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「不安」を「希望」に変える経済学 日本はまだ成長できる みんなのレビュー
- 岩田 規久男 (著)
- 税込価格:1,650円(15pt)
- 出版社:PHP研究所
- 発行年月:2010.7
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紙の本
デフレ対策を規制緩和に求めるな!
2012/01/14 04:58
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済の問題とその解決策については、多くのエコノミストが、様々な立場で発言を続けている。
“自称”を含めた多くのエコノミストたちの主張は、大きく分ければ、構造改革派、リフレ派といった分け方が可能ではあるが、細かな点まで見ると千差万別である。
本書の主張についても、なるほどと思わせられる点もある反面、逆に、なんでと問いたくなる点も大いにありである。
本書の主張を見ていく。
『日本経済は1998年半ば以降、デフレが続いているため、需要が供給能力に対して大幅に不足し、その結果、実際の成長率は潜在成長率を下回って停滞してきたこと、そして、実際の成長率を潜在成長率まで引き上げるためには、デフレから脱却して、需要不足を解消しなければならないこと』
ここらへんは、今や当たり前になってきた認識。
引用を続ける。
『金融政策によるデフレ脱出に加えて、需要を創出しながら潜在成長率を引き上げる政策はないものであろうか。』
少し怪しくなってくる。何をさておいてもデフレからの脱却、デフレギャップの解消が求められている今この時に、デフレギャップを拡大させる「潜在成長率の引き上げ」すなわち供給側の構造改革を一緒に論じるべきなのか。勘ぐれば、「本音を言えば、構造改革を言いたくて仕方がない、けれど構造改革一辺倒が否定されつつある現状では、アリバイ的にデフレ脱却も言っておかねば」とでも言わんばかりにも聞こえる。
『現在の日本で、潜在成長率と実際の成長率をともに引き上げる上でもっとも効果的な構造改革は、都市、とくにその中心部の土地の有効活用を進めて都市を再生する改革であろう。』
いきなり“最善の解決策らしきもの”が示される。何の根拠もなく。
『都心居住を妨げている最大の要因は、住宅地の容積率規制である。』
小泉政権で「都市再生」が打ち出されたとたん、東京など大都市において、これまでくすぶっていた大規模開発が一気に現実となり、事業が進められていった。これの検証はできていない。
『この規制の目的は居住人口が増えると、道路などの社会資本が不足するので、居住人口を社会資本整備の状態に合わせて抑制するというものである。』
『しかし、容積率規制はこの目的を達成する上で、適切な手段ではない。』
都市のキャパシティーを越えた容積率が、過密による弊害を生み問題となってきた過去の数々の規制緩和の失敗は検証できているというのか。
著者の解決策が最後に少しだけ示される。
水道・電気・駐車料金等に対し、『混雑地点と混雑時間ごとに、当該サービスの利用に対して適切な料金を課す』というものである。これで、一日の利用が平準化すると著者は言う。
結局、弱いものいじめではないか。経済力のない個人や中小企業は、混雑時間を避けて利用しろということ。昼間の混雑時間を割けて夜中の“安い”時間に働けということ。
これがこの国の望む姿だと言えるのか。
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