの中に閉じ込められる。
36時間閉じ込められている間にビルの前に止めていた車を盗まれて・・・
と50年も前の作品なのに、まるで米国ドラマ「24」を見ているように次々とエレベータの中、妻、車を盗んだカップルと登場人物が切り替わって状況が変化していく映像を観ているような感覚。そして、それぞれに不条理な結末が。
こういうなんというか、やりきれなさというか、因果というか、そういうモノをテーマにした作品は結構好きかも。
小説と映画は設定が違うらしいので、当時の映画と日本で公開する作品も見比べてみたい。
ただ、フランス文学やロシア文学の会話文は難解。細かなニュアンスを読み取るのは難しい。
投稿元:
レビューを見る
あらすじ読んでから本編に愕然とするのは初めてだ。
古畑任三郎をブラックにした話。えぐすぎる。犯人に同情してしまうわ。
投稿元:
レビューを見る
観たことはなくてもマイルス・デイヴィスが即興でBGMを付けたという逸話は知っていました。アリバイ工作も完璧に自殺に見せかけて完全犯罪をやってのけたのに守衛が電源を切ってしまい週末の間エレベーターに閉じ込められてしまい、ようやく出られたら身に覚えのない別の事件の犯人として逮捕されてしまった男のジレンマを描いたサスペンス。意外だったのは早々に閉じ込められた男がなかなかエレベーターから出られないこと。解説を読んでなるほどと思いましたが、タイトルがあまりにも印象深いもののエレベーターもひとつの因子に過ぎず、ものごとは結局いろんなことが折り重なって、絶妙のバランスである状況が作られるのであってちょっとした微調整では結末は回避できないことを淡々と描いた作品でした。『予告された殺人の記録』を思い出しました。それにしても、閉じ込められ男の妻ジュヌヴィエーヴにはイライラ(映画版には出てこないようです)させられました。
投稿元:
レビューを見る
有名すぎるほど有名な映画の原作。
残念ながら映画は未見。
なので比較できないのだけど、これはこれでよく出来たサスペンスだと思う。
完全犯罪を犯したために前にも後ろにも進めなくなってしまった男の悲喜劇。
男がエレベーターに閉じ込められている間の周りの人々の描写が、やがてパズルのピースがあるべきところに戻るかのように嵌っていくかのようで怖い。
ラストのセリフも効いている。
もうこれだけで映画はいいや。
投稿元:
レビューを見る
高利貸のポールグリを自殺と見せかけて殺害したジュリアン・クルトワ。証拠になると思われる書類を焼却しようと乗り込んだエレベーターの中に閉じ込められてしまう。彼の妻ジュヌヴィエーヌが目撃したジュリアンの車に乗り込む男女。夫の浮気と勘違いし取り乱すジュヌヴィエーヌ。ジュリアンの車を盗んだフレッドとテレザ。テレザの妊娠からぎくしゃくする二人の関係。妻を病気療養に連れだしたブラジル人ペドロ。ペドロの金を目的に札がしてしまうフレッド。フレッドとテレザの自殺。エレベーターから脱出したジュリアンの逮捕。容疑はペドロ夫妻殺害。アリバイを立証するために自分の犯罪を告白するが・・・・。
投稿元:
レビューを見る
借金の返済に行き詰った挙句、高利貸しを射殺した主人公ジュリアン。犯行は完璧だったが、証拠となる忘れ物を取りに戻ったことで電源を落とされたエレベーターに閉じ込められる。その間彼の与り知らぬところで車が盗まれたり妻が大騒ぎしたりといつの間にやら大ピンチ。やっとの思いでエレベーターを出て証拠隠滅にまで漕ぎ着けた彼を待ち受けていたのは、身に覚えのない殺人容疑と妻からの離婚請求、更に義兄への詐欺容疑だった。
という訳で息もつかせぬサスペンスのような粗筋なのだが、読んでみると少し違う。ジュリアン以外の登場人物が(兄妹も含め)全員バカップルだからかもしれない。特にフレッドの馬鹿さ加減は出色とすら言っていい。テレザももう少し早く気付けば良かったものを。ちょうかわいそう。あとペドロもっとかわいそう。
犯行が完璧すぎた為にアリバイすら証明出来ず、妻には三行半を突き付けられ、憔悴しきったジュリアン。自業自得と言えばまあそれ以上でも以下でもないが、運命は全く皮肉だ。
ところでルイ・マルの映画は随分昔に一度観たが、すっかり忘れている。覚えていることと言えばツタヤで店員とひっそり勝負していた事だけだ。地元のツタヤでは、この映画があろう事かホラーの棚に置かれていたのだ。違うだろと思ってヌーベルヴァーグの棚に移動させて帰ったのだが、後日またホラー棚に戻されていた。これはと思い、またヌーベルヴァーグに置いて帰ると、次に行った時にはやはりホラーにされている。多分内容を知らず、『死刑台』だけで判断しているのだろう。それから何度かそんなことをお互い懲りずに繰り返したのだが、いつの間にかヌーベルヴァーグから動かなくなった。勝ったと思った。
邦画でリメイクされたのも含めて見直してみたいが、邦画はかなり地雷な予感。
投稿元:
レビューを見る
完全犯罪を実行したジュリアンは、無人のビルのエレベーターに閉じこめられてしまう。36時間後にようやく外にでた彼を待ち受けていたのは、まったく身におぼえのない殺人事件であった。アリバイはあるはずもなく、閉じこめられていた理由は決して明かせない。まったく関係のない3組みのカップルが偶発的に絡み合い、解説にあるとおり全てを見渡せるものはひとりもいない。古いフランス小説だが、結構おもしろかった。
投稿元:
レビューを見る
2
退屈。
最初にあらすじを読んだときは面白そうだと思ったのだが…。
結果として、また不幸なことに、全体の5/6は単にあらすじを補足しているだけという構図になってしまっており、全くはらはらもどきどきもしない。終盤に意外なことが一つ起こるが、そよ風みたいなもので特に意味もない。期待を持たせておいて落とすパターンにしたかったのかもしれないが、さほど効果的だったとは思えない。最後まで読んでも特に何かあるわけでもなく、ありがちな終幕となる。
あらすじを読まなければ印象は変わっていたかもしれないが、読まないでは本は選べないし、裏表紙等に記載される意味もない。
映画は未見。
投稿元:
レビューを見る
なんだか、登場人物のほとんどにイライラしていましたw。
内容的にはうまくまとめられていると思うんだけど、いかんせんイライラしてるもんだから頭に入ってもこず。。。翻訳がフィットしないだけかなぁ。。。
リメイクの映画は、アベカンだし吉瀬さんだから見たいです。
投稿元:
レビューを見る
完全犯罪を成し遂げたと思いきや、唯一の証拠を消し去るべくエレベーターに乗った犯人。なんと途中で電源が切られてしまい、週明けまで一人暗闇に取り残されることに。彼が脱出を試みている間にそとの世界で起きていたこととは…。
映画化もされている有名な作品なのでネタバレとは言えないんでしょうが、あらすじが話のほとんどになってしまっています。あとがきを読んでそういう解釈もあるかとは思いましたが、そこまで言わないでほしかった。エレベーターに取り残されている状態までであらすじを止めておいてくれたら、この出来事がどんなふうに最後まで絡んでくるのだろう、という楽しみができたのに。もちろんエレベーター内部での出来事より、その外で起きている出来事の方が読ませます。いつになったらエレベーターから出られるのかより、それぞれのカップルがどんな結末を迎えるのかが気になって。その辺がミステリとは違うサスペンスの魅力なんですが、エレベーターを出てからは消化試合のようになってしまったのが残念。何より、エレベーターに取り残されただけでは犯人だと特定されるわけないんです。むしろ早々に話してしまった方が犯人にとっては有利だったでしょうに。
それぞれの女性の悲しさをしっかり描いているのはさすがフランスの作品だと思いました。ダメ男だとわかってるのに離れられなかったり、誰かを羨むゆえに全てをぶち壊しても復讐したいと思ったり。イライラしつつも同情しました。
投稿元:
レビューを見る
全然おもしろくなかったよ。
ほんまに、全然おもしろくなかった。
翻訳があかんのかな。
英語で読むべきなんやろね、やっぱり。
ありすぎる感嘆符が邪魔。
ほんま邪魔。緊迫感を全然感じなかった。
投稿元:
レビューを見る
話はエレベーターからの脱出劇にとどまらない。
妻の行動が、彼の車を盗んだカップルが、そしてジュリアン自身の作為が、ずんずん事件をねじれさせてゆく。
ルイ・マル映画の原作。
映画もよかったけれど、周囲を巻き込んで取り乱すジュヌビエーヴや世をすねてるようなフレッド、宿の夫婦にいたるまで、それぞれの人物の味わいはこちらのほうがずっと深くていねいに描かれているように思った。
低い評価が多いようだけれど、話の展開を含め、私には最後までおもしろかった。
こういう終わり方も好き。
投稿元:
レビューを見る
ノエル・カレフ1956年発表の小説で、翌年撮影されたルイ・マル監督の映画化によって、世界的な知名度を誇るミステリ。身も蓋もない話だが、個人的には両作含めて「死刑台のエレベーター」に関しては、映画音楽としては革新的ともいえる即興演奏によって、作品の価値をさらに高めたマイルス・デイヴィスの芸術に尽きる。当時モダン・ジャズに於いて既に頂点を極めていたマイルスだが、その前衛的でアンニュイなトランペットの響きは、人間心理の闇を照射するモノトーンの映像と融合し、虚無的なフィルム・ノワールの世界へと見事に結実していた。
カレフの原作は心理的な側面よりも、偶発的な不条理を核にしたもので、完全犯罪を為した男が予測外の側面から破綻していくさまをドライなタッチで表現している。経営者である主人公の男は同じビルに事務所を構える金貸し屋を殺し、返すあての無い借金の証拠を消し去る。だが、完璧なアリバイ工作を施した殺人計画は、時を同じくして動き出した見知らぬ若者らによって打ち砕かれていく。物語は、序盤と終盤でしか交差しない二つのエピソードを並行して描くのだが、最期まで互いを知らないままに両者とも同等の地獄へと墜ちていくというアイロニカルな結末によって、ありふれた勧善懲悪に終わらないフランス・ミステリの独創性を強烈に印象付ける。
余談だが、罪を犯すもう一人の人物が「実存主義者」と称されているのだが、ジャン=ポール・サルトルが提唱した実存主義とは全く相容れないものであることを付け加えておきたい。